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2025年4月16日

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女性就業者が42万人増加、正規雇用は16カ月連続上昇で企業の採用競争激化(労働力調査 令和7年2月分)

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労働力調査(基本集計)2025年(令和7年)2月分(総務省)

総務省統計局が発表した最新の労働力調査によれば、2025年2月時点での日本の就業者数は6768万人に達し、前年同月比で40万人の増加となった。これで就業者数の増加は実に31カ月連続となり、持続的な雇用拡大の傾向が明確に示された。また、雇用者数も6152万人と、前年同月から64万人増加しており、こちらは36カ月連続の増加である。とりわけ女性の増加が目立っており、前年同月と比較して42万人の増加を記録した一方、男性は2万人の減少となっており、女性の就業機会の広がりが顕著に表れている。

雇用形態別に見ると、正規の職員・従業員は3644万人で、前年同月比27万人増、非正規の職員・従業員は2147万人で13万人の増加となっている。正規雇用が16カ月連続で増加しているのに対し、非正規雇用は2カ月連続の増加となっているが、その割合は依然として高く、役員を除いた雇用者のうち37.1%が非正規という構成比となっている。これは、企業側の柔軟な雇用戦略の反映とも言える一方、雇用の安定性や労働条件の格差を巡る議論にもつながるデータである。

産業別では、医療・福祉分野の就業者数が前年同月から23万人増、宿泊業・飲食サービス業では21万人増、サービス業(他に分類されないもの)でも15万人の増加が見られた。一方で、製造業では12万人、建設業で4万人の減少が記録されており、産業構造の変化や人材流動の方向性を読み取ることができる。特に医療・福祉分野の人手不足は深刻化しており、この分野での就業者増は需要の高まりを如実に反映しているといえる。

就業率全体は61.7%で、前年同月比0.5ポイントの上昇が確認された。年齢層別では15~64歳の就業率が79.3%と、0.7ポイントの上昇を記録し、20~69歳に限れば81.4%とさらに高い水準に達している。男女別では男性が84.1%、女性が74.3%となっており、女性の就業率は前年同月比で1.3ポイント上昇している。これは働き方改革や女性の就業支援策の成果が数値として現れた形といえる。

一方で、完全失業者数は165万人となり、前年同月比で12万人の減少が見られた。失業率も2.4%と、前月比0.1ポイントの低下となっており、労働市場は引き続き安定傾向を示している。失業の理由別では、「勤め先や事業の都合による離職」が22万人、「自発的な離職(自己都合)」が73万人、「新たに求職」が45万人と、いずれも減少傾向にある。この中でも「新たに求職」に該当する人が4万人減少していることは、求職活動の早期成功や就業機会の増加を反映していると考えられる。

年齢別に見ると、完全失業者のうち男性では「45~54歳」「55~64歳」「65歳以上」で、女性では「25~34歳」「35~44歳」の各年齢層で減少が見られた。特に中高年層の男性での失業者数減少は、企業側の人手不足に対する対応としてシニア層の活用が進んでいる可能性を示唆している。また、女性では育児と仕事の両立支援策の効果により、働き続ける選択が可能になっていることも一因と見られる。

非労働力人口も4035万人と、前年同月比で47万人の減少があり、これは36カ月連続の減少である。働き手としてカウントされていなかった層が、就業または求職に動き出したことを意味しており、経済活動への参加が広がっている様子がうかがえる。特に若年層や高齢者層において、社会参画を意識した動きが活性化しているとみられる。

さらに、季節調整値による分析でも、就業者数は6816万人と前月比で11万人減少しているものの、完全失業者数は168万人と6万人の減少が見られている。失業率も2.4%と0.1ポイント低下しており、雇用環境は安定の中に改善傾向が続いていると評価されている。特に非正規の職員・従業員数は前月比で27万人減少しているのに対し、正規雇用は9万人増加しており、雇用の質的な改善が進んでいることがうかがえる。

このように、2025年2月時点の日本の労働市場は、全体として雇用拡大と失業率低下という二つの好材料が並行して進んでおり、特に女性や高齢者の労働参加が雇用のけん引役を担っていることが明らかとなった。一方で、産業別では依然として人手不足と構造変化の影響を受ける分野もあり、業界ごとの戦略的な人材確保が重要になっている。企業にとっては、採用市場の実態を把握したうえで、柔軟な雇用制度の導入や、多様な働き方を支援する環境整備が今後ますます求められていくと考えられる。

⇒ 詳しくは総務省のWEBサイトへ

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