2025年3月22日
労務・人事ニュース
国内サイバーセキュリティ産業の売上高3兆円超を目指す、新たな政策戦略で企業の競争力向上へ
- 看護師/2025年5月1日更新
最終更新: 2025年5月1日 11:34
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最終更新: 2025年5月1日 03:01
我が国から有望なサイバーセキュリティ製品・サービスが次々に創出されるための包括的な政策パッケージ「サイバーセキュリティ産業振興戦略」を取りまとめました
経済産業省は2025年3月5日、日本のサイバーセキュリティ産業を強化するための包括的な政策パッケージとして「サイバーセキュリティ産業振興戦略」を取りまとめた。この戦略は、国内におけるサイバーセキュリティの技術基盤を強化し、成長可能な産業として確立することを目的としている。現在、日本のセキュリティ製品市場は海外製品が大半を占めており、国内企業の競争力が十分に発揮されていない状況にある。また、企業がセキュリティ製品を導入する際に実績を重視する傾向が強いため、新規参入企業やスタートアップが市場に浸透することが難しく、結果として技術開発への投資が進みにくいという課題が存在する。こうした状況を改善するため、政府は国内企業の技術力を強化し、競争力のある製品やサービスの開発を促進するための一連の政策を打ち出した。
この戦略では、政府機関が有望なセキュリティ製品やサービスを試行的に導入し、実績を積む機会を提供することが明記されている。従来、国内のセキュリティ企業はシステムインテグレータを中心とする商流の中で、大手の既存製品に対抗することが難しく、新技術の普及が進まなかった。しかし、政府が率先して新しい技術を評価し活用することで、国内のセキュリティベンダーが販路を拡大しやすい環境を整えることが期待されている。さらに、有望な製品や企業の情報をリスト化し、政府機関や業界団体に提供することで、より多くの企業が国産製品を選択できる環境を整える。この取り組みにより、国内企業のセキュリティ製品の認知度を高め、信頼性を向上させることが可能になる。
加えて、サイバーセキュリティ分野における革新を促進するため、コンテスト形式の技術開発支援制度が導入される。この制度では、セキュリティ関連の社会課題を解決する技術を持つ企業を公募し、優れた技術や事業モデルを表彰することで、より多くの企業が新たなセキュリティ製品の開発に挑戦することを促す仕組みとなっている。また、政府は約300億円規模の研究開発プロジェクトを立ち上げ、サイバーセキュリティ技術の社会実装を後押しする。これにより、最新の技術が実際のビジネスシーンで活用される機会が増え、国内セキュリティ企業の成長を支えることになる。
また、国内のシステムインテグレータと国産セキュリティベンダーの連携を強化するためのマッチングの場も設けられる。現在、国内のセキュリティ市場では、大手システムインテグレータが主導する商流が確立しており、新規参入企業がこれに加わることが難しい状況にある。今回の戦略では、この商流の中に国内の新興セキュリティ企業が参入しやすい仕組みを整え、新しい技術が適切に市場へ供給される環境を構築することが目指されている。この取り組みによって、国内セキュリティ企業の事業拡大を促進し、海外製品に依存しない安全なセキュリティ環境の実現を図ることができる。
さらに、サイバーセキュリティの供給力を支える人材の確保にも重点が置かれている。高度な専門知識を持つ人材の育成を促進するため、政府はセキュリティ教育のプログラムを拡充し、キャリア形成を支援する仕組みを導入する。また、国内のセキュリティ企業が海外市場に進出できるよう、標準化戦略の推進や国際的な企業・人材交流を促進する施策も展開される。これにより、国内のセキュリティ企業が国際競争力を持ち、グローバルな市場での成長を果たすことが期待される。
今回の戦略では、これらの施策を3年以内、5年以内、10年以内のロードマップに沿って実施し、最終的に2035年までに国内サイバーセキュリティ市場の売上高を現在の約0.9兆円から3兆円超に拡大することを目標としている。これは、国内のサイバーセキュリティ産業を国際的に競争力のある産業へと発展させるための重要なステップであり、日本の安全保障の確保やデジタル赤字の解消にも寄与するものと考えられる。特に、近年のサイバー攻撃の増加や企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)の進展に伴い、サイバーセキュリティの重要性はますます高まっており、国内産業の競争力向上が急務となっている。
今後、経済産業省は、業界関係者との連携を強化し、本戦略に基づく具体的な施策を推進していく。企業にとっても、セキュリティ対策の強化は避けられない課題であり、国内市場の成長に伴い、新たなビジネスチャンスが生まれる可能性がある。特に、スタートアップ企業や中小企業にとっては、政府の支援を活用しながら市場に参入しやすくなるため、今後の成長戦略を見直す契機となるだろう。
企業の採用担当者にとっても、この政策は重要な意味を持つ。サイバーセキュリティ分野の需要が拡大する中で、優秀な技術者の確保が企業の競争力を左右する要素となる。高度な専門知識を持つ人材の育成が進むことで、企業のセキュリティ対策の強化が図られるだけでなく、新たな事業機会の創出にもつながる。政府の支援を活用し、セキュリティ関連の人材育成や技術開発を積極的に進めることが、今後の企業成長の鍵となるだろう。
⇒ 詳しくは経済産業省のWEBサイトへ