2025年4月26日
労務・人事ニュース
東北先行き 人材派遣業で求人数・求職者数ともに前年比80~90%の停滞続く(令和7年3月調査)
- 「夜勤なし」/正看護師/介護施設/オンコールなし
最終更新: 2025年5月1日 22:32
- 「夜勤のみOK」/准看護師・正看護師/介護施設/夜勤バイト/オンコールなし
最終更新: 2025年5月1日 22:32
- 「夜勤なし」/正看護師/介護施設/車で通えます
最終更新: 2025年5月1日 22:32
- 「夜勤なし」/准看護師/介護施設/オンコールなし
最終更新: 2025年5月1日 22:32
景気ウォッチャー調査(令和7年3月調査)― 東北(先行き)―(内閣府)
令和7年3月に実施された景気ウォッチャー調査による東北地域の先行き見通しは、分野や業種によって異なる動きを見せながらも、全体としては「様子見」や「慎重な姿勢」が色濃く表れる結果となりました。一部の業種では回復への期待感や具体的な成長の兆しが見られたものの、物価高騰の影響による消費者心理の冷え込みや、エネルギー・食料価格の上昇が長期化する見通しが示されており、地域経済の足取りは依然として重いままです。企業の採用担当者にとっては、求人活動の再構築や職場定着率の改善が急務であり、人材確保の戦略的対応が問われる局面を迎えています。
まず、コンビニエンスストアやスーパーといった生活密着型の小売業では、来客数や売上の回復を期待する声が一定数見られました。コンビニでは、客が商品価格の上昇に慣れ始めているとの指摘があり、今後は来客数と客単価の両方が増加する可能性があるとの見通しが出ています。また、春闘の影響により一部の企業で満額回答が相次いでおり、中小企業にまで賃上げが波及すれば消費マインドの改善が進むと期待されています。ただし、電気・ガス・水道などインフラコストの上昇は避けられず、利益を圧迫する要因となることも併せて指摘されています。
一方で、賃上げが進まない現実や地方における低所得層の多さにより、消費行動そのものが抑制される可能性もあり、スーパーでは「買上点数は減少しているが客単価は上昇している」という声が複数寄せられました。これは商品価格の上昇により売上が維持されているものの、消費者は必要最低限の買い物にとどめていることを示唆しています。実際に一部の店舗では、買上点数が前年同月比96.7%まで減少したという具体的な数値も報告されており、今後も節約志向は継続するとみられています。
観光関連業種においては、都市型ホテルではインバウンド需要に支えられた先行予約の好調さが報告され、旅行代理店からも海外旅行の問い合わせや予約件数の増加が確認されています。特にゴールデンウィークや春祭りなどのイベントを控えたこの時期には、観光需要の上昇が期待されているものの、一部では「外国人観光客の伸びはやや鈍化している」との見方もあり、地域全体での持続的な恩恵には課題が残ります。観光地や旅館では、来客数は増えているが客単価が上がらないとする声もあり、収益改善に結びついていない現実も浮き彫りとなっています。
衣料品業界では、気温の上昇により人の動きが活発になることから来店数の増加を期待する声もある一方で、物価上昇による消費意欲の低下が深刻であり、スーツ離れや市場の縮小傾向が続くとの報告もありました。家電量販店では、5月から6月にかけて夏物家電の動きが活発化するとの期待があるものの、日用品や食品の価格上昇が続く限り、家計への圧迫感が消費全体の足かせになるという懸念も示されています。
また、飲食業では、予約件数の低迷や来客数の横ばいが続いているほか、仕入価格の上昇により利益が圧迫されており、今後の経営環境に対する不安の声が目立ちます。とくに一般レストランや高級レストランでは、例年であれば入学祝いや就職祝いの需要が高まる4~5月にもかかわらず、予約数が少ないとの報告がありました。これは家計の実質可処分所得の減少によるものであり、消費の回復には賃上げなど実質所得の改善が不可欠であることが伺えます。
企業動向では、金属製品や電気機械器具製造業の一部では、顧客企業の来年度計画の前向きな動きにより受注が回復しているという報告がある一方で、食品製造業や出版関連産業では構造的な不況から抜け出せていないとの声が多数を占めました。特に食品製造では原材料価格の高騰により製品価格の値上げが続き、それに伴う販売量の低下が懸念されています。建設業では一部で受注の増加が見込まれているものの、人手不足や原材料価格の上昇による施工コストの増加が課題となっており、求人活動をしても応募がないという現場の声も複数報告されています。
雇用関連については、人材派遣会社や職業安定所からの報告によれば、求人数、求職者数ともに前年夏以降は前年比80〜90%の水準で推移しており、改善の兆しが見られないとのことです。とくに製造業においては、原材料価格の上昇分を価格に転嫁できず、採用意欲の低下が続いていると報告されています。また、求人はあるものの、企業の採用基準が高くマッチングが成立しないケースが多く、人材不足の実態と求人の質のミスマッチが露呈しています。さらに、新卒採用が早期化するなかで、早期選考を終えた学生が中途採用枠に影響を及ぼす可能性もあり、採用戦略の再検討が求められる局面となっています。
このように東北地域の景気の先行きは、分野によって期待と懸念が交錯する複雑な状況にあり、採用活動においては単なる人数の確保にとどまらず、職場環境や給与制度、働き方の柔軟性といった付加価値のある施策がより重要になります。地域経済の回復が一律でない今こそ、業界や地域特性に応じたきめ細やかな採用戦略が、持続的な組織運営の鍵を握るといえるでしょう。
⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ