2025年4月27日
労務・人事ニュース
流域治水プロジェクトが全国637市町村に拡大、前年比69市町村増で地域安全性を大幅向上
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最終更新: 2025年5月1日 22:32
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令和6年度の流域治水の取組の進展について ~令和7年度からの流域治水のさらなる加速化・深化に向けて~(国交省)
令和6年度の取り組みを通じて、全国的に進展を見せた流域治水の施策は、令和7年度以降に向けてさらに加速化・深化する方針が打ち出されました。国土交通省の水管理・国土保全局、都市局、住宅局が連携して推進するこの取り組みは、気候変動の影響による降雨量の増加や台風の激甚化に対応し、河川・砂防・まちづくり等を横断的に結びつけて総合的な治水対策を実施するという新たな政策アプローチを基盤にしています。とりわけ、全国109の一級水系を対象に、個別の地域特性を踏まえた流域治水プロジェクト2.0が策定されたことで、地方自治体や住民、民間企業を含む地域のあらゆる関係者との連携がより一層重要性を増しています。
具体的な成果としては、令和6年度末時点で流域治水プロジェクトに取り組む市町村数が637に達し、前年度から69市町村増加したことが報告されています。さらに、洪水浸水想定区域に指定された河川数は前年度から約1,600河川増加し、合計7,012河川に広がっています。また、内水浸水想定区域図を作成した地方自治体は72団体増の220団体に達し、避難確保計画を作成した施設数は4,800以上増加するなど、数字としても着実な進捗が見られます。個別避難計画を作成した市町村数は令和5年12月末の218から令和6年7月末には300にまで拡大し、災害時の対応力向上に直結する成果となっています。
加えて、流域治水に資する予算制度の拡充が図られたことにより、令和7年度以降は河川分野に加え、砂防や都市計画、住宅行政においても予算的裏付けを持って対策を進められるようになります。令和6年度には、11水系70河川が新たに特定都市河川に指定され、特定都市河川制度の活用が本格化しています。また、流域水害対策計画が策定された河川は8水系158河川に拡大されており、これにより地域ごとの水害リスクに応じた具体的な行動計画が実効性をもって推進されることが期待されます。特に奈良県では、全国で初めて大和川流域において「貯留機能保全区域」が指定されました。これは、土地が本来持つ水の貯留機能を将来にわたって維持するために、盛土などの行為に対して届出を義務づけ、必要に応じて助言・勧告を行う制度で、持続可能な流域管理の先進事例として注目されています。
さらに、新たに創設された「NIPPON防災資産」認定制度も大きな話題を集めています。この制度は、地域で発生した災害の状況をわかりやすく伝える施設や活動を内閣府と国土交通省が認定するもので、令和6年には初回として全国で22件(優良認定11件、認定11件)が選定されました。たとえば、有珠山噴火や東日本大震災、平成28年熊本地震など、過去の災害の教訓を次世代に伝えるための展示施設や語り部活動などが認定対象となっており、防災意識の「自分事化」を促進する新たな取り組みとして地域の防災力向上に貢献しています。
また、ハードとソフトの両面を一体化した流域治水の具体例として、治山対策が1,366箇所、砂防施設の完成が167箇所、実施中が1,781箇所という実績が挙げられており、災害に強いインフラ整備が着実に進められています。加えて、ライフライン保全の観点から、上下水道施設が土砂災害警戒区域内にある場合には耐震補強事業と連携した「事業間連携砂防等事業」が拡充され、災害時における水道や下水道の機能維持にも対応する体制が整えられています。
全国202の自治体が参加を予定している「ワンコイン浸水センサ」の実証実験も注目に値します。これは官民連携で流域の浸水状況をリアルタイムで把握することを目的としており、自動販売機に搭載されたセンサなど、地域に溶け込んだ形での先進的なモニタリング技術が導入されている点が特徴です。今後の展開次第では、都市部や商業施設などへの拡張も見込まれており、防災テックの導入により地域の災害対応力が質的に向上することが期待されます。
このような取り組みは、企業にとっても人材採用や事業展開の面で大きな意義を持ちます。防災・減災に関する実務的知見を持つ人材のニーズは今後さらに高まり、特に都市計画、土木工学、情報システム、環境分野の専門職が注目されています。また、防災関連プロジェクトへの参画は、企業のESG評価やSDGs貢献度の向上にも直結し、企業価値そのものを高める要素ともなり得ます。さらに、「NIPPON防災資産」認定のような制度においては、地域と連携して社会課題解決に取り組む企業姿勢が評価対象となるため、CSR活動の一環として防災意識の高い企業文化を構築することが今後の競争優位につながる可能性もあります。
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ