2025年4月28日
労務・人事ニュース
全国の建設工事受注高が9.2兆円突破、11か月連続増で人材需要が急上昇(令和7年2月分)
- 看護師/2025年5月1日更新
最終更新: 2025年5月1日 11:34
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最終更新: 2025年5月1日 09:34
建設工事受注動態統計調査報告(令和7年2月分)(国交省)
2025年4月11日、国土交通省は最新の建設工事受注動態統計調査結果を公表し、令和7年2月における全国の建設工事受注状況が明らかになりました。この調査は、建設業界の受注動向を毎月追跡し、元請と下請、公共と民間、工事種別など多様な切り口から詳細に把握するものであり、国のインフラ政策や都市開発、さらには建設業界全体の人材需要を見極める上で極めて重要な指標となっています。今回の発表では、業界全体にわたる成長の兆しや構造的変化が複数浮かび上がっており、企業の経営戦略や採用活動にも影響を及ぼす内容が多く含まれています。
まず、令和7年2月の全体受注高は9兆2,695億円となり、前年同月比で8.1%増加しました。これは11か月連続の増加であり、特に注目すべきは、下請受注高が3兆2,381億円に達し、前年同月比で12.4%増と大きく伸長した点です。これは建設プロジェクトの規模が拡大し、施工全体における下流工程の役割が増していることを示唆しており、サブコンや協力業者の需要が今後さらに高まる可能性を示しています。
元請受注高は6兆314億円で、前年同月比6.0%増加と堅調な推移を見せました。発注者別に見ると、公共機関からの受注が1兆6,744億円で4.8%の増加、民間等からの受注は4兆3,570億円で6.4%の増加となっており、官民両面からの投資意欲が全体の成長を支えています。特に公共工事においては、インフラ老朽化対策や災害復旧事業の影響もあり、安定的な需要が続いていることが背景にあります。
工事の種類別に見ても興味深い動きがあります。土木工事は前年同月比で1.4%減少し、8か月ぶりのマイナスとなった一方で、建築工事は3兆6,956億円、同3.0%増加と5か月連続で増加を記録しました。加えて、機械装置等工事は7,900億円で前年同月比47.3%と急伸しており、工場や発電所といったハイテク分野における大型設備投資が活発化していることがうかがえます。これは、製造業やエネルギー関連企業による施設再編や新設投資の動きが加速していることを反映したものと考えられます。
元請受注高を業種別に分析すると、総合工事業は4兆4,535億円で前年同月比11.4%増加し、12か月連続で増加しています。これはゼネコンを中心とした建設業界の主力プレーヤーが引き続き堅調に受注を伸ばしていることを意味しており、人材需要の高まりが顕著に表れています。一方、職別工事業は2,648億円で37.0%の減少と大きく落ち込んでおり、先月の増加から一転して減少に転じました。これは特定職種への依存度が高い小規模業者にとって受注機会が限られていること、あるいは大型工事への対応力の差が影響している可能性があります。設備工事業については1兆3,131億円で3.0%の増加となり、こちらも堅調に推移しています。
公共工事の詳細に目を向けると、受注工事額は1兆5,579億円で前年同月比5.6%減となり、3か月ぶりの減少に転じました。特に「国の機関」からの発注額が6,095億円で前年同月比13.9%減少しており、政府関連企業からの発注が大幅に減ったことが影響しています。一方、「地方の機関」からの受注は9,484億円で前年同月比0.7%の増加を記録しており、市区町村単位での教育施設や病院整備といった生活インフラへの投資が進められていることがわかります。
民間からの受注では、建築工事および建築設備工事の受注額が1兆2,548億円となり、前年同月比17.9%の大幅増加を記録しました。なかでも製造業が発注した工事額は3,673億円、同29.6%増と顕著に伸びており、物流網の再構築や新工場建設の需要が増していることを示しています。また、不動産業からの発注は4,184億円で前年同月比10.1%の増加、情報通信業からの発注は313億円で実に324.9%増という驚異的な伸びを示しています。これにより、都市再開発やデータセンター新設といった分野での建設需要の高まりが裏付けられました。
土木工事および機械装置等工事についても、2月の受注額は8,583億円で前年同月比24.3%増という高水準の伸びを見せました。とくに機械装置等工事は5,213億円で最大の比率を占めており、ハイテク産業への対応が急務となる中での設備拡張やリニューアルの波が広がっています。発注者別では製造業からの発注が2,884億円、同53.8%増と非常に高く、また電気・ガス・水道業からの発注も2,455億円で31.0%増加しています。
このように、令和7年2月時点での建設工事受注動向は、全体として堅調な増加を示しており、業種や工種によっては過去最大規模の受注額を記録したケースもあります。特に、民間分野における製造業・不動産業・情報通信業といった成長産業による発注の伸びは、技術者や建築・土木の専門人材への需要が今後も継続的に高まることを意味しています。
企業の採用担当者にとっては、この受注動向から読み取れる業界トレンドを的確に捉え、自社の人材戦略に組み込むことが求められます。特に、建築や設備関連の大型プロジェクトが多数進行する中で、現場を支える施工管理技術者や建築設計士、設備技術者などへの需要が加速しており、早期の人材確保が企業競争力に直結します。また、デジタル化やBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の活用が進む中で、ITリテラシーを備えた新世代の建設人材の育成も急務とされています。
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ