2025年4月18日
労務・人事ニュース
全国14団体を選定、自動車事故被害者の精神的支援体制が令和7年度も強化
- 看護師/2025年5月1日更新
最終更新: 2025年5月1日 11:34
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自動車事故被害者・遺族等団体による相談支援業務を継続実施します! ~令和7年度の相談支援実施団体の選定・公表~(国交省)
2025年4月1日、国土交通省は、自動車事故被害者やその遺族に対する精神的支援体制の一環として、令和7年度に相談支援を実施する団体の選定結果を公表しました。今回選定された団体は全国から14団体にのぼり、自動車事故による心身の痛みに対する相談体制のさらなる強化が期待されています。特に注目すべき点は、これまでの12団体に加えて、新たに2団体が支援のネットワークに加わったことであり、それぞれが専門的な知見と地域性を活かした支援を展開していくことになります。
日本国内では年間数十万人が交通事故により傷つき、その多くが身体的な損傷だけでなく、精神的なダメージにも苦しんでいます。特に突然の事故によって愛する家族を失った遺族や、後遺症を抱えて日常生活が一変した被害者本人にとっては、長期にわたる心のケアが必要不可欠です。これまで、そうした精神的支援は各地域で活動する被害者・遺族支援団体による自主的な努力に依存してきたのが実情であり、十分な相談体制が整っているとは言い難い状況にありました。
そうした中で、国土交通省が令和5年7月より独立行政法人自動車事故対策機構(通称ナスバ)と連携し、相談支援業務を制度として継続的に実施する体制を構築したことは、被害者支援にとって大きな一歩となりました。この制度では、ナスバが全国の相談支援団体と連携し、事故後に必要とされる精神的ケアや生活再建に関する情報提供、相談業務を支援するものであり、被害者が孤立することなく安心して支援を受けられる仕組みが整備されています。
令和7年度においては、令和6年度から継続して支援を行っている12団体に加えて、2つの新しい団体が採択されました。1つは香川県木田郡を拠点とする「一般社団法人IINE」で、脊髄損傷を抱える被害者を対象とした専門的な相談体制を構築しています。もう1つは福岡県福岡市に本部を置く「特定非営利活動法人福岡・翼の会」で、高次脳機能障害という極めて対応が難しい後遺症に対して、実体験に基づいた相談支援を提供することを目的としています。これらの団体が加わることで、より多様なニーズに対応できる全国的な支援ネットワークが強化されました。
また、ナスバによる支援制度では、相談支援団体に対して継続的な活動のための財政的支援や情報発信の機会を提供しており、制度の信頼性と持続性を確保しています。支援団体は、被害者や遺族からの相談に応じるだけでなく、必要に応じて弁護士や医師、心理カウンセラーなど専門職と連携しながら、適切な支援へとつなげるハブとして機能しています。特に近年では、事故による高次脳機能障害やPTSDといった精神的・認知的な後遺症の理解が進みつつあり、そうした専門的な知識を持った支援が全国的に求められている状況です。
相談支援業務の公募は今後も継続され、令和8年度に向けた実施団体の選定に向けた募集も既に始まっています。公募期間は令和8年2月27日までとされており、より多くの団体がこの支援体制に参画することで、さらなる相談体制の強化が期待されています。制度の設計においては、地域の特性や対象となる障害の種類に応じて柔軟に支援内容を構築できるように工夫されており、それぞれの団体が専門性を活かした独自の支援スタイルで活動できることが特徴です。
企業の採用担当者や人事戦略を担う部門にとって、この取り組みが注目される理由の一つは、社会的責任と人材戦略の接点が存在するからです。事故により働くことが困難になった人や、その家族に対する雇用支援、復職支援を実施する上で、こうした制度を活用しながら企業としてどのように社会とつながるかが問われる時代に入っています。実際に、被害者や遺族の心のケアがなされることで、再就職や社会復帰への意欲が生まれ、企業にとっても多様な人材との関係構築が可能になります。
また、事故によって社員が被害者となった場合のサポート体制を社内に整備する上でも、ナスバや支援団体との連携は有効です。心理的なケアを外部専門機関に委ねることで、職場での支援がより適切かつ効果的なものとなり、企業全体のレジリエンス向上にもつながります。こうした観点からも、本制度の動向を把握し、必要に応じて関係機関とのネットワークを構築しておくことは、人事部門の戦略的課題といえるでしょう。
このように、令和7年度の相談支援実施団体の選定は、単なる団体発表にとどまらず、自動車事故という社会的課題に対して、多様な主体が連携して解決に取り組むための具体的な一歩です。引き続き国土交通省とナスバは、支援の質と量の両面から体制を強化し、被害者や遺族が一人で悩むことのない社会の実現を目指しています。
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ