2025年4月6日
労務・人事ニュース
宿泊業界向け災害時連携システムの実証実験を実施!全国1,300施設が参加した防災訓練の成果とは
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宿泊業界向け緊急時連携システム構築のための調査結果について(観光庁)
宿泊業界向けの緊急時連携システムの構築に向けた調査業務が、観光庁を中心に進められている。近年、日本各地で頻発する自然災害において、宿泊施設は避難者の受け入れや被害状況の報告を求められるケースが増えている。しかしながら、こうした緊急時の対応においては、情報の一元化がされておらず、関係者間での共有が円滑に進まないという課題が浮き彫りとなっている。こうした背景を踏まえ、宿泊施設の被害状況や受け入れ可能な部屋数を迅速に把握し、正確な情報を各関係者が共有できるシステムの構築が求められている。
本調査では、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)をはじめとする宿泊業界団体と連携し、緊急時に求められるシステム要件についての調査と実証を行った。特に、令和6年に発生した能登半島地震において、石川県、福井県、富山県、新潟県の宿泊施設が受けた影響を分析し、災害発生時の宿泊業界の対応状況を詳しく検証した。この調査により、災害時には宿泊施設に対する問い合わせが急増し、その対応に追われることで、必要な支援が遅れるといった問題が発生していたことが確認された。例えば、透析患者などの特別なケアを必要とする被災者を受け入れる体制を早急に確保しなければならない状況でありながら、宿泊施設の最新情報がリアルタイムで更新されないために、適切な手配が進まないケースが発生していた。
こうした課題を解決するため、調査では、緊急時連携システムの設計・開発が進められた。このシステムの特徴としては、各宿泊施設がリアルタイムで被害状況や受け入れ可能な部屋数を入力し、その情報を自治体や宿泊業界団体が迅速に把握できるダッシュボードを設ける点が挙げられる。また、自治体が直接宿泊施設の予約を行えるポータルサイトを構築し、避難者の受け入れをよりスムーズにすることも検討されている。これにより、宿泊施設のオペレーション負担を軽減するとともに、必要な支援が適切に行われる環境を整えることが可能となる。
調査の一環として、宿泊施設に対する大規模なアンケートも実施され、全国の宿泊施設1,013件からの回答が集まった。このアンケートでは、宿泊施設が緊急時に直面する課題として、情報共有の遅れ、受け入れ基準の曖昧さ、宿泊費用の負担問題、避難者への食事提供の難しさなどが挙げられた。これらの課題を解決するためには、情報を統一フォーマットで共有し、費用負担のガイドラインを明確化することが不可欠であるとされている。
さらに、実証実験の一環として、全国の宿泊施設1,300施設を対象に、防災訓練を実施した。この訓練では、仮システムを用いて宿泊施設の被害状況や受け入れ可能な部屋数を迅速に報告する手法が試行され、その有効性が確認された。また、宿泊施設向けのシステム説明会や運用サポートを実施し、導入時の課題や運用面での改善点を洗い出した。特に、情報共有のリアルタイム性を高めるために、スマートフォンを活用したプッシュ通知機能や、位置情報を活用したマッピング機能の導入が求められている。
今後の課題としては、緊急時における情報共有のさらなる迅速化や、多言語対応の強化が挙げられる。現在、多くの宿泊施設が外国人観光客を受け入れており、災害時には多言語での情報提供が求められる。英語や中国語、韓国語をはじめとする多言語対応機能の導入が、システムの実用性を高める上で重要となるだろう。また、自治体や他の防災関連システムとの連携を進めることで、災害発生時の対応をより包括的に行うことができる。
次年度以降は、今回の実証実験を踏まえ、さらに大規模な試験運用を行い、システムの改良を進めることが計画されている。観光庁や業界団体と協力し、全国レベルでの防災訓練を実施することで、システムの有効性を確認し、より実用的な形に仕上げていく方針だ。また、統一的な災害対応マニュアルの策定や、宿泊施設向けの研修プログラムの充実も図られる予定である。
⇒ 詳しくは観光庁のWEBサイトへ