2025年4月18日
労務・人事ニュース
排出量5億8,647万トン、事業者数12,044社が報告した最新GHG集計結果とは(令和4(2022)年度温室効果ガス排出量)
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温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度に基づく令和4(2022)年度温室効果ガス排出量を集計しました(経産省)
2025年4月1日、経済産業省と環境省は、温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度に基づき、令和4年度(2022年度)に特定排出者から提出された温室効果ガス排出量の集計結果を取りまとめ、公表しました。本制度は「地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)」に基づき、一定量以上の温室効果ガスを排出する事業者に対して、排出量の算定と報告を義務づけ、報告された情報を国が取りまとめて一般に公表するものです。この取り組みは、排出者自身が排出実態を正確に把握し、温室効果ガス削減に向けた自主的な取り組みを進めるための重要な基盤となっており、国民や事業者全体の意識向上を目的としています。
今回公表されたデータによると、令和4年度の報告対象となった事業者数は、特定事業所排出者が12,044事業者(15,258事業所)で、前年度の11,963事業者(14,915事業所)から微増しています。これらの事業者から報告された排出量の合計は5億5,951万トンの二酸化炭素換算(tCO2)で、前年度の5億8,797万トンから減少しており、環境対策が一定の効果を上げていることがうかがえます。さらに、国内認証排出削減量などを考慮した調整後の排出量は5億3,050万トンとなっており、こちらも前年度の5億6,813万トンから減少しています。
一方、輸送部門においても温室効果ガス排出量の報告が行われており、特定輸送排出者として1,335事業者から報告がありました。これは前年度の1,321事業者から若干の増加が見られます。この輸送分野で報告された排出量の合計は2,695万トンで、こちらも前年度の2,562万トンから増加しています。全体として、特定排出者全体による令和4年度の排出量は5億8,647万トンとなっており、前年度の6億1,358万トンから減少しています。この結果は、エネルギー効率の改善や再生可能エネルギーの導入拡大、省エネ機器の普及などが功を奏している可能性を示しています。
この制度では、排出量の報告が義務付けられる特定排出者は、全事業所の原油換算エネルギー使用量が年間1,500キロリットル以上の事業者、または全事業所の排出量が3,000トン以上でかつ従業員が21人以上の事業者が対象となります。また、輸送部門に関しては、省エネルギー法に基づく特定輸送事業者や荷主、旅客輸送事業者などが報告の対象です。これにより、エネルギー使用の多い企業や組織が環境負荷を自ら認識し、削減に向けた施策を実施する責任と機会が与えられることになります。
本制度におけるもう一つの特徴は、排出量の「調整後」集計です。これは単なる排出量の合計ではなく、排出権取引や排出削減プロジェクトによるオフセット分、廃棄物由来燃料の使用による排出量などを控除した、実質的な排出量を反映するものであり、企業の実効的な取り組み状況を評価するための重要な指標といえます。
公表されたデータは、2025年4月1日14時から「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度」の公式ウェブサイトで公開され、どの事業者がどの程度の排出をしているか、またその排出量にどのような変化があったのかを、誰でも確認することができるようになっています。これは、企業の取り組みに対する社会的な評価がより透明になることを意味し、環境経営の信頼性向上や、投資家によるESG評価においても重要な材料となります。
今後もこの制度のデータは随時精査され、必要に応じて更新される予定です。2025年4月1日時点での集計情報は、現時点での最良の情報であり、環境対策を進める企業にとっては、自社の位置づけや他社との比較を行ううえでも極めて重要な参考資料となるでしょう。加えて、採用活動を行う企業においても、持続可能性や脱炭素経営に関心を寄せる次世代の人材に向けた情報発信の一環として、排出量の実績や削減目標の進捗を明確に示すことが求められるようになっています。
企業にとっては、この制度における報告義務への対応だけでなく、報告されたデータを経営にどう活かすかが問われています。排出量の見える化は、単に義務を果たすだけでなく、製品やサービスの付加価値を高め、顧客や投資家との信頼関係を築くための重要な手段です。事業所別、部門別の排出量の分析結果をもとに、効率的なエネルギー管理やプロセス改善の取り組みを行うことで、コスト削減と環境貢献の両立が実現できる可能性があります。
このように、温室効果ガス排出量の算定・報告・公表制度は、気候変動対策の根幹をなす施策であり、今後の企業活動における重要な要素としてますます存在感を増していくでしょう。
⇒ 詳しくは経済産業省のWEBサイトへ