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2025年3月27日

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大卒若年者の都市流入率が1.112倍に!非定型相互タスク需要が採用市場に与える影響とは?

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タスク需要と若年者の地域間移動 ―男女別・学歴別の分析(JILPT)

令和7年3月10日、独立行政法人労働政策研究・研修機構は「タスク需要と若年者の地域間移動 ―男女別・学歴別の分析」と題した研究結果を発表した。本研究では、日本の都道府県における職業別タスク需要の地域差が、若年者の移動にどのような影響を及ぼしているかを分析した。調査期間は1980年代後半から2010年代後半の4期間にわたり、厚生労働省の「日本版O-NET」や総務省の国勢調査個票データなどを活用して、学歴別・男女別の移動傾向を明らかにしている。

本研究の主な発見として、第一に、若年者の地域間移動において、地域ごとのタスク需要の格差が重要な要因となっていることが判明した。特に、高度な対人スキルを求める「非定型相互タスク(例:マネジメント業務)」の需要が高い県には若年者が流入する傾向があり、逆に、身体的な負荷が大きい「非定型手仕事対人タスク(例:サービス・ケア業務)」の需要が多い地域からは流出が見られる。つまり、若年者はスキルを活かせる高需要地域へと移動し、労働負担の高い地域を避ける傾向がある。また、全国的に需要が減少している「非定型手仕事身体タスク(例:運転・建設・農林漁業作業)」が多い地域へも移動する傾向が確認された。

第二に、男女間で移動の傾向に違いがあることが明らかとなった。女性は、高度な分析スキルを要する「非定型分析タスク(例:分析業務)」や「非定型相互タスク(例:マネジメント業務)」が多い地域へ移動しやすいが、男性にはこの傾向が顕著には見られない。また、男女ともに、全国的に需要が減少している「非定型手仕事身体タスク」が多い地域への移動も観察されており、これは伝統的な産業が根付く地域への若年層の流入を示している可能性がある。

さらに、第三の発見として、学歴による移動パターンの違いが確認された。特に、大学卒以上の若年者は、頭脳的タスクの地域差に敏感であり、男性は「非定型相互タスク(マネジメント業務)」が多い地域、女性は「非定型分析タスク(分析業務)」が多い地域へ移動する傾向が強い。これに対し、高校卒以下の若年者は地域のタスク需要と移動の間に統計的な関連性が見られなかった。また、大学卒以上の若者は都道府県間の移動率が高く、特に大卒女性は高度なスキルを要する仕事の多い地域へ移動する傾向が強いため、都市部への流入が進んでいることが確認された。

政策的な示唆としては、以下の3点が挙げられる。第一に、労働市場の変化に対応するため、高度な分析スキルや対人スキルの育成支援が重要である。第二に、地方で高スキルの若年労働者を確保するには、ICT投資の促進など戦略的な雇用開発が効果的である可能性がある。第三に、地域ごとの労働市場データを積極的に活用し、若年者のマッチング支援を充実させることが求められる。これらの施策により、若年者の移動の偏りを是正し、地方の労働力確保を強化することが期待される。

本研究は、今後の労働政策に大きな示唆を与えるものであり、特に若年者の労働市場への適応を促進するための基礎資料として活用されることが期待される。企業側も、本研究結果をもとに、どのような地域にどのようなスキルを持つ人材が流入しているのかを分析し、採用戦略に活かすことが求められる。

⇒ 詳しくは独立行政法人労働政策研究・研修機構のWEBサイトへ

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