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2025年4月11日

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出生数72万人、死亡数157万人で自然減85万人(令和5年 人口動態統計)

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令和5年(2023)人口動態統計(報告書)(厚労省)

令和5年(2023年)の人口動態統計に基づく最新の分析から、日本社会が直面する少子高齢化の進行と、その構造的な影響が一層深刻になっていることが明らかとなりました。出生、死亡、自然増減、婚姻、離婚といった人口動態に関する項目は、企業の中長期的な採用計画や労働力確保、さらには福利厚生制度の設計に直接的に関わる重要な要素であり、今回の統計結果も例外ではありません。以下では、主なポイントを丁寧に読み解きながら、企業の採用担当者にとって有益な視点を交えつつ、約4000文字で解説していきます。

2023年の出生数は72万7,288人で、前年より4万3,471人減少しました。出生率(人口千対)も6.3から6.0に低下し、合計特殊出生率は1.20と過去最低の水準を更新しました。この低下は一時的な現象ではなく、長年にわたり継続的に続いてきた構造的な少子化傾向の延長線上にあるものであり、今後の日本の労働人口や消費構造に大きな影響を及ぼすことは避けられません。出生数を性別にみると、男子が37万2,603人、女子が35万4,685人で、出生性比は男子105.1となり、例年通りの水準でした。また、出生順位別に見ると、第1子が33万8,908人、第2子が26万6,195人、第3子以上が12万2,185人となっており、いずれも前年から減少しました。母親の平均年齢は第1子で31.0歳、第2子で33.0歳、第3子で34.2歳と、全体的に上昇傾向にあり、出産年齢の高齢化が進んでいる実態がうかがえます。

都道府県別に見た合計特殊出生率では、最も高かったのが沖縄県の1.60で、次いで長崎県と宮崎県が1.49でした。一方、最も低かったのは東京都の0.99で、北海道(1.06)、宮城県(1.07)と続きます。都市部を中心に出生率が顕著に低下している傾向は、若年層の生活コストの上昇や住環境の課題、キャリア優先志向など複合的な要因によるものと考えられます。この地域間格差は、企業が展開する地域拠点での採用難易度や若年人材の定着支援策にも直接影響を及ぼすため、採用戦略において十分な配慮が必要です。

一方で死亡数は157万6,016人となり、前年より6,966人の増加を記録しました。死亡率は人口千対13.0で、前年の12.9を上回っています。死亡者の増加は、全体的な高齢化と密接に結びついており、特に75歳以上の高齢者による死亡数が全体の7割以上を占めています。主要死因としては、悪性新生物(腫瘍)が最多で38万2,504人、次いで心疾患が23万1,148人、老衰が18万9,919人、脳血管疾患が10万4,533人、肺炎が7万5,753人と続いています。これらの死因は、いずれも加齢による影響が大きく、医療や介護といった社会保障分野の需要が今後ますます増加することを示唆しています。

人口の自然増減数(出生数から死亡数を差し引いた数)はマイナス84万8,728人で、前年よりもさらに5万人以上悪化しました。自然増減率は人口千対でマイナス7.0となり、過去最大級の人口減少を記録しています。これは単に出生が減り、死亡が増えたという数字以上に、今後の社会基盤や経済運営に直結する深刻な課題です。企業においても、このような人口構造の変化を受けて、地域別の人材確保や多様な働き方の導入、さらにはシニア人材の活用戦略を改めて見直すことが求められています。

婚姻件数は47万4,741件で、前年より3万189件の減少となりました。婚姻率も人口千対で3.9と前年の4.1から低下しており、未婚化・晩婚化の傾向が継続していることが確認されました。一方、離婚件数は18万3,814件で、前年より4,715件増加しています。結婚というライフイベントの減少に加えて、離婚件数の増加が社会の家族構造の多様化を反映しており、企業における家族手当や配偶者関連の制度設計にも影響を及ぼす要素となっています。

また、出生のタイミングに関するデータも注目に値します。結婚から第1子誕生までの平均期間は2.79年で、前年より0.13年長くなりました。この傾向は、キャリア形成や経済的安定を優先するライフスタイルの反映と考えられます。出生時の平均体重は男子が3.04kg、女子が2.96kg、平均身長は男子49.2cm、女子48.7cmで、大きな変化は見られませんでしたが、低出生体重児(2,500g未満)の割合は男子で8.5%、女子で10.8%と依然として高い水準を維持しています。

このような詳細な人口動態の変化は、企業の採用部門にとっても単なる統計にとどまらず、今後の人事政策、採用広報、福利厚生のあり方を再考する貴重な資料となります。特に若年層の減少は、新卒採用市場の縮小に直結するため、中途人材や地方在住者、高齢者、女性などの多様な人材層に対する柔軟なアプローチが不可欠です。また、ライフイベントを支える支援制度の整備も、働く人々にとっての企業選びの大きな要素となっており、企業の魅力度向上につながります。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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