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2025年5月3日

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建設出来高5兆6,515億円、前年比3.8%増(建設総合統計 令和7年2月分)

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建設総合統計(令和7年2月分)(国交省)

国土交通省が令和7年4月18日に公表した最新の建設総合統計によれば、2025年2月における全国の建設工事の出来高総計は5兆6,515億円となり、前年同月比で3.8%の増加を記録しました。この数字は、日本経済全体の動向を示す上で重要な意味を持ち、建設業界にとっても非常に注目すべき結果となっています。景気回復の兆しや、公共投資の継続、民間の再開発需要の高まりなどが複合的に作用した結果として、堅調な伸びを示したと言えるでしょう。

出来高総計の内訳を詳しく見ると、民間部門が2兆7,055億円で、前年比1.4%の増加となりました。とりわけ、民間建築工事の出来高は2兆3,434億円に達し、そのうち居住用建築は1兆4,320億円と前年同月比で7.1%増と大きな伸びを示しています。これは、都市部を中心とした分譲マンションの建設ラッシュや、郊外エリアでの戸建住宅の需要増加などが影響していると見られます。一方、民間非居住用建築は9,153億円で5.1%の増加となり、オフィスビルや商業施設、物流倉庫といった再開発や新規開発案件が引き続き堅調であることが示されています。民間土木工事については1,038億円で、前年同月比4.6%の増加となりました。これは地域インフラの整備や防災関連の土木工事の拡大が背景にあると考えられます。

一方、公共工事の出来高は2兆9,204億円と、前年同月比で5.1%の増加を記録しました。このうち、公共土木工事は1兆8,844億円となり、前年比4.0%の伸びを示しました。特に、老朽化した道路や橋梁、堤防の補修・更新工事が全国的に進められていることが、数値の押し上げに寄与しています。公共建築に関しては居住用が509億円(前年同月比2.8%増)、非居住用が2,639億円(前年比13.2%減)という結果でした。公共の非居住用建築が前年に比べて減少している点については、前年度に大型の庁舎や教育施設の建設が集中していたことによる反動と見ることができます。

このような統計データは、建設業界に限らず、関連産業や労働市場、地域経済にまで影響を及ぼす重要な経済指標として注目されます。たとえば、居住用建築の活況は、住宅設備業者や不動産会社、さらにはインテリア、家電、物流といった周辺産業の業績にも直結します。同時に、それを支える設計者、現場監督、施工管理技士、職人といった人材の需要が高まり、労働市場でも建設関連の人材採用が活発化することが予想されます。

特に、都市再開発の進展や災害対応に伴う公共インフラ整備が全国的に進んでいることから、建設業界では高い専門性を持った人材の確保が喫緊の課題となっています。これには、構造設計や設備設計、環境配慮設計に携わる技術者に加え、施工管理の経験を有する中堅層、さらには現場作業を担う若手技術者の継続的な確保が含まれます。加えて、DX(デジタルトランスフォーメーション)やBIM(Building Information Modeling)の導入が進む中で、ICTスキルを持つ人材の採用も不可欠となってきています。

このような背景から、企業の採用担当者にとっては、従来の人材像にとどまらず、多様な専門性や柔軟性を備えた新しい人材像を描き、それに応じた採用戦略の再構築が求められます。特に、2025年から本格化する建設現場の省人化・自動化に備え、ドローン操縦者やデータ解析技術者といった異業種人材の登用も現実味を帯びています。

さらに、公共事業における安定した受注が見込まれる状況では、長期雇用を前提とした人材育成が重要性を増してきます。とりわけ、地域密着型の中小建設会社においては、地域の若年層を対象としたインターンシップの充実や、技能実習制度の活用、高齢技能者からの技術継承など、持続的な雇用モデルの構築が経営上の最優先課題となっています。

建設総合統計の数値は、単に月次の業績を示すものではなく、企業の中長期的な人材戦略や設備投資計画、地域展開の判断材料としても有効に活用できます。たとえば、特定の月における公共土木の出来高が顕著に伸びた場合には、それに伴う資機材の需要増が想定されるため、サプライチェーン全体の体制強化や業務量に応じた人員配置の調整が必要となります。こうした先読みを行うためにも、毎月の統計データを継続的にモニタリングし、社内の意思決定に反映する取り組みが重要となってくるでしょう。

今後、国や自治体によるグリーンインフラ、カーボンニュートラル推進に関わる建設投資も見込まれる中で、建設業界全体が持続可能な方向へと進化していくことが予想されます。その中で、企業はどのような人材を採用し、どのように育てていくかという課題と常に向き合っていく必要があるのです。

⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ

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