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2025年4月28日

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病院の外来患者数が115万人超に(病院報告 令和7年1月分概数)

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病院報告(令和7年1月分概数)(厚労省)

令和7年4月11日に公表された最新の病院報告によると、令和7年1月の医療機関の利用状況には、患者数や病床利用率、在院日数などの項目で注目すべき変化が見られました。医療機関の運営状況は、地域医療の質や医療政策のあり方を示す重要な指標であると同時に、医療人材の採用・配置に直接影響を及ぼすデータでもあります。本記事では、全国の病院や診療所における患者数や病床利用率の動向、平均在院日数の変化を丁寧に読み解きながら、現場が直面している課題や採用戦略への示唆についても考察していきます。

まず、1日平均の外来患者数は病院全体で1,156,718人と前月の1,133,001人から23,717人増加しました。これは季節要因や感染症の流行状況などを反映した動きと考えられ、例年冬季にかけては風邪やインフルエンザ、新型コロナウイルスなどの影響で外来利用が増える傾向があります。特に感染症病床においては、1月の患者数が322人となり、前月から53人の増加が報告されており、感染症対応病床の重要性が再認識される状況です。

一方、入院患者数については、一般病床の在院患者数が226,280人であり、前月比では765人の減少となりました。療養病床に関しては、674,950人と前月の649,660人から25,290人の増加が見られ、慢性的な疾患を抱える高齢患者の入院が増加していることを示唆しています。これは日本の高齢化の進展を背景に、長期的な医療や介護を必要とする層が増加している実態を反映しています。

月末時点における病床利用率では、全体で79.0%と前月の70.2%から大きく上昇しました。特に一般病床では80.5%と、わずか0.1ポイントながらも上昇しており、病床の稼働率が依然として高水準で推移していることがわかります。療養病床では85.4%とさらに高い数値を記録しており、これは高齢化に伴う長期療養需要の拡大が大きく影響していると考えられます。

一方、感染症病床に関しては11.6%と前月より2.7ポイント低下しており、一時的な利用増加が落ち着いた可能性が示されています。結核病床では25.6%と、こちらも前月の27.2%からやや減少傾向にありますが、これらの専門病床の動きは、国の感染症対策の方針や予防接種の普及率など、複合的な要因による影響を受けているものと見られます。

在院日数に関しては、病院全体での平均在院日数は26.7日で、前月の24.5日より2.2日増加しました。これは冬季における疾患の重症化や高齢患者の増加など、入院期間が延びる要因が重なった結果と推測されます。中でも精神病床は267.0日と極めて長い在院期間を示しており、慢性期患者の割合が高いことが背景にあります。精神疾患を抱える患者への包括的な医療支援と地域での受け入れ体制の整備が引き続き重要な課題であるといえるでしょう。

療養病床においては、平均在院日数が113.6日と前月の109.5日から4.1日増加しました。この長期化は、高齢者の複雑な医療・介護ニーズに対応するための医療体制の整備が急務であることを物語っています。急性期治療後にすぐ退院できない患者が多い中、医療と介護の連携が求められ、地域包括ケアシステムの整備がより一層求められる局面となっています。

また、診療所における療養病床の病床利用率は39.8%と、病院に比べて低い水準に留まっていますが、平均在院日数は108.7日と長く、より在宅復帰の支援や地域サービスとの連携が期待される場面です。病床の有効活用という視点からも、在宅医療・訪問看護のさらなる強化が必要とされています。

このような数値は、単なる統計の羅列ではなく、現場の医療従事者の働き方や人材確保の課題、病院経営の方向性にも直結する要素です。病床利用率の上昇は一見すると医療機関の稼働率が高いことを意味しますが、裏を返せば医療現場の逼迫や職員の負担増加の可能性もはらんでいます。特に看護職や介護職においては、長時間労働や夜勤の負担が常態化しやすく、採用活動では職場環境の改善が大きなポイントとなってきます。

また、在院日数の長期化は、単にベッドの回転率が落ちるという経営的課題だけでなく、患者の生活の質(QOL)や社会復帰の支援にも影響します。医療と福祉が一体となった支援体制を構築し、退院後のケアや生活支援を見据えたトータルな支援モデルが求められています。これらを実現するには、医療ソーシャルワーカーやケアマネジャー、訪問医療スタッフなどの専門人材が不可欠であり、採用活動の際にもこうした職種のニーズを見逃さないことが重要です。

今回の報告からは、日本の医療現場が依然として高い負荷の中で運営されている現実が浮かび上がります。同時に、それに応える形で多職種連携やICTの活用、地域医療構想の進展が求められており、これまで以上に包括的な医療人材戦略が必要とされています。採用担当者にとっては、単に人数を確保するだけでなく、各分野でのスキルや経験を持った人材を戦略的に配置する視点が欠かせません。

医療人材の確保は、単に医療機関の存続を左右するのみならず、地域社会全体の安心と安全を守る土台でもあります。今後も継続的な統計データの分析を通じて、医療の現状を正しく理解し、持続可能な医療体制の構築に向けた実効的なアクションが求められています。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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