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2025年5月20日

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建設工事受注額16.5兆円突破、前年比19.7%増で12か月連続プラスの好調推移(令和7年3月分)

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建設工事受注動態統計調査報告(令和7年3月分)(国交省)

令和7年5月に公表された最新の「建設工事受注動態統計調査報告」によれば、令和7年3月の建設工事における受注高は、全国で総額16兆5,471億円に達し、前年同月比で19.7%の大幅な増加を記録しました。この数字は12か月連続での前年超えを示しており、建設業界の受注環境が引き続き好調であることを物語っています。こうした傾向は、公共工事および民間工事の双方において見られており、企業の活動が建設需要を後押ししていると同時に、業界全体における景況感の改善を反映しているといえます。

元請と下請の受注高に注目すると、元請受注高は12兆2,718億円となり、前年同月比で21.7%の増加となりました。特に民間等からの発注が顕著であり、前年同月比で31.4%の増加という大きな伸びを見せています。一方、公共機関からの受注は4兆829億円で、こちらも5.9%の増加と堅調な動きを示しています。下請受注高は4兆2,753億円で14.3%の増加となり、下請業者への発注も着実に増加していることが明らかになっています。これらのデータからは、元請企業の施工能力と組織力、下請企業の技術対応力が共に高まっている様子がうかがえます。

業種別で見ると、総合工事業が全体で11兆5,578億円の受注高となり、前年同月比で25.1%の増加を記録しました。これは13か月連続の増加であり、特に住宅や事務所、工場・発電所といった大規模施設の建設が堅調であることが背景にあります。また、設備工事業は3兆2,047億円、職別工事業は1兆7,846億円と、いずれも前年を上回る数値となっており、専門分野における需要も引き続き強い状況にあります。

建築工事の内訳を見ると、建築工事は7兆4,696億円で前年同月比33.0%増、機械装置等工事は8,745億円で13.7%増加しました。中でも住宅に関する工事は9,022億円、事務所は7,028億円、工場・発電所は5,858億円と、いずれも前月比・前年比ともに顕著な伸びを見せており、不動産業や製造業、金融業などからの発注が活発化していることが分かります。

一方、土木工事の分野でも堅調な動きが見られ、総額で3兆9,278億円を計上し、前年同月比6.2%の増加となっています。鉄道工事や治水・治山などの公共インフラ整備がその主な内訳であり、国および地方自治体の政策に基づいた投資が一定の役割を果たしているといえます。

地域別に見ると、北海道における受注高は6078億円で前年同月比55.3%の増加を示し、全国でも最も高い伸び率となりました。特に総合工事業と職別工事業での受注が増加しており、寒冷地でのインフラ補強や再開発事業が進展している可能性が高いと推測されます。また、関東地域では約8兆8,668億円の受注が確認され、首都圏の経済活動が建設需要を強く牽引していることがわかります。東京都単独では6兆8,275億円もの受注があり、全国の約41%を占める結果となっています。

さらに特筆すべきは、金融業や保険業による建設投資の大幅な増加です。令和7年3月のデータによれば、この分野の建築工事受注額は3,571億円に達し、前年同月比でなんと1,205.9%の増加という記録的な伸び率を示しました。この現象は、大規模な事務所ビルや支店再整備などの投資再開が本格化していることを示しており、企業の設備投資マインドが回復基調にあることを裏付けるものです。

企業の採用担当者にとって、これらの建設受注動向は単なる経済指標にとどまらず、人材戦略や中長期の経営計画に密接に関わる情報です。建設業界全体の需要が増加する中で、建築・設備・土木といった各専門分野に対応できる技術者や現場管理者の確保は、企業の競争力を大きく左右します。特に受注が集中している都市部や再開発地域では、専門人材の争奪戦が激化する傾向があり、早期からの人材育成と採用強化が求められます。

また、企業はこうした好況期にこそ、若手人材の確保と長期的な育成に注力すべき時期といえます。受注の波に翻弄されるのではなく、安定的な人材基盤を整えることが、業績の継続的な成長につながると考えられるためです。中でも施工管理技士や電気・配管の施工管理経験者などの専門職種は、今後ますます高い需要が見込まれるため、資格取得支援や現場経験の早期提供など、企業による支援体制の整備が差別化要因となるでしょう。

このように、令和7年3月の建設工事受注動向は、建設業界が引き続き力強い成長基調にあることを示すとともに、企業の採用・育成戦略においても重要な方向性を示唆しています。今後も統計データを的確に読み解き、変化に柔軟に対応することが、すべての企業にとって必要不可欠な経営判断の基盤となるでしょう。

⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ

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