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2025年4月26日

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四国先行き 新卒採用市場で早期化進むも、地方中小企業の応募率が前年比10ポイント減(令和7年3月調査)

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景気ウォッチャー調査(令和7年3月調査)― 四国(先行き)―(内閣府)

令和7年3月に実施された景気ウォッチャー調査に基づく四国地域の先行き動向は、全体としては一進一退の状況が続いており、特定分野では回復の兆しが見られる一方で、物価高や賃金上昇の遅れ、消費行動の低迷といった構造的課題が依然として景気の足を引っ張っていることが明らかになりました。観光やイベント関連分野では期待が高まっているものの、小売業や製造業、雇用市場においては先行きの不透明感が根強く残っており、企業の採用担当者にとっては、人材確保の難易度が今後さらに上昇することが懸念される状況となっています。

小売業では、スーパーやコンビニ、商店街などから物価上昇による購買控えの影響が報告されており、特に4月以降に予定されている再度の値上げにより、買い回りや買上点数の減少が進むとの見通しが示されています。スーパーの店長や財務担当者からは、顧客の節約志向が一層強まり、消費者が物価高騰に耐えられなくなってきているという声があがっており、販売価格の調整が難しい現状では、売上維持よりも利益確保に苦心している店舗が少なくありません。また、地元百貨店では、瀬戸内国際芸術祭や大阪・関西万博による観光客の増加に期待する声もあるものの、地元消費は依然として厳しいとの見方が大勢を占めています。

家電量販店においても、来客数は安定しているものの、物価高騰の影響により、必要最低限の買い物にとどまる傾向が強まっており、売上の増加にはつながっていないとの報告がなされています。新年度からのさらなる値上げの影響で、生活必需品以外の商品の販売が伸び悩むことが予想され、今後の収益改善には限界があるとみられています。さらに、文具店などの専門小売では、材料費や燃料費の上昇により、今後10%程度の値上げが避けられないと見られていますが、売価への転嫁が難しく、業績への影響が懸念されています。

一方で、観光業やイベント関連施設では、春の花見シーズンや台湾便の増便に伴うインバウンド需要の増加、瀬戸内国際芸術祭を起点とした人流の拡大により、客数の増加を期待する声が多く寄せられました。観光遊園地や都市型ホテル、旅館では、繁忙期に合わせた集客施策が奏功しつつある一方で、外国人観光客を中心とした施設と日本人中心の宿泊施設では収益構造に明確な差が見られ、人件費や原材料費の高騰が利益率を圧迫しているとの声もありました。

飲食業では、イベント需要や新年度の歓送迎会シーズンを迎えるにあたり、集客への期待が高まる反面、価格上昇により売上が伸び悩む可能性が懸念されています。特に、原材料や酒類の仕入れ価格の上昇により、価格転嫁が追いつかない状況が続いており、採算確保が困難との報告も複数寄せられました。一般レストランでは、例年4月以降は売上が低下する傾向があり、イベント需要による一時的な押し上げ以上の回復は期待しにくいとの見解が示されています。

製造業では、繊維工業やパルプ・紙製品業においては、初夏にかけて需要が伸びる季節性を背景に売上増加が期待されていますが、米国の関税政策やウクライナ情勢など、国際的な政治・経済の不透明さが大きな懸念材料となっています。特に自動車関連や電気機械器具製造業では、主要顧客の購買動向が鈍化しており、事業分野によっては大きな停滞が見込まれている一方で、バイオ関連業務など新たな分野への転換が一部で進んでいるとの報告もあります。

建設業では、公共工事の動向や住宅購入意欲の低下が受注に影響を与えており、次年度以降の民間案件にある程度の見通しが立っているものの、材料費高騰によるコスト負担増が依然として続いています。設計事務所では、大型プロジェクトが建設費の高騰により中止や見直しとなっている事例も報告されており、計画から実行への移行が難しい環境にあることがうかがえます。

雇用分野では、引き続き多くの業界で人材不足が続いており、特に地方の中小企業では都市部との採用競争において不利な立場にあるとの認識が広まっています。人材派遣会社や職業安定所からは、賃金改定の圧力や人件費・エネルギーコストの上昇による企業負担が重くのしかかり、求人活動の停滞を招いているとの声が上がっています。また、学校や新卒採用市場では、採用活動の早期化が進む中で、地方企業への応募が伸び悩んでいる傾向も指摘されており、地元就職の促進に向けた取り組みが求められています。

このように、四国地域における先行き見通しは、観光やイベントを中心とした明るい要素がある一方で、物価高騰、採用難、人件費負担の増大といった構造的な問題が景気の足かせとなっており、企業の採用担当者にとっては待遇面の見直しや職場環境の改善、多様な働き方への対応が喫緊の課題であるといえます。

⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ

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