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2025年4月1日

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女性の賃金が前年比4.8%増!人材獲得競争が激化する中での企業の対応策(令和6年賃金構造基本統計調査)

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令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況 性別(厚労省)

厚生労働省が発表した「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、全国の労働者の平均賃金は前年よりも大幅に上昇し、特に女性の賃金増加率が目立つ結果となった。調査結果によると、一般労働者の月額平均賃金は33万400円で、前年比3.8%増となっている。これは平成3年以来33年ぶりの高い伸び率であり、日本の労働市場における賃金の上昇傾向が続いていることを示している。男性の平均賃金は36万3,100円(前年比3.5%増)、女性は27万5,300円(前年比4.8%増)となっており、女性の賃金増加率が男性を上回る傾向が見られる。男女間の賃金格差も縮小し、男性の賃金を100とした場合の女性の賃金水準は75.8で、前年より1.0ポイント改善されている。

年齢別に賃金の推移を見てみると、男性では年齢が上がるにつれて賃金も上昇し、55~59歳で44万4,100円に達した後、60歳以降は下降傾向を示している。20~24歳の賃金を100とした場合、55~59歳の賃金は189.6に相当し、年齢とともに大幅に上昇する構造になっている。一方で、女性の賃金の上昇カーブは男性に比べると緩やかであり、45~49歳の29万8,000円がピークとなっている。女性の20~24歳の賃金を100とした場合の指数は129.2にとどまり、男性のように急激な上昇は見られない。この男女差の背景には、女性が出産や育児を機に一時的に労働市場から離脱するケースが多いことや、管理職に就く割合が低いことなどが影響していると考えられる。

短時間労働者の賃金も上昇しており、1時間当たりの平均賃金は1,476円で、前年比4.5%増となった。男性の時間給は1,699円(前年比2.5%増)、女性は1,387円(前年比5.7%増)で、短時間労働者においても女性の賃金増加率が高いことが分かる。短時間労働者の平均年齢は45.9歳、勤続年数は6.5年と、一定の経験を持つ労働者の割合が高い。企業側にとっては、短時間労働者の賃金引き上げがコスト増加につながる一方で、労働市場の流動性が高まり、優秀な人材を確保しやすくなるという側面もある。

このような賃金の上昇傾向の背景には、いくつかの要因が考えられる。第一に、日本全体で進行する人手不足の影響が挙げられる。特に中小企業では、慢性的な労働力不足が続いており、従業員の定着率を高めるために賃金の引き上げを行うケースが増えている。特に建設業や製造業などの分野では、経験豊富な人材を確保するために高い給与を提示する企業が増加している。第二に、政府の最低賃金引き上げ政策の影響も大きい。全国的に最低賃金が上昇したことで、それに伴い企業の給与水準が底上げされる傾向が見られる。特にパート・アルバイトなどの非正規雇用者の賃金が上昇しており、短時間労働者の平均賃金の伸び率が高いのもこの影響によるものである。

また、企業の人事制度の変化も賃金上昇の一因となっている。近年、多くの企業が賃金制度を見直し、成果に応じた報酬を支払う仕組みを導入している。特に、専門性の高い職種においては、スキルや経験に応じた給与体系を採用する企業が増えている。例えば、ITエンジニアやデータサイエンティストなどの分野では、優秀な人材を確保するために市場価値に見合った給与を設定する傾向が強まっている。これにより、特定の業界においては、一般労働者の賃金水準よりも高い水準での給与設定が行われるようになっている。

一方で、賃金の上昇は企業にとってコスト増加の要因ともなるため、経営面での課題も浮上している。特に中小企業では、賃金引き上げの影響を受けやすく、利益率の低下を招くリスクがある。そのため、多くの企業が労働生産性の向上に取り組んでおり、デジタル技術の活用や業務の効率化を進めている。例えば、業務の効率化を図るためにRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を導入する企業が増えており、単純作業を自動化することで、人件費の負担を軽減する試みが進んでいる。

こうした状況を踏まえ、企業は賃金制度の見直しや採用戦略の変更を検討する必要がある。特に、優秀な人材を確保するためには、給与面だけでなく、働きやすい環境を整えることも重要である。例えば、フレックスタイム制やリモートワークの導入、育児支援制度の拡充など、多様な働き方に対応する取り組みが求められる。従業員のワークライフバランスを考慮し、長期的に働き続けられる環境を提供することで、企業の魅力を高めることができる。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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