労務・人事ニュース

  • TOP
  • お知らせ
  • 労務・人事ニュース
  • 平時の備えと有事の迅速対応を制度化、道路法等の改正が令和7年4月に施行

2025年4月29日

労務・人事ニュース

平時の備えと有事の迅速対応を制度化、道路法等の改正が令和7年4月に施行

Sponsored by 求人ボックス

「道路法等の一部を改正する法律」が成立し、 その一部の施行に伴う関係政省令が公布及び施行されました ~改正法の円滑な施行を図ります~(国交省)

令和7年4月16日、国土交通省は「道路法等の一部を改正する法律」の一部施行に伴う関係政省令の公布および施行を行いました。今回の法改正は、頻発する自然災害や全国的なインフラの老朽化が社会問題化する中で、平時からの備えを強化し、有事における初動対応の迅速化と実効性の向上を目指す重要な制度改革と位置づけられています。特に、道路交通の安全性と円滑性の確保が国家的な課題として再認識される中、国と地方の連携体制を明文化・制度化することで、災害時における公共インフラの対応能力を底上げする狙いがあります。

このたび公布・施行された政省令では、地方自治体が管理する自動車駐車場を、国土交通大臣の判断により災害対応に活用するための管理代行制度の運用が可能となりました。これは、災害発生時において被災地の即応力を高めるため、従来は地方自治体単独で対応していた施設運営に、国が直接的に関与し支援できる体制を整備するものです。具体的には、国が都道府県や市町村に代わって駐車場の管理を行うことができるようになり、災害時における緊急車両の駐車、物資集積所の設置、避難所支援といった多様な活用が想定されています。

また、今回の政省令改正においては、国土交通大臣が地方道路公社の管理する道路について災害復旧等の代行を行う場合に必要となる手続きや技術的な読替えについても規定が整備されました。これにより、地方道路公社が管理する道路においても、国による復旧支援が円滑に行えるようになり、自治体の財政的・人的負担を軽減するとともに、より迅速な道路復旧が可能となることが期待されています。これらの措置は、広域災害時における政府と地方の機動的な連携のあり方を体現するものであり、地域住民の生命・財産を守るインフラ機能の堅持に大きく貢献します。

加えて、道路啓開計画の法定化も今回の改正の柱の一つです。道路啓開とは、災害時に障害物を迅速に除去し、緊急輸送道路や避難ルートを確保する活動を指します。これまでは行政機関ごとの対応に委ねられていた啓開活動が、今後は法的根拠を持って計画的に実施されることになり、災害時の対応がより制度的・戦略的なものへと進化していきます。特に今回の法改正では、道路啓開に関連する国の代行権限に、警察署長との協議を要する占用許可に関する権限や、災害対策基本法に基づく車両の移動命令なども追加されており、災害現場での即応力が飛躍的に向上する内容となっています。

これら一連の制度整備は、官民を問わず多くの企業活動にも直接的な影響を与えるものです。災害時の交通機能の確保は、物流、建設、エネルギー、通信といった基幹産業にとって極めて重要であり、今回の法改正によって国の支援体制が明確化されたことで、企業の事業継続計画(BCP)にも新たな安心材料が加わることになります。特に、自社施設や物流ネットワークが地方に広がっている企業にとっては、国が管理代行や復旧支援を迅速に行える体制が整ったことで、インフラ被害時の事業影響を最小限に抑える可能性が高まりました。

企業の採用担当者にとっても、こうした公共政策の動向は人材確保の観点から注目すべきテーマです。災害対応能力の強化や、社会的インフラを支える仕組みづくりに関心を持つ若年層にとって、安全・安心に資する事業に携わる企業は魅力的に映ります。また、国と連携しながら公共インフラの維持に貢献する体制を社内で構築している企業は、SDGsやESGへの対応を重視する志望者にもアピールポイントとなります。採用戦略において、こうした制度改正をいち早く捉えた広報活動を展開することが、将来的な競争優位にもつながると考えられます。

最後に、改正法に基づき整備された政省令の具体的内容は、法的に整理された代行権限、技術的読替え、手続きの簡素化など多岐にわたります。これは単なる緊急対応の枠を超え、日常的なインフラ管理の在り方そのものを見直す契機ともなります。これからの社会に求められるのは、災害に強いだけでなく、平時からの準備と制度整備を通じて“レジリエンス”を高める取り組みです。今回の法改正とその施行は、その大きな第一歩であり、今後も関連する制度設計が段階的に進んでいくことが予想されます。

企業がこの流れを的確に捉え、自治体や国との連携体制を構築していくことで、事業の安定性だけでなく、地域社会への信頼構築にもつながります。今後の企業活動において、災害対応力やインフラ協働力といった視点は、単なるCSRの枠を超えて、経営戦略の中核をなすものになるかもしれません。

⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ

パコラ通販ライフ