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2025年4月25日

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北海道 令和7年3月調査 タクシー業界で乗務員数が前年比40%増

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景気ウォッチャー調査(令和7年3月調査)― 北海道(現状)―(内閣府)

令和7年3月に実施された景気ウォッチャー調査における北海道の動向は、多面的な視点から地域経済の実態を浮き彫りにする内容となりました。特に注目されるのは、観光や小売といった一部分野において顕著な回復が見られる一方、生活必需品を中心とした消費分野や雇用関連において依然として厳しさが残るという二極化の傾向です。観光業では、卒業旅行シーズンに伴う若年層の増加やインバウンド需要の回復が奏功し、来客数が例年を2割上回るなど明るい材料が報告されました。特に土産物店においては、2024年比で153.8%、2023年比で165.8%と前年を大きく上回り、コロナ禍以前の2019年と比較しても211.8%という驚異的な伸びを記録しています。これは国内外からの観光客の消費意欲が戻りつつあることを示しており、地域経済にとって重要な回復の兆しといえるでしょう。

衣料品店や自動車販売店でも、春の人事異動に伴う需要や金利の優遇による販売促進策が奏功し、一定の販売増が見られました。旅行代理店では、アジア圏からの直行便や欧米からの乗り継ぎによる訪日旅行客の増加に加え、国内の音楽イベントや春休み旅行などの需要も追い風となり、航空需要全体が堅調に推移しました。また、タクシー業界では乗務員数が前年比で40%増加し、売上も55%の増加という力強い成長が報告され、雇用確保と売上の双方で明るい話題が見られます。

一方で、全体的な景気回復基調には陰りも存在します。商店街や百貨店では、地元住民の購買行動が依然として低調であり、物価高や燃料価格の上昇が日常生活に深刻な影響を与えている様子が見受けられます。特に来客数や夜間のにぎわいが減少傾向にあるとの報告が多く、地域密着型の店舗では売上回復への道のりが険しいといえるでしょう。スーパーにおいても高単価商品は一定の売上を維持しているものの、全体の来客数は減少傾向にあり、節約志向の高まりが顕著に表れています。加えて、食料品やガソリンの価格高騰が家庭の家計を直撃し、不要不急の支出が抑えられる傾向が強まっています。

住宅販売市場においても、資材費や人件費の上昇、さらには金利の上昇が重なり、厳しい状況が続いています。モデルルーム来訪者は増加傾向にあるものの、実際の購入に至るまでのハードルは高く、住宅ローンの負担増が消費者心理にブレーキをかけていることがうかがえます。また、美容室では徐々に来店頻度が回復しつつある一方で、物価上昇に対する顧客の警戒感が依然として強く、消費行動の回復にはまだ時間がかかるものと思われます。

建設業や輸送業といった企業動向に目を向けると、年度末に向けた需要増や公共投資の堅調な推移により、好調な業績を報告する企業も見られました。特に建設業では、追加工事によって利益率が高まった現場が多く、計画を上回る業績となる見通しが立てられています。輸送業界ではバターや紙パルプの取り扱い増に加え、本州間の雑貨輸送が活発化しており、物流面では一定の動きが見られます。しかしながら、人手不足の影響が依然として深刻であり、特に技術者不足が業務量の制限要因となっている点は無視できません。

さらに雇用関連では、求人数自体は緩やかに増加しているものの、求職者の急増により需給のミスマッチが深刻化しているとの指摘がなされています。職業安定所によれば、2月の有効求人倍率は0.83倍と前年を0.06ポイント下回っており、新規求人数も前年比で17.8%の減少、月間有効求人数も10.2%の減少と、9か月連続で前年割れとなっています。これは、企業が採用に慎重姿勢をとっている現状を示しており、人手不足に悩む一方で適切な人材を確保できないというジレンマが続いています。

業種別にみると、医療・運輸・建設など一部の業界では求人が増えているものの、全体としての求人数は横ばいか微増にとどまり、特に地方における雇用の停滞感が色濃く表れています。これは、地場企業の収益性に限界があることや、高収益ビジネスモデルの構築が難しいとされる背景に起因しており、採用力の低下にも直結していると考えられます。

こうした状況下で企業の採用担当者に求められるのは、単なる人員確保ではなく、スキルと業務内容との適合性を重視した戦略的な人材配置です。求職者数が増えているからといって必ずしも人手不足が解消されるわけではなく、企業側の求めるスキルとのギャップが埋まらない限り、採用の質の向上は難しいといえます。また、ITや通信業界では、予算通りに業績を維持している企業もある一方、販売人員の不足や派遣単価の高騰によって現場の負担が増し、離職リスクの高まりも懸念されています。

全体として、北海道における景気の現状は、「明暗混在」という言葉がふさわしい状態にあります。一部の業種では回復基調が顕著であり、観光や物流、建設などでは実績としても好調さが裏付けられていますが、日常消費や住宅、雇用といった分野では依然として厳しい局面が続いています。今後の景気回復に向けては、地域住民の購買力の回復や、企業の採用体制の見直し、そして労働市場におけるマッチング精度の向上が鍵となるでしょう。

⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ

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