2025年3月29日
労務・人事ニュース
山岳トンネル工事の省人化が本格始動、国土交通省が自動施工試行工事を開始
- 栄養士/福岡市中央区/常勤/介護施設/唐人町 福岡市営地下鉄空港線
最終更新: 2025年4月30日 07:00
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最終更新: 2025年5月1日 03:01
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最終更新: 2025年4月30日 22:32
- 「夜勤なし」/正看護師/介護施設/ブランクのある方も歓迎
最終更新: 2025年4月30日 22:32
山岳トンネルの省人化施工に関する試行工事を開始します ~i-Construction2.0 施工のオートメーション化に向けた取組を推進~(国交省)
国土交通省は令和7年度より、山岳トンネル工事の省人化施工に向けた試行工事を開始することを発表した。この取り組みは、「i-Construction2.0」の一環として進められており、建設業界の労働力不足や熟練技術者の減少といった課題に対応するため、自動施工技術の普及と促進を目的としている。従来の山岳トンネル工事は、高度な技術と熟練工の手作業に依存してきたが、技術革新を活用することで省人化を実現し、生産性向上と安全性の強化を図る狙いがある。
建設業界では労働力の確保が年々困難になっており、特に熟練技能者の減少が深刻な問題となっている。平成9年には685万人いた建設業就業者数は、令和5年には483万人にまで減少し、技能者数も455万人から304万人へと大幅に減少している。特に55歳以上の建設業従事者の割合は36.6%に達しており、高齢化が進行している。一方で、29歳以下の若年層の割合は11.6%にとどまり、新規人材の確保が難しい状況にある。こうした背景を受けて、建設現場の省人化と自動化は急務となっている。
山岳トンネル工事における自動施工技術の導入は、労働力不足の解決策としてだけでなく、安全性の向上にも寄与する。従来のトンネル工事では、切羽(掘削最前線)での作業中に「肌落ち災害」と呼ばれる事故が発生するリスクが高く、特に支保工建込や装薬作業時において作業員が危険にさらされることが多かった。自動施工技術を導入することで、こうした危険な作業を遠隔操作やロボット技術で代替し、作業員の安全確保を強化することが可能となる。
今回の試行工事では、自動施工技術の適用が有効とされる工事において、実施要領や積算基準などの技術基準類を整備することが目的とされている。令和7年度には、3件程度の試行工事を実施し、技術の検証と標準化を進める計画だ。発注方式としては、総合評価落札方式「技術提案評価SI型」が採用され、入札公告に「省人化施工試行工事(トンネル)」であることを明示する。また、当該試行工事の受注実績がない企業も評価対象とすることで、より多くの省人化・自動施工技術が試行できるよう配慮されている。
「i-Construction2.0」は、2040年度までに建設現場のオートメーション化を進めるという長期的なビジョンのもとで推進されており、省人化による生産性の向上、安全性の確保、働き方改革の促進を目的としている。具体的な目標として、2040年度までに省人化を3割進め、生産性を1.5倍に向上させることが掲げられている。また、遠隔操作技術やロボット技術の活用により、従来の「3K」(きつい・汚い・危険)を「新3K」(快適・稼げる・かっこいい)に転換し、建設業のイメージ改革を進める狙いもある。
自動施工技術の導入により、建設現場では作業員の負担を軽減し、少人数でも効率的に施工が可能となる。例えば、トンネル掘削においては、削孔位置のマーキング、装薬孔の削孔や清掃、装薬・結線・点火、ずり出し(掘削した岩や土の搬出)などの工程を自動化することで、作業時間の短縮と人的ミスの削減が期待できる。また、支保工の設置や吹付けコンクリートの施工も自動化することで、従来の手作業よりも安全かつ高精度な施工が可能となる。
さらに、ICT技術を活用した施工管理の効率化も進められている。AIを活用して工程や安全管理を行い、建設現場の状況をリアルタイムで把握することで、施工の最適化を図ることができる。これにより、従来の経験や勘に頼る管理から、データに基づいた精密な管理へと移行し、建設業の生産性向上につながると期待されている。
国土交通省は、試行工事を通じて得られたデータをもとに、技術基準の整備や実施要領の策定を進める方針であり、今後も継続的に自動施工技術の普及を支援する計画だ。また、企業に対しても、省人化施工技術の開発・導入を促進するための支援策を検討しており、技術革新を加速させるための環境整備を進めていく。
今後の課題としては、自動施工技術の標準化やコストの低減が挙げられる。自動施工技術は、導入コストが高く、特に中小企業にとっては負担が大きいことが課題となっている。そのため、技術開発の進展とともに、コスト削減策を講じながら普及を促す必要がある。また、技術者の育成も重要なポイントであり、自動施工技術を扱うための専門的な教育・訓練の拡充が求められる。
建設業界の労働力不足が深刻化する中で、i-Construction2.0の取り組みは、建設現場の持続可能性を確保する上で極めて重要な施策となる。特に、山岳トンネル工事のような過酷な作業環境においては、自動施工技術の導入によって作業の安全性と効率を向上させることが急務となっている。試行工事を通じて実証データを蓄積し、技術のさらなる発展と普及を目指すことで、将来的にはより多くの建設現場での適用が期待される。
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ