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2025年5月23日

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水素ステーションの燃料費差額を1kgあたり約700円支援、関連職種の採用が加速へ

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第1回「燃料電池商用車の導入促進に関する重点地域」を選定しました(経産省)

経済産業省は、水素エネルギーを活用した持続可能な交通インフラの構築を目指して、燃料電池商用車の導入を推進する新たな施策として、「燃料電池商用車の導入促進に関する重点地域」の第1回選定結果を2025年5月19日に公表しました。これは、水素社会推進法に基づく基本方針に沿って、燃料電池トラックやバスといった水素を動力源とする商用車の普及を全国で進めるための先行的な取り組みの一環です。需要の見込みが高く、地方自治体の積極的な姿勢が確認された地域が対象とされ、今回は全国5地域が重点地域として選定されました。

具体的には、福島県を中心とした東北地域、東京都と神奈川県による関東地域、愛知県の中部地域、兵庫県の近畿地域、そして福岡県の九州地域がそれぞれ重点地域として名を連ねました。これらの地域は、いずれも産業構造や物流の中心地であると同時に、エネルギー転換や脱炭素社会の構築に向けて意欲的な取り組みを展開している地方公共団体を中核としている点で共通しています。

日本が2050年までにカーボンニュートラルを達成するという目標を掲げる中で、運輸部門は国内CO₂排出量の約20%を占めており、脱炭素化の最重要分野の一つとされています。特に商用車は走行距離や利用頻度が高く、短時間での燃料補給と長距離移動が求められることから、電気自動車(EV)では対応が難しいとされてきた分野です。こうした課題に対し、燃料電池商用車は水素を燃料とすることで充填時間が短く、航続距離も長いという特性を持ち、商業輸送のニーズに応えられる有力な選択肢として注目されています。

しかしながら、水素燃料の価格は依然としてディーゼルに比べて高く、そのコスト差が民間事業者の導入障壁となっていました。これを解消するため、国は重点地域内の水素ステーションに対して燃料費の差額支援を強化する方針を示しています。具体的には、ディーゼルと水素の燃料費差額に対して約700円/kg、これは差額のおよそ4分の3に相当する水準で国が補助を行い、民間事業者の経済的負担を大きく軽減します。また、地方自治体による独自の支援策との併用を促すことで、より持続的かつ実効性のある導入支援体制を構築していく考えです。

この政策の背景には、ただ単に水素モビリティを増やすという目的にとどまらず、エネルギー供給の多様化、地域経済の活性化、技術革新の促進といった幅広い社会的効果への期待があります。燃料電池車の導入が進めば、関連する整備工場、インフラ企業、水素供給事業者など、地域産業全体にわたる新たな雇用の創出が見込まれるため、企業の採用活動にも大きな影響を与えることになります。

企業の採用担当者にとって注目すべきは、こうした重点地域での取り組みが、今後の人材戦略に直結する点です。たとえば、水素ステーションの運営には高い専門性が求められ、機器のメンテナンス、設備管理、燃料充填業務に対応できる技術者の確保が不可欠となります。また、燃料電池車両の整備や導入計画を立案するためには、エネルギーやモビリティに関する知識を持つ企画・管理部門の人材も必要です。さらに、公共交通機関や物流企業では、環境対応型車両を運用できるドライバーや運行管理者の育成が急務となるため、教育研修体制の整備とともに、新卒・中途採用の両面で積極的な対応が求められます。

水素社会の実現に向けた道のりはまだ始まったばかりですが、重点地域の選定とそれに伴う支援措置の具体化は、日本がこの分野で世界に先駆ける先行モデルを築くための第一歩です。企業にとっては、今後さらに拡大するであろう水素関連ビジネスへの参入機会と同時に、その礎を支える人材確保という新たな挑戦が始まったことを意味します。政策と連動した採用戦略をいち早く打ち出し、将来を見据えた体制構築を進めることが、持続可能な成長に向けた重要な鍵となるでしょう。

⇒ 詳しくは経済産業省のWEBサイトへ

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