2025年4月14日
労務・人事ニュース
外来種の新規定着を50%削減へ、2030年に向けた国の戦略が企業に求める役割とは
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最終更新: 2025年5月1日 22:32
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「外来種被害防止行動計画第2版」の公表について(農水省)
2024年3月28日、農林水産省・環境省・国土交通省の三省共同で策定された「外来種被害防止行動計画第2版」が正式に公表されました。本計画は、2015年に策定された初版の行動計画を全面的に見直し、2030年までの目標を明示したものであり、国内外の外来種問題に対する包括的かつ実践的な対応を強化するものです。世界的にも外来種による生態系の破壊や経済活動への影響が大きな課題とされており、この分野における国家戦略の刷新は、企業にとっても環境リスク管理やESG経営の一環として注目に値します。
本計画の改定は、2022年に採択された「昆明・モントリオール生物多様性枠組」や2023年に閣議決定された「生物多様性国家戦略2023-2030」、さらには同年施行された改正外来生物法といった、国内外の生物多様性関連の動向を踏まえて行われたものです。また、2023年9月にはIPBES(生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム)による外来種に関する評価報告書が公表され、「侵略的外来種の影響は今後も増加し続ける」との警鐘が鳴らされました。こうした背景から、今回の行動計画はこれまで以上に実効性を重視した内容となっており、企業の参画も明確に期待されています。
第2版の計画では、「2030年までに国内の生態系等に対する負の影響を軽減し、ネイチャーポジティブの実現に貢献する」という明確な目指すべき姿を掲げています。そのための全体目標として、「未定着の種の定着を予防し、定着した種を拡大させない」「定着初期の種を根絶する」ことが設定されています。具体的には、定着予防外来種に分類される種のうち、特定外来生物として指定されたものについては定着をゼロに抑えること、またその他の種については2015年~2020年の定着数と比較して50%以下に抑えることが指標として掲げられています。
行動計画には、国、地方公共団体、民間企業・団体、国民、研究機関、生物展示施設、教育機関、メディアなど、合計8つの関係主体が想定されており、それぞれに対して具体的な役割と行動が割り当てられています。企業にとっては、外来種対策の実施主体としてのみならず、教育・普及啓発、資金・人材支援、国際貢献など、多角的な関与の可能性が示されています。たとえば、外来種のモニタリング活動に協力したり、CSR活動の一環として地域の防除活動を支援したりすることは、地域貢献と企業ブランディングを両立させる手段となります。
さらに、行動計画では、目標達成に向けた6つの基本的な行動指針が示されています。これには、防除計画の策定、対策の実行、人材育成と普及啓発、情報の共有と研究の推進、国際連携、そして外来種対策を通じた感染症対策が含まれており、すべての主体が協働して取り組む体制の強化が求められています。特に企業が貢献できる分野としては、研究開発への投資、普及啓発活動の推進、そして従業員への教育プログラムの提供などが挙げられます。サステナブルな経営に取り組む企業にとって、自社の事業が生態系に与える影響を見直し、外来種対策に資するアクションを実装することは、新たな企業価値の創出につながるといえます。
今回の行動計画では、定着初期の外来種の根絶や、分布拡大の防止についても具体的な数値目標が設定されています。たとえば、特定外来生物でない種の新規定着数を従来比で半減させることや、特定外来生物のうち新たな市区町村での分布確認数をゼロに保つことが指標として示されており、こうした指標の達成には、企業を含めた地域全体でのモニタリングと初期対応が不可欠となります。
また、本計画は教育・研究機関やメディアなどへの期待も大きく、外来種に対する正しい知識の普及や社会全体の意識向上を通じた予防的措置の強化が強調されています。企業がこうした活動に積極的に関わることで、次世代人材への環境教育や社会貢献の新しいモデルを提示することも可能です。特に採用活動においては、企業の環境への取り組み姿勢が若年層の志望動機に大きく影響する傾向があり、外来種対策という比較的新しい分野での実績や関与は、企業の魅力を高める要因となるでしょう。
今後、本計画の実施状況や成果は定期的に検証され、必要に応じて修正が加えられる予定です。また、2026年度までには新たな「生態系被害防止外来種リスト」の策定も予定されており、外来種の分類や対応方針もさらに精緻化される見通しです。企業としては、これらの動向を注視しながら、自社の事業活動が地域生態系に及ぼすリスクを的確に捉え、持続可能な経営のための戦略を柔軟に構築していくことが求められます。
⇒ 詳しくは農林水産省のWEBサイトへ