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2025年4月5日

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建設出来高総計が5兆4,431億円!前年比8.0%増(建設総合統計 令和7年1月分)

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建設総合統計(令和7年1月分)(国交省)

令和7年3月19日、国土交通省総合政策局建設経済統計調査室は、「建設総合統計」の令和7年(2025年)1月分のデータを発表した。この統計は、建設工事の出来高を毎月集計し、公的部門および民間部門に分けて日本全体の建設経済の動向を示す重要な資料である。令和7年1月の出来高総計は、前年同月と比較して8.0%の増加となり、金額にして5兆4,431億円に達した。これは、コロナ禍からの回復と建設投資の活性化が継続していることを裏付ける結果である。

出来高総計の内訳を見ると、民間部門の出来高は2兆4,965億円であり、前年同月比で5.7%の増加を記録した。そのうち建築部門は2兆2,260億円で4.9%の伸びを示し、とりわけ居住用建築は1兆9,798億円で5.7%の増加となった。これは、住宅市場の底堅い需要と金利環境の安定による住宅取得の動きが続いていることを反映している。一方で、非居住用建築の出来高は3,404億円にとどまり、前年と比較して9.9%の減少となった。商業施設やオフィスビルなどの新規開発において慎重な姿勢が見られることが影響している。

土木分野では、民間土木の出来高は533億円で前年同月比3.6%の増加を記録した。これは、都市インフラ整備や老朽化した構造物の改修工事が継続していることを示しており、民間による公共的なインフラ投資が一定の水準で推移していることがわかる。

公共部門の出来高総計は2兆4,427億円となり、こちらも前年同月比で4.0%の増加となった。建築分野では9,798億円で前年同月比5.7%増となっており、公共建築物の新築・改修が堅調に推移していることを示している。特に、学校や医療福祉施設などの社会インフラ系建築への投資が活発である。一方で、居住用建築に関しては明確な金額は示されていないものの、過去の傾向からしても公共住宅の整備は縮小傾向にあり、全体の増加に対する寄与度は限定的と考えられる。

土木分野においては、公共土木の出来高が1兆7,462億円に達し、前年同月比で3.5%の増加を見せた。これは、国や地方自治体による防災・減災関連の大型プロジェクトや、インフラの老朽化対策としての橋梁や道路、河川整備等が継続して進められていることが要因とされる。特に、国土強靭化の一環として進められている事業が地域ごとに活発化しており、それが公共土木分野の出来高を押し上げている。

なお、建設投資における四半期別の動向をみると、季節要因も加わり1月は年間の中でも低い水準になりやすいが、それにもかかわらず今回のような伸び率を記録したことは、業界にとって明るい兆しである。また、近年の建設資材価格の上昇や人件費の高騰といったコスト増加要因を考慮すると、出来高の増加は実需の伸長を示しており、名目だけでなく実質的な成長が伴っていることがうかがえる。

民間部門における居住用建築の回復は、都市部を中心とした再開発事業やマンション建設の再活性化、郊外地域における戸建て住宅の需要増など、広範な地域での住宅市場の安定が背景にある。また、テレワークの定着によって都市近郊に広がる住宅地の人気が再び高まりつつあり、これが新築住宅需要を押し上げていると見られる。

一方で、非居住用建築の減少は、企業による設備投資の抑制が一因とされる。特に、オフィス需要の不透明感や小売業の出店戦略の見直しにより、大規模な商業施設の建設が鈍化している。さらに、昨今の消費動向の変化により、リアル店舗からオンラインシフトが進んでおり、それが非居住用建築の需要減退にも影響している可能性がある。

公共建築では、地域の人口減少に伴い、新規の施設建設は抑制される傾向にあるものの、老朽化した学校や庁舎などの改修需要は依然として根強く、リニューアル案件が出来高の増加に寄与している。これに加え、地域医療体制の再構築や福祉施設の拡充も進められており、これが公共建築分野の成長を支えている。

全体として、建設業界は資材価格や人件費の上昇、さらに労働力不足といった課題を抱えながらも、着実に投資を増やしており、出来高の増加は経済活動の回復と成長意欲を裏付けるものとなっている。今後の動向としては、住宅ローン金利の動きや企業の設備投資戦略、公共投資の配分方針などが重要な要素となる。特に、2025年に向けた国の予算編成と地域再生政策の連動によって、建設市場にどのような波及効果が及ぶかが注目される。

⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ

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