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2025年5月9日

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全国の法人不動産取引が堅調、1月の取引量指数は前月比1.8%上昇の273.2に

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法人取引量指数 令和7年1月分を公表(試験運用) ~全国において、前月比1.8%上昇~(国交省)

2025年4月30日、国土交通省は法人取引量指数の令和7年1月分(試験運用)を公表しました。この指数は、法人が取得した既存建物、すなわち住宅および非住宅の移転登記データをもとに毎月加工・指数化したもので、国内の法人による不動産取引の動向を把握する上での新たな指標として注目されています。令和7年1月における全国合計の季節調整済み指数は273.2となり、前月比で1.8%の上昇が確認されました。

この法人取引量指数は、登記情報を活用することで、実際の法人による建物の売買活動を的確に捉えるものであり、不動産市場の健全性や動向を把握するための有効な分析ツールとして期待されています。今回の1月分の数値を見ると、住宅と非住宅を合計した全国ベースでの指数は上昇傾向にあり、とりわけ非住宅分野の動きが顕著でした。非住宅の季節調整値は231.5と、前月比で7.2%の大幅増を記録しており、法人による事業用不動産への投資活動が活発化している可能性が示唆されています。

一方、住宅関連では全体としてやや鈍化が見られ、住宅合計の指数は296.6と前月比0.5%の微減となりました。ただし、住宅の内訳をさらに詳しく見ると、戸建住宅については前月比0.2%増の339.1と小幅ながら上昇しており、地域によっては新築・中古を問わず、法人が戸建住宅を取得する動きが根強く続いていることがわかります。これに対して、マンションについては前月比1.5%減の258.3と落ち込みが見られ、床面積30平方メートル未満のワンルームなどに対する法人需要がやや後退した可能性が考えられます。

この指数は、2010年の平均を100とした基準値で設定されており、各月の季節性を排除したうえで、実際の取引量を反映するよう調整されています。また、既存住宅販売量指数との整合性を持たせるために、マンションに関しては床面積30平方メートル未満の取引を含むものと除いたものの双方を併用して発表するなど、実務的なニーズに即した集計方法が採られています。

地域別に見ると、特に動きが目立ったのは南関東圏と京阪神圏でした。南関東圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)では、法人取引量指数が254.4となり、前月比4.7%の上昇を記録しました。なかでも非住宅の指数は247.0と、前月比16.3%という急激な増加を示しており、オフィスビルや商業施設などへの投資需要が高まっている可能性が高いと考えられます。京阪神圏においても、住宅・非住宅ともに前月比4%台の伸びを示しており、関西圏での法人投資意欲も健在です。

また、都道府県別のデータでは、大阪府の住宅合計指数が327.3(前月比4.0%増)、非住宅指数が190.6(前月比0.5%減)と、やや非住宅では調整局面にあるものの、住宅分野では堅調な推移を見せています。東京都においても住宅合計指数が237.4、非住宅が245.1と、それぞれ安定した水準を保っており、首都圏の法人による不動産取引が全体の基調を押し上げている構図が見て取れます。

このように、全国的に見れば法人取引量の拡大傾向が続いており、特に非住宅分野の上昇が指数全体をけん引しています。これは、企業が経営資源の見直しや拠点の再配置を進めていること、また新たな事業展開に向けた不動産投資を再活性化している動きと重なります。とくに、オフィス回帰や物流施設への投資が一部で増加していることが、この統計にも表れているといえます。

企業の採用担当者や人事戦略に携わる関係者にとっても、このような不動産市場の法人取引動向は重要な情報です。新規拠点の設置や事業再編の動きは、採用計画や人材配置にも影響を及ぼすため、法人取引量指数は経営計画の参考指標として活用が期待されます。また、エリアごとの需要トレンドを的確に把握することで、将来的な人材需給バランスを見越した地域戦略の立案にもつながります。

国土交通省による法人取引量指数の公表は、今後も毎月定期的に行われる予定であり、試験運用段階とはいえ、既に不動産市場や経済政策、企業戦略にとって有用なインサイトを提供する指標として定着しつつあります。政府と企業、双方にとって、こうしたデータを活用した意思決定の精度向上が求められる時代が本格化しています。

⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ

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