2025年7月24日
労務・人事ニュース
全国の月間労働時間は136.9時間、出勤日数17.7日の実態から読み解く採用戦略(毎月勤労統計調査地方調査 令和6年平均分結果概要)
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IT事務/月収例29.5万/土日祝休み/未経験から手に職/残業月10h以内/リモートあり
最終更新: 2025年7月24日 21:02
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毎月勤労統計調査地方調査 令和6年平均分結果概要 表1 事業所規模5人以上 調査産業計(厚労省)
令和6年の全国的な労働状況について、事業所規模5人以上を対象とした年平均の統計データが公表されました。このデータは、企業の採用活動を検討する上で重要な指標を提供しており、特に人材確保や労働環境の整備に課題を抱える地域や業種にとって、今後の施策立案の根拠となるものです。企業の採用担当者にとって、各地域の労働実態を把握することは、自社の採用戦略の見直しや改善に直結する要素であるため、今回の統計は非常に有意義な情報といえるでしょう。
全国の常用労働者数は5,081万3千人にのぼり、1ヶ月あたりの総実労働時間は平均136.9時間となっています。所定内労働時間は126.9時間、所定外労働、いわゆる残業時間は10.0時間であり、労働時間におけるバランスが一定程度保たれていることがうかがえます。ただし、この平均値は地域によってばらつきがあり、企業の立地するエリアによって実際の労働環境には大きな差異が存在します。
たとえば、北海道の労働者数は179万5千人で、全国と比べても労働時間は若干長めの138.3時間となっており、出勤日数も18.2日と全国平均をやや上回っています。一方、給与面では、現金給与総額が30万5,697円、うち所定内給与が23万8,246円、特別給与が5万1,776円と、全国平均の34万7,994円に比べて低水準であることがわかります。こうした傾向は、地域ごとの生活コストや産業構造、雇用環境の違いによる影響と考えられ、企業が地域での人材獲得を行う際には、報酬水準を工夫する必要性があることを示しています。
青森県では労働時間が147.1時間と全国で最も長い水準に達しており、所定外労働時間は8.6時間であることから、長時間労働の傾向が強い地域であることが読み取れます。給与については総額27万9,433円と全国平均より約7万円少なく、出勤日数も19.3日と高めです。これは、労働時間が長く給与が低いという、採用上不利な状況を示しており、企業としては柔軟な働き方の導入や福利厚生の充実によって労働条件を補完する必要があるでしょう。
一方、宮城県のデータでは、労働時間は141.2時間、所定外労働時間が10.0時間と、全国と近い水準で推移しています。給与面では総額が32万8,582円と、東北地域の中では比較的高い水準を示しており、採用市場においても競争力のあるエリアといえます。こうした地域では、賃金の高さに加えて職場環境の良さやスキルアップ支援など、付加価値を意識した採用戦略が重要となります。
企業の採用担当者にとって注目すべきもう一つの要素は、きまって支給される給与の割合です。これは、基本給や各種手当など、安定的に支給される部分を示す指標であり、従業員の生活の安定に直結するものです。全国平均で見ると、きまって支給される給与は28万1,959円で、総支給額の約81%を占めています。これに対し、青森県ではきまって支給される給与が23万4,642円と、割合としてはやや低く、安定収入の確保が課題といえるでしょう。
採用においては、単純な給与額のみならず、給与の構成や支給の安定性が求職者の安心感に直結するため、基本給や諸手当の設計には慎重さが求められます。特別給与、いわゆる賞与や一時金の水準も、採用において企業を選ぶ重要な要因であることから、データに基づいた透明性の高い報酬設計が信頼獲得の鍵となります。
また、出勤日数も企業文化を読み解くヒントとなります。全国平均では月17.7日であるのに対し、青森県では19.3日、北海道や岩手県では18.2~18.8日と、地方部では出勤日数が多めの傾向にあります。これは、労働生産性の観点からは一考の余地がある点であり、ワークライフバランスを重視する現代の労働市場においては、出勤形態や休暇制度の柔軟な運用が、採用競争力を高める要因となるでしょう。
こうした労働統計を踏まえた採用戦略の構築は、単に人材を確保するためだけでなく、働く人々の満足度を高め、離職率を下げるためにも極めて有効です。特に、地方都市での採用活動を行う企業にとっては、地域の労働実態を正確に把握し、数値データに基づいて待遇を設計することが、競争力の高い雇用条件を提示するための前提となります。
また、採用担当者は、データから読み取れる数字の裏側にある「現場の実情」にも目を向けるべきです。たとえば、労働時間が長い地域では、企業が十分な人員を確保できていない可能性があり、それは採用条件の見直しや働き方改革の導入によって改善される余地があります。逆に、給与が高く出勤日数が少ない地域では、求職者にとって魅力的な労働環境が整っている可能性があり、企業としてもそうしたモデルを自社に取り入れることで、採用競争力を高められるかもしれません。
このように、令和6年の労働統計は、単なる数値の羅列ではなく、地域ごとの採用市場を分析し、今後の戦略を練るうえで極めて有用な情報を提供しています。労働時間、給与、出勤日数といった要素を総合的に評価することで、企業はより魅力的な雇用条件を提示することができ、優秀な人材の確保と定着につなげることが可能になります。採用担当者にとって、こうした客観的なデータをもとにした意思決定は、今後ますます重要性を増すことでしょう。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ