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2025年3月31日

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気候変動に対応!留萌川・富士川・筑後川の洪水対策を強化、基本高水を大幅見直し

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気候変動を考慮して留萌川水系、富士川水系及び筑後川水系の長期計画を変更しました ~流域治水の観点も踏まえた河川整備基本方針の見直し~(国交省)

国土交通省水管理・国土保全局河川計画課は、令和7年3月14日、気候変動を考慮した河川整備基本方針の変更を発表した。今回の見直しは、留萌川水系、富士川水系および筑後川水系を対象に行われ、近年の気候変動の影響を踏まえた抜本的な治水対策の推進が目的とされている。

これまでの治水計画は、過去の降雨実績に基づいたものが主流であった。しかし、近年の水災害の頻発および将来的な気候変動による降雨量の増大が予測される中、従来の計画では十分な対応が困難と判断された。そこで、気候変動の影響を考慮し、洪水発生時の流量基準(基本高水)を変更し、長期的な河川整備の方向性を見直すこととなった。

今回の見直しの大きなポイントは、気候変動の影響による洪水外力の増大を前提に、基本高水のピーク流量の見直しが行われたことである。具体的には、留萌川水系においては基準地点大和田におけるピーク流量を1,300m³/sから1,400m³/sへと引き上げ、河道配分流量を850m³/s、洪水調節流量を550m³/sに設定した。同様に、富士川水系では清水端地点の基本高水を8,800m³/sから10,200m³/sに、北松野地点では16,600m³/sから21,500m³/sにそれぞれ引き上げ、全量を河道で流下させる方針が採られた。また、筑後川水系においても基準地点荒瀬での基本高水が10,000m³/sから11,500m³/sに引き上げられ、河道配分流量7,200m³/s、洪水調節流量4,300m³/sという新たな設定がなされた。

これらの変更により、洪水発生時の流下能力を強化し、水害リスクを低減することが期待される。特に、近年の豪雨による被害が増加する中で、気候変動を考慮した治水対策の強化は、今後の国土保全において不可欠な要素となる。また、洪水調節機能の確保のため、既存の施設の有効活用や新たな貯留・遊水機能の確保も併せて検討されている。例えば、富士川水系では、歴史的な治水施設である信玄堤、万力林、雁堤などを活用しながら、流域治水の推進が図られる予定である。

さらに、河川の流下能力を向上させるために、河道掘削や高水敷の有効活用も進められる。例えば、筑後川水系では、河道掘削による流量の増大に対応するため、河川環境や地域社会への影響を考慮しつつ、洪水調節施設の適切な配置を検討している。このように、洪水リスクの増大に備え、総合的な治水対策が進められている。

また、流域治水の観点からも、河川整備基本方針の見直しが行われている。流域治水とは、河川の改修だけでなく、流域全体で洪水被害の軽減を図る考え方である。今回の見直しでは、国・県・自治体などが連携し、流域全体での雨水貯留や遊水地の確保、森林整備、排水対策などを推進することが強調されている。具体的には、筑後川水系において、内水氾濫を抑制するための貯留施設の設置やクリーク先行排水などが計画されている。また、富士川水系では、急流河川である特性を踏まえた河道の安定性確保や、支川からの合流量を考慮した流量調整が進められている。

今回の河川整備基本方針の変更は、気候変動による降雨量の増大を考慮した長期的な治水計画の一環として実施されたものであり、今後も他の水系において同様の見直しが進められる予定である。現在、全国109水系のうち、すでに27水系で気候変動を考慮した基本方針の見直しが完了しており、今後3水系についても同様の対応が予定されている。

この見直しが進むことで、将来的な水害リスクを低減し、安全な国土形成に貢献することが期待される。しかし、気候変動の影響は今後も続くと予想されるため、定期的なデータ分析や科学的知見を活用した適応策の策定が求められる。また、流域住民の協力も重要であり、防災意識の向上や適切な土地利用の推進が不可欠となる。

今回の河川整備基本方針の見直しは、長期的な治水対策の一環として極めて重要なステップであり、今後も継続的な検討と改良が求められる。国土交通省は、引き続き最新の気象データや治水技術を活用し、各水系における安全確保に努める方針である。

⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ

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