2025年4月16日
労務・人事ニュース
医療費総額が3兆7388億円に到達、入院医療の増加で医療人材の需要が加速(令和6年度11月)
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最終更新: 2025年4月30日 22:32
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最終更新: 2025年5月1日 11:34
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最終更新: 2025年5月1日 09:34
最近の医療費の動向-MEDIAS- 令和6年度11月 最近の医療費の動向[医療保険医療費](厚労省)
令和6年度11月時点での医療費動向に関する厚生労働省の統計によって、日本の医療費が引き続き堅調に増加している実態が明らかとなった。医療費全体の支出は国の財政に直結する重要な要素であり、高齢化が急速に進行する日本にとっては、今後の医療制度の持続可能性を見通すうえでも、その変化を詳細に把握することが求められている。企業にとってもこれは無関係ではなく、医療費の増減は社会保障費の調整、保険料の見直し、さらには医療・福祉人材の需給に直接影響を与えるため、最新の医療経済の実情を理解することは人材戦略にも深く関わってくる。
令和6年11月単月の医療費総額は3兆7388億円となり、前年同月に比べて約1.9%の増加が見られた。これは医科入院医療費の伸びに大きく支えられており、同月の医科入院費は1兆4697億円に達し、前年同月比で3.4%増加している。特に注目すべきは、一日あたり医科入院医療費が4万4838円と前年を超えており、1年前の水準より約3.3%上昇している点である。この上昇は単なる物価の影響だけでなく、治療の高度化や高齢患者の増加、あるいは慢性疾患の長期療養化といった医療現場の実情を反映したものであると考えられる。
受診延べ日数も着実に増えており、11月だけで327.8万日分が記録され、前年同月比で横ばいながら、長期的には増加基調を維持している。とりわけ75歳以上の後期高齢者による受診が増えており、この層に対応できる医療施設や人材の整備が急務である。後期高齢者医療費の割合は総医療費の40%を超え、今後の人口動態を見通す限り、この比率はさらに高まる可能性が高い。これにより、在宅医療、訪問看護、長期入院施設などにおける人材需要が一層強まることが予想される。
医科入院だけでなく、外来医療や調剤部門でも支出の増加が確認されている。11月の医科入院外医療費は1兆2786億円、調剤医療費は7784億円と、いずれも前年同月を上回る金額で推移している。外来診療における一日あたり医療費は約2万382円、調剤においては1回あたり8653円となっており、いずれも緩やかな上昇が続いている。これは薬剤の高機能化や処方の多様化、外来医療における慢性疾患管理の重視が進んでいることが背景にある。
また、医科入院における1件当たりの日数は14.4日と、長期入院が依然として続いていることを示している。特に高齢者や重症患者では在院日数が長期化する傾向があり、1人当たりの医療費は11月単月で平均11万995円となった。この水準は前年と比べても2.3%の上昇を示しており、今後も一定の上昇傾向が続く可能性がある。
このような医療費の動向は、企業の採用活動にも影響を与えている。特に医療関連産業や介護福祉分野では、需要の高まりに伴い、即戦力となる経験者の採用だけでなく、若年層や異業種からの転職者を対象とした育成型採用が加速している。さらに、病院の経営改善やコストマネジメント、IT導入などを目的とした医療事務や分析職といった新しい職種への関心も高まっている。企業が将来的に必要とする人材像は、単に医療の専門知識を持つ者にとどまらず、医療経済や制度の変化に対応できる柔軟性と理解力を備えた人材へと変化している。
医療費の地域格差や年齢別負担の不均衡、さらには被用者保険と国民健康保険の構造的違いなど、日本の医療制度が抱える課題は少なくない。しかしながら、こうしたデータが定期的に公表されることによって、企業もまた、自社の健康経営方針や保険制度選択、さらには職場の働き方改革を進めるための判断材料を得ることが可能となっている。特に中小企業においては、医療費の上昇が保険料負担の増加へと直結するため、医療費動向を正確に把握することは経営のリスク管理上も極めて重要である。
これからの人材採用市場において、こうした医療費のトレンドは「需要の高い職種」と「将来性のある分野」を見極めるための一つの指標ともなる。医療経済は個人の健康と社会全体の福祉、そして企業の生産性を支える基盤でもある。したがって、統計の裏にある実情を読み取り、それを戦略に落とし込むことこそが、現代の企業経営に求められる力と言えるだろう。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ