2025年4月24日
労務・人事ニュース
利用者満足度80.5%、キャリア・インサイトのコメント量に対する高評価の理由とは
- 「夜勤なし」/正看護師/介護施設/オンコールなし
最終更新: 2025年4月30日 22:32
- 看護師/2025年5月1日更新
最終更新: 2025年5月1日 11:34
- 機械オペレーション/梱包/ライン作業 格安食堂完備 半導体の製造·検査 年休137日 社宅費全額補助
最終更新: 2025年5月1日 09:34
- 「駅チカ」/准看護師/介護施設/夜勤なし
最終更新: 2025年4月30日 22:32
就職支援機関向けWeb適性評価ツールの開発に係る基礎的検討(JILPT)
2025年3月31日に公表された独立行政法人労働政策研究・研修機構による報告「就職支援機関向けWeb適性評価ツールの開発に係る基礎的検討」は、今後のキャリア支援の在り方に一石を投じる内容となっている。この報告では、2014年より提供されているコンピュータ支援型総合的キャリアガイダンスシステム「キャリア・インサイト(統合版)」を、Webアプリケーション形式へと再構築するにあたり、その背景と課題、そして今後の開発に向けた方向性を多角的に検討している。特に、求職者の支援に関わる就職支援機関や企業の採用担当者にとっては、人材の特性や志向性を把握するための評価ツールの精度と利便性の向上は、重要な関心事であるといえる。
従来のキャリア・インサイトは、利用者が自己完結的に進められるセルフヘルプ型の設計を基本としていたが、現場では相談員の支援を伴う使用方法が主流であることが明らかとなった。この点は、2023年に実施されたハローワーク職員への簡易アンケート(回答数737)によって裏付けられたもので、80.5%がシステムのコメント量について「ちょうどよい」と評価する一方で、職業名の表示に関しては59.5%が「納得できる」とする一方で、40.4%が「納得できない」としており、改良の余地が残る点も浮き彫りになった。こうしたフィードバックは、Webシステム化において重要な検討材料となっている。
欧米諸国と日本のCACGS(コンピュータ支援型キャリアガイダンスシステム)の最大の違いは、利用者層と使用目的にある。欧米では教育機関の学生、特に高校生や大学生を主な対象とし、学科探索やキャリア意思決定スキルの訓練機能が重視されている。一方、日本のキャリア・インサイトは、ハローワーク等に来所する求職者を主な対象としており、利用は一回限りであるケースが多く、相談員との対話を通じて進められる形式が中心であった。この点は、日本の求職者のレディネス(職業選択に対する準備度)が多様であることを踏まえた、現場に即した運用方法といえる。
Webアプリケーションツールとして再構築するにあたり、三つの基本方針が定められた。第一に「検査機能と管理機能の分離」を図ることで、相談担当者が検査を個別に発行し、回答結果を保存・共有できる仕組みを構築する。第二に「適性評価システムへの限定化」を行い、現場で多用されている興味・能力・価値観・行動特性などの評価と、その総合評価機能に重点を置いたシンプルで効率的な設計に再編する。第三に「職業の表示内容・表示方法の刷新」では、job tagを基準とした職業名への統一や、特定の職業名の表示・非表示を相談担当者が制御できるようにするなど、より実用性の高い職業情報提供機能を実装する方向性が打ち出された。
このような改革の背景には、現行のキャリア・インサイトが相談支援ツールとして有用である一方で、その機能が一部に偏っていることや、現場での運用にさらなる柔軟性が求められていることがある。実際、よく使用されている機能としては、適性評価において「興味」「能力」「価値観」「行動特性」の順で活用されており、総合評価では「能力と興味の組み合わせ」が特に支持されていた。こうした利用傾向は、Web化する際の機能設計にとって有益な指針となる。
さらに、短期的な課題としては、改修されたシステムの安定稼働と機能性の確認、そして新たに追加された機能の実証が挙げられる。特に、管理機能と検査機能を橋渡しする連携部分や、職業表示のカスタマイズ機能が実際に現場で有効に機能するかどうかは、開発初期段階での入念な検証が不可欠である。一方で、長期的な課題としては、AI支援型ガイダンスシステムの進展に対応した将来的な機能拡張の検討が求められている。AIによる高度な適性分析やキャリアパスの提案は、今後セルフヘルプ型としての可能性を再び広げる可能性があり、倫理的な観点からの試行錯誤の余地も残されている。
こうした一連の検討は、就職支援に携わる行政機関や教育機関、また人材採用に関わる企業にとっても、極めて重要な示唆を提供している。特に、個々の求職者の適性や志向に応じたキャリア支援の在り方をよりパーソナライズされた形で実現することは、企業にとってもミスマッチの防止や離職率の低下、エンゲージメントの向上といった直接的な利益につながる。
現在のキャリア支援の現場においては、単に職業適性を測定するだけでは不十分であり、その結果を活かして相談担当者と協働しながら、次のステップに進むための行動計画を明確にしていくプロセスが求められている。今回のWebツール開発は、そのような対話型キャリア支援のあり方を一層促進するものとして、今後の展開が大いに注目される。