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2025年3月29日

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官庁施設の老朽化進行、築後30年以上の施設が53.9%に増加

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保全への取組状況が良好な庁舎等の割合は高水準を維持「国家機関の建築物等の保全の現況」を公表(国交省)

令和7年3月13日、国土交通省は「国家機関の建築物等の保全の現況」を公表し、今年度の保全実態調査の結果を発表した。この調査は、国家機関が所有・管理する建築物及びその附帯施設の適正な保全を目的として毎年度実施されているものであり、その結果を基に官庁施設の維持管理に関する現状と課題が明らかにされる。

今回の調査結果によると、庁舎等における保全の取組状況が良好な施設の割合は99.4%と、昨年度から0.2ポイント上昇し、引き続き高水準を維持していることが分かった。これは、国家機関における建築物の保全管理が概ね適切に実施されていることを示しており、施設の点検や維持管理体制の強化が進んでいることがうかがえる。

しかし一方で、築後30年以上経過した官庁施設の割合は増加傾向にあり、令和6年3月末時点で53.9%に達している。これは、日本の官庁施設の老朽化が進んでいることを示しており、長期的な視点での修繕や改修の必要性が高まっていることを示唆している。

施設の状況について詳細に分析すると、外壁や漏水、設備機器に関して著しい支障が見られる庁舎等の割合は3.9%であった。また、老朽化の兆候が見られる庁舎等の割合は50.9%に上り、過半数の施設で何らかの老朽化の兆候が確認された。これらの結果から、今後の官庁施設の保全においては、老朽化対策が重要な課題となることが明らかになった。

これに対して、外壁や漏水、設備機器の3項目すべてにおいて良好な状態を維持している庁舎等の割合は45.2%であり、半数近くの施設は大きな問題なく維持管理されていることが確認された。このことから、施設の管理状況にはばらつきがあり、一部の施設では優れた保全が行われている一方で、老朽化の進行が顕著な施設も少なくないことが分かる。

国土交通省では、こうした状況を踏まえ、今後の官庁施設の保全計画を見直し、必要な修繕や改修を適切に実施していく方針を示している。特に、築後30年以上が経過した施設の増加に伴い、計画的な修繕や改修を行うことで、施設の長寿命化と安全性の確保を図ることが求められている。

また、施設の老朽化に対応するためには、最新の建築技術や省エネルギー技術の活用も不可欠である。例えば、耐震補強工事や省エネ改修工事を行うことで、安全性の向上と運用コストの削減を両立させることが可能となる。さらに、デジタル技術を活用した建築物の管理システムを導入し、施設の状態をリアルタイムで把握することによって、より効率的な維持管理が実現できる。

官庁施設の保全に関する取組は、単に建物の維持管理にとどまらず、公共サービスの提供にも直結する重要な課題である。特に、災害時の拠点となる庁舎などの施設については、耐震性や防災対策の強化が必要不可欠であり、緊急時においても機能を維持できるような対策が求められる。

今後の官庁施設の保全に関する施策としては、長期的な保全計画の策定と実施が重要となる。特に、築後30年以上の施設の割合が増加している現状を考慮すると、予防的なメンテナンスや改修計画を前倒しして実施することが求められる。また、官庁施設の維持管理に関わる人材の確保と育成も重要な課題であり、専門的な知識を有する技術者の育成や、最新の維持管理手法の導入が必要となる。

今回の調査結果を踏まえ、国土交通省は今後も「国家機関の建築物等の保全の現況」を毎年度公表し、官庁施設の維持管理状況を透明化するとともに、より適切な保全対策を推進していく方針である。政府機関としては、これらのデータを基に、効率的な予算配分を行いながら、必要な施設の修繕や改修を計画的に進めていくことが求められる。

今回の調査では、保全の取組が良好な施設の割合が99.4%と高水準を維持している一方で、老朽化の兆候が見られる施設が50.9%に達していることが明らかとなった。今後は、老朽化対策の強化と計画的な改修の実施が、官庁施設の維持管理における最重要課題となる。国土交通省は、これらの課題に対応するため、技術的な支援や制度の見直しを進めながら、持続可能な官庁施設の管理を推進していく考えである。

⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ

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