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2025年4月16日

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全国の調剤医療費が6,901億円に到達、処方箋単価は9,140円で企業負担と人材戦略に影響(令和6年度11月)

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最近の調剤医療費(電算処理分)の動向 令和6年度11月号(厚労省)

令和6年度11月の調剤医療費に関する最新の分析結果が公表され、日本の医療費構造における調剤部門の重要性と、その変化の実態が改めて浮き彫りとなった。今回のデータは電算処理された調剤報酬明細書をもとに集計されており、全国の調剤動向を極めて正確に把握することができる内容となっている。

同月の全国における調剤医療費総額は6,901億円にのぼり、前年同月比で+2.2%の増加となった。この増加は、処方箋1枚あたりの医療費が9,140円で、前年からわずかに▲0.5%減少しているにもかかわらず、処方箋枚数が増加していることによって全体額を押し上げた結果である。これは、一人当たりの薬剤コストを抑制しつつも、医療ニーズの増加に伴い調剤の件数が伸びている現状を象徴している。

調剤医療費の内訳を見てみると、技術料が1,961億円で前年比+5.1%の増加、薬剤料が4,926億円で+1.1%の増加、そして後発医薬品の薬剤料が1,005億円で+4.6%の伸びを記録している。特に技術料の増加率が高いことは、薬剤師の業務負担や専門性の高度化が進行していることを示唆しており、今後の人材配置や教育体制の見直しが求められる局面にあるといえる。

後発医薬品の使用率も注目に値する。数量ベースの新指標による後発医薬品使用割合は90.6%に達しており、薬剤料ベースでも20.4%と前年より0.7ポイント上昇している。これは国の医療費削減政策や薬剤費の適正化が成果を上げていることの表れであり、医薬品の選定におけるコスト意識の高まりと患者の理解が進んでいることが背景にあると考えられる。

年齢別の内訳では、75歳以上の高齢者における調剤医療費が1,476億円で、前年比+29億円の増加となった。最も使用されている薬効分類はその他の代謝性医薬品(273億円)、循環器官用薬(248億円)、腫瘍用薬(199億円)であり、高齢者の慢性疾患やがん治療への対応が強く求められていることがわかる。一方で65歳以上75歳未満では調剤医療費が前年より43億円減少しており、高齢者層でも世代によって医療需要の違いが生じていることが見て取れる。

また、薬剤ごとの処方内容も重要な指標である。処方箋1枚あたりの内服薬の薬剤料は5,061円であり、これを3つの要素に分解すると、処方される薬の平均種類数が2.85種類(前年比+1.6%)、1種類あたりの投薬日数が26.5日(同+0.1%)、1日あたりの薬剤料が67円(同▲4.1%)となっている。ここからは、薬の種類は増えているものの、単価の抑制が進んでおり、長期投薬がスタンダード化している傾向が読み取れる。

都道府県別のデータでは、高知県が最も高い処方箋1枚あたり調剤医療費を記録し10,936円(前年同月比▲0.1%)、一方で最も低かったのは佐賀県で8,089円(+2.8%)となっている。また、伸び率が最も高かったのは福井県の+3.0%、逆に最も低かったのは茨城県で▲2.2%であった。地域ごとの医療提供体制や薬剤費の管理状況が、処方箋単価に明確に反映されていることが伺える。

後発医薬品の使用状況をさらに細かく見ると、10歳以上15歳未満の年齢層で後発品薬剤料が前年より+28.8%と最も大きく増加しており、この年齢層における薬剤費の見直しや保護者の理解の深化が進んでいることが示唆される。反対に、70歳以上75歳未満では▲5.6%の減少となっており、高齢者層での後発品利用には依然として課題が残る。

後発医薬品の都道府県別利用状況についても特徴的な差異がある。処方箋1枚あたり後発医薬品薬剤料が最も高いのは北海道の1,731円で、逆に最も低いのは佐賀県の1,150円。後発医薬品の数量ベース割合では沖縄県が94.3%で全国最高、一方で徳島県が88.0%で最低となっている。薬剤料ベースでは山形県が22.7%で最も高く、京都府が18.3%で最も低かった。

これらのデータからは、調剤分野における地域差が明確であると同時に、薬剤師の業務や薬局経営のあり方に直接的な影響を与える要素が多く含まれていることが分かる。企業の採用担当者にとっては、これらの動向を踏まえ、どのエリアにおいて人材を重点的に配置するか、どのような専門性が今後さらに求められるかを見極めるうえで極めて有益な情報である。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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