2025年3月31日
労務・人事ニュース
日本のエネルギー安全保障強化へ!タンカー損害保険の下限額を15億円に引き上げ
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最終更新: 2025年5月1日 03:01
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「特定タンカーに係る特定賠償義務履行担保契約等に関する特別措置法施行令の一部を改正する政令」を閣議決定 ~特定損害保険契約の保険金額の下限等を変更~(国交省)
令和7年3月14日、特定タンカーに関する損害賠償制度を改正するため、「特定タンカーに係る特定賠償義務履行担保契約等に関する特別措置法施行令の一部を改正する政令」を閣議決定した。この改正は、イラン産原油を輸送するタンカーに対する損害保険の保険金額の下限を引き上げ、事故発生時の損害補填の仕組みを強化することを目的としている。
この法改正の背景には、平成24年7月以降に発生した欧州連合(EU)による対イラン制裁がある。この制裁により、イラン産原油を輸送するタンカーの再保険の引き受けが禁止され、多くの船舶が十分な保障契約を締結することが困難となった。そのため、日本政府は国内のエネルギー供給の安定を確保するために、「特定タンカーに係る特定賠償義務履行担保契約等に関する特別措置法」を制定し、損害保険契約を通じて必要な保証を提供する仕組みを導入した。
この特別措置法に基づき、日本政府は特定のタンカー所有者と保険会社の間で特定損害保険契約および特定賠償義務履行担保契約を締結し、事故発生時には一定額を上限として保険者に対して交付金を支払う制度を設けている。しかし、近年の国際的な保険水準の変化や原油輸送のリスクの増大を考慮し、令和7年4月1日以降の契約締結に向けて、施行令の改正が必要とされた。
今回の政令改正の主な内容としては、まず特定損害保険契約の保険金額の下限が13億9,000万円から15億円へと引き上げられる。これにより、事故発生時の補償範囲が拡大され、より安定した保険制度の提供が可能となる。また、特定賠償義務履行担保契約において、担保上限金額の算定基礎額が1兆2,235億1,245万9,000円から1兆3,569億2,830万7,000円に引き上げられる。これにより、より高額な損害補填が可能となり、国際基準に適合した制度へと改善されることとなる。
さらに、特定保険者交付金交付契約における政府への納付金額も、2,000万円から2,200万円へと増額される。これにより、政府が担保する範囲の財源確保を強化し、制度の持続可能性を高めることができるようになる。この改正により、イラン産原油を輸送する船舶のリスクがより適切に管理され、輸送の安定性が向上することが期待される。
政令の改正スケジュールについては、令和7年3月19日に公布され、4月1日から施行される予定である。このスケジュールにより、円滑な移行が可能となり、新たな契約基準の適用が迅速に行われることとなる。
今回の政令改正の意義は、日本のエネルギー安全保障の観点からも極めて重要である。日本はエネルギーの多くを海外からの輸入に依存しており、特にイラン産原油は日本のエネルギー供給において一定の役割を果たしている。したがって、輸送リスクを適切に管理し、万が一の事故に備えることは、日本の経済活動の安定にも直結する課題である。
また、国際的な動向を考慮すると、海上輸送のリスクは今後も高まる可能性がある。世界のエネルギー市場では、地政学的リスクが高まりつつあり、原油輸送に対する脅威も増大している。そのため、日本政府としても、国際標準に適合した損害賠償制度を構築し、輸送の安全性を確保することが求められる。
この改正によって、日本の船舶保険制度はより強固なものとなり、船舶の運航リスクが適切に管理されることで、エネルギー輸送の安定性が向上すると考えられる。政府は今後も、国際的な保険市場の動向を注視しながら、必要に応じた制度の見直しを行い、エネルギー供給の安全を確保する方針である。
今後の課題としては、保険市場における動向の変化に対応し、さらなる安全対策を講じる必要がある。特に、国際社会の動向を踏まえた保険制度の適正化や、万が一の事故発生時に迅速な対応ができる体制の整備が求められる。また、船舶運航者に対するリスクマネジメントの指導や、事故防止に向けた技術的な対策の強化も重要な要素となる。
この政令改正が施行されることにより、日本のエネルギー輸送の安定性が強化され、国際的な保険水準にも適合した制度が確立される。今後、船舶運航者や保険業界とも連携しながら、より安全な輸送体制の構築が進められることが期待される。
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ