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2025年4月10日

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外資系企業の48.7%が増収、売上アップに国内協業が効果を示す調査結果を公開

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2024年度 外資系企業ビジネス実態調査(JETRO)

2025年3月25日に日本貿易振興機構(ジェトロ)より発表された「2024年度 外資系企業ビジネス実態調査」の結果は、対日投資の現状と課題、さらに今後のビジネス戦略を多角的に浮き彫りにしたものでした。対象は日本国内に拠点を置く外資系企業7,301社で、そのうち1,427社から有効な回答が寄せられ、有効回答率は19.5%でした。本調査の目的は、外資系企業の経営実態を把握し、日本におけるビジネス環境の改善や対日投資促進政策の立案に資する情報を提供することにあります。

まず注目すべきは、外資系企業の業績動向に関する結果です。2024年の売上動向では、全体の48.7%の企業が増収を達成しており、減収企業の割合24.0%を大きく上回りました。これは前年に比べて増収企業の割合が6.6ポイント減少したとはいえ、依然として日本市場における外資系企業の事業が堅調に推移していることを示しています。特にサービス業においては、依然として約5割の企業が増収を記録しており、消費回復や観光需要の影響が業績を下支えした可能性が高いとみられます。

さらに、事業計画の進行状況についても明るい兆しが見られました。「想定通りに進行している」と答えた企業は59.2%に上り、前年の56.0%を上回る結果となっています。これは、日本国内でのパートナー企業や顧客との関係性の深化、安定した商習慣への適応が功を奏したことが影響していると推察されます。また、日本国内の企業や大学、研究機関との協業や連携を実施・検討している企業においては、売上の伸びが顕著であり、国内リソースを活用した取り組みが成果につながっていることが示唆されています。

一方で、外資系企業が日本市場において抱える課題も依然として存在しており、その最たるものが「人材確保の難しさ」です。高度人材・一般人材ともに採用難の傾向が強まり、企業の約6割が営業・マーケティング人材の確保に課題を感じていると回答しています。次いで、IT・技術職の確保についても約4割の企業が難しさを感じており、特に製造業では人材確保の困難さが際立っています。この背景には、国内における少子高齢化による労働力不足、専門性を備えた人材の偏在、ならびに企業文化への適応支援不足など複合的な要因があると考えられます。

また、日本のビジネス環境に対する魅力としては、引き続き「市場規模・成長性」が最も多く挙げられており、次いで「社会・経済/地政学上の安定性」、「充実したインフラ」が続いています。特に安定性に対する評価は昨年度よりもさらに高まり、日本の相対的な信頼性が再認識される結果となりました。これは、世界的な地政学的リスクの高まりの中で、日本の政治的・経済的安定が外資系企業にとって安心材料となっていることを意味します。

こうした環境のもとで、外資系企業の約54.2%が今後日本国内での事業を「強化・拡大する」と回答しています。この数値は前年の62.4%よりもやや減少したものの、依然として過半数の企業が日本市場を成長戦略の一環として重視していることが読み取れます。親会社の所在地別では、欧州系企業の57.8%が拡大を計画しており、北米系企業における拡大意向は48.6%と若干控えめではありますが、一定の意欲が維持されていることがわかります。

地政学的リスクに対する意識も変化しています。特に中国との関係性においては、製造コストの上昇や取引環境の複雑化などを理由に、東南アジア諸国への生産拠点移転を検討・実施している企業が増加しています。これに伴い、日本国内における製造拠点の重要性や調達ネットワークの再編が進んでおり、より柔軟かつ多元的なサプライチェーンの構築が求められています。

採用担当者にとってこの調査結果が意味するところは極めて大きいです。企業が安定的に成長するためには、優秀な人材を確保し、その能力を最大限に引き出す環境づくりが欠かせません。とりわけ外資系企業は、日本市場においてローカライズされたサービス提供が求められるため、営業やマーケティングといった対人能力が重視されるポジションでの人材確保が成否を分ける鍵となります。また、ITやエンジニアリング領域での人材競争は激化しており、他社との差別化を図るためには、採用ブランディングや教育制度の充実がますます重要になります。

企業の組織運営においても、地政学リスクへの対応として拠点の分散や役割の再編が求められており、それに対応できる多様なスキルを持った人材の育成と確保が急務となっています。将来的には、グローバル志向を持ちながらも地域社会との連携を重視する「ハイブリッド型人材」が必要不可欠となるでしょう。

⇒ 詳しくは独立行政法人日本貿易振興機構のWEBサイトへ

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