2025年4月1日
労務・人事ニュース
有効求人倍率 令和7年2月 1.24倍に低下、企業の人材獲得競争に新たな局面
- 機械オペレーション/梱包/ライン作業 格安食堂完備 半導体の製造·検査 年休137日 社宅費全額補助
最終更新: 2025年5月1日 09:34
- 「夜勤なし」/正看護師/介護施設/残業ありません
最終更新: 2025年5月1日 22:32
- 「駅チカ」/准看護師・正看護師/介護施設/夜勤なし
最終更新: 2025年5月1日 22:32
- 「夜勤なし」/准看護師/介護施設/オンコールなし
最終更新: 2025年5月1日 22:32
一般職業紹介状況(令和7年2月分)について(厚労省)
2025年4月1日、厚生労働省より発表された「一般職業紹介状況(令和7年2月分)」によると、労働市場の動向にわずかな変化が見られた。発表されたデータによれば、令和7年2月の有効求人倍率は1.24倍となり、前月から0.02ポイントの低下が確認された。これは求人の需要に対して、求職者の供給がやや追いつきつつある状況を示しており、雇用環境は依然として求職者にとって比較的有利な状態を維持しているものの、企業側の求人活動にはやや慎重な傾向も見られ始めていることがうかがえる。
新規求人倍率に関しても、同様に2.30倍と前月比で0.02ポイント低下しており、新たな人材を求める企業の動きがやや鈍化したことが反映されている。これは、世界的な景気動向や国内の経済指標の変動、さらには消費動向の停滞などの外的要因が、企業の採用計画に影響を与えている可能性がある。特に年度末に向けて採用活動が一巡する時期であることも影響していると考えられ、求人側の動きが一時的に収まりを見せたとも解釈できる。
一方、正社員有効求人倍率は1.03倍と前月と同水準を維持しており、企業が正社員の確保に引き続き力を入れている様子が浮かび上がっている。これは長期的な人材投資を見据えた動きと考えられ、安定した雇用を提供する体制を継続的に整えている企業の姿勢を裏付けるものでもある。特に高度人材や専門スキルを有する人材に対しては、依然として企業の需要が高く、今後の労働市場の競争がさらに激化することが予想される。
具体的な求人数や求職者数を見てみると、2月の有効求人は季節調整値で前月比1.7%の減少、有効求職者数は同0.5%の減少となっており、両者ともに微減傾向にあることが分かる。これは企業・求職者双方の動きが一時的に鈍化していることを示しており、特に新年度のスタートを見据えた調整期間に入っているという側面もあるだろう。中長期的には再び求人活動の活発化が見込まれるが、この一時的な変化をどう読み解くかが人事戦略の巧拙を左右する鍵となる。
産業別の新規求人(原数値)を前年同月と比較すると、全体で5.9%の減少が見られた。中でも落ち込みが顕著だったのは、宿泊業・飲食サービス業で17.6%の減少、生活関連サービス業・娯楽業が10.5%減、建設業が9.1%減、製造業が6.5%減と、サービス業やモノづくり分野を中心に求人意欲の後退が明確になっている。特に宿泊業・飲食サービス業の落ち込みは、観光需要の回復が一部地域で伸び悩んでいる現状や、労働環境の厳しさによる求人側の絞り込みが背景にあると考えられる。製造業においても原材料費の高騰や為替の影響など、経営環境の不透明感が採用抑制の一因となっている可能性が高い。
地域別に見た有効求人倍率(季節調整値)では、都道府県ごとに大きな差が見られた。就業地別で最も高かったのは福井県で1.85倍、最も低かったのは大阪府で1.04倍となっている。また、受理地別でみた場合、最高は東京都の1.74倍、最低は神奈川県の0.90倍であった。このような地域差は、地域経済の活性度、産業構造の違い、求職者の年齢層やスキルセットの分布などが大きく関係している。人材確保に苦戦している地域では、今後ますます企業間の人材獲得競争が激化することが予想される一方、求職者にとっては柔軟な地域選択が新たなキャリア機会を生む可能性も広がっている。
厚生労働省では、ハローワークにおける求人・求職・就職の状況を毎月とりまとめ、有効求人倍率や新規求人倍率といった指標を通じて、労働市場の実態を可視化している。令和3年9月以降はハローワークインターネットサービスの拡充により、来所せずにオンラインで登録された求職者や、インターネット上での直接応募による就職件数も含まれるようになっており、より多様化した就職行動が反映されるようになっている。
このような背景から、企業にとっては人材確保の戦略を見直すタイミングに差し掛かっているといえる。特に有効求人倍率がやや低下する中で、優秀な人材を早期に確保するためには、自社の魅力を的確に打ち出すブランディングや、柔軟な雇用形態の導入、職場環境の改善が不可欠となる。また、地域差を踏まえた採用活動や、オンライン採用の強化など、従来の方法にとらわれないアプローチも求められるだろう。
今後の労働市場は、少子高齢化による労働力人口の減少、若年層の都市集中、リスキリング需要の高まりなど、複数の変化要因にさらされる中で、より一層の柔軟性と機動力が求められる。採用担当者にとっては、こうした統計データを読み解き、自社の状況に応じた戦略を立てることが、人材確保と企業成長の両立に向けた重要な一歩となる。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ