労務・人事ニュース

  • TOP
  • お知らせ
  • 労務・人事ニュース
  • 年金生活者支援給付金が令和7年度に月額5,450円へ引上げ、前年より140円増

2025年4月8日

労務・人事ニュース

年金生活者支援給付金が令和7年度に月額5,450円へ引上げ、前年より140円増

Sponsored by 求人ボックス

厚生労働省関係の主な制度変更(令和7年4月)について 年金生活者支援給付金額の改定(厚労省)

令和7年度の年金生活者支援給付金の金額が引き上げられ、月額基準額が5,450円となることが決定されました。これは令和6年度の5,310円から140円の増額となっており、消費者物価指数の変動、すなわち物価上昇率2.7%を反映した結果です。この給付金制度は、公的年金等の収入金額とその他の所得の合計が一定額を下回る年金受給者を対象に、生活支援の一環として支給されているもので、年金制度の下支えとして重要な役割を果たしています。

年金生活者支援給付金の導入は、年金制度そのものが物価や賃金の変動に応じて給付額を調整する構造である一方で、生活水準に影響を受けやすい低所得層への補完的支援を強化することを目的としています。支給対象者は、老齢基礎年金を受けている人のうち、一定の所得基準を下回る方であり、原則として住民税が非課税であることが求められます。また、障害年金や遺族年金を受け取っている人にも、所得条件を満たす場合に支給されることがあり、それぞれ障害年金生活者支援給付金、遺族年金生活者支援給付金として支給されます。令和7年度の支給額は、障害年金1級が月額6,813円(前年は6,638円)、2級は5,450円(前年は5,310円)、遺族年金生活者支援給付金は同じく5,450円に改定されます。

この改定は、単なる金額の引き上げにとどまらず、年金制度における所得再分配機能の強化を象徴する動きです。特に高齢期における所得格差が拡大する傾向にある中、生活が困難な高齢者層への重点的な支援を通じて、最低限の生活水準の確保を図る意義が高まっています。物価の上昇によって食料や光熱費などの生活必需品の価格が上がる中、固定的な年金収入だけに依存している世帯にとって、こうした小規模ながらも継続的な増額は、確実に家計を支える重要な手段となります。

このような制度の動きは、企業にとっても無関係ではありません。近年、定年後も働き続ける「アクティブシニア」が増加しており、年金受給と就業を両立する働き方が拡大しています。その中で、年金支給額や支援給付金の水準は、シニア人材の就業意欲や働く時間帯の選択、労働条件への希望などに影響を与える可能性があります。特に、非正規や短時間勤務など柔軟な雇用形態を導入している企業では、こうした年金に関する情報提供を通じて、就業意欲の維持や人材確保に貢献することができます。

さらに、人事戦略の観点からは、社員に対するライフプラン支援の一環として、公的年金や支援制度に関する理解促進が求められています。特に家族に年金受給者や高齢の扶養者がいる現役世代の社員にとっては、親の年金状況を知ることで、介護や住宅に関する計画を立てやすくなるため、企業側からの制度情報提供は、福利厚生の一環として非常に有意義です。また、福利厚生制度や退職後の支援プログラムの充実は、離職防止や企業イメージ向上にもつながることから、年金生活者支援給付金を含む各種公的支援制度に関する情報を整理・提供する姿勢が、企業の魅力度を高める要素にもなり得ます。

今後も、物価や賃金の動向に応じて給付金の金額は調整される見込みですが、制度の根幹には「すべての高齢者が人間らしく生活できる水準を維持する」という理念が据えられています。したがって、企業がこうした社会保障制度の変化を正しく理解し、それを雇用政策や人材マネジメントに反映することは、単なる法令遵守にとどまらず、持続可能な経営戦略として位置づけられるべきです。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

パコラ通販ライフ