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2025年5月6日

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研究開発費比率が高い企業ほどM&Aに積極的、スタートアップとの連携が人材採用を変える

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オープンイノベーション促進のためのモデル契約書ver2.2及びグロース戦略のポイントについてのパンフレットを作成しました(経産省)

経済産業省・特許庁は、オープンイノベーションの推進とディープテック・スタートアップの成長支援を目的とした新たな取り組みとして、2025年4月25日に「オープンイノベーション促進のためのモデル契約書ver2.2」および関連パンフレットを公開しました。これは、研究開発型スタートアップと事業会社の円滑な連携、特にM&A(合併・買収)を活用したグロース戦略の実現に向けて設計されたもので、知的財産権の扱いにおける明確性と柔軟性を高めることを通じて、実務的な契約交渉の質とスピードを向上させる狙いがあります。

これまで日本国内においては、スタートアップのM&A活用が限定的であり、欧米諸国に比べても実施件数は低い水準にとどまっていました。これは、M&Aを検討する際に発生する法的・契約的な不確実性、特に知財の取り扱いに関する不明瞭さが一因となっており、企業側にとってもスタートアップにとってもリスクの高い判断となりがちでした。こうした背景を踏まえて、特許庁では令和元年度より「OIモデル契約書」を段階的に整備・改訂してきましたが、今回のver2.2では、特にM&Aにおける障壁を取り除き、より実践的に活用できる内容へと進化させています。

このモデル契約書は、従来から提供されていた「新素材編」「AI編」「大学編」を土台に、M&Aの円滑な実施を妨げる可能性のある条項について見直しを行い、事業会社によるスタートアップ買収時に知的財産権の承継やライセンス条項をクリアにする工夫が盛り込まれています。これにより、特にディープテック領域のスタートアップが成長フェーズで選択肢としてM&Aを現実的に検討できるような環境整備が進められました。

加えて、特許庁はスタートアップ支援の一環として、パンフレット「ステークホルダー全員参加型グロース戦略のポイント M&Aを活用してディープテック・スタートアップを発展させる!」を作成しました。この資料は、ディープテックスタートアップ、事業会社、ベンチャーキャピタル、大学、行政など、イノベーションエコシステムを構成するあらゆるステークホルダーが、それぞれの立場から「M&A」にどう関与し、どのような姿勢で連携を構築していくべきかを分かりやすく整理しています。

このパンフレットでは、日本のイノベーション環境の中核を担うプレイヤーにヒアリングを行い、特にディープテック企業が持つ知財の価値評価の在り方、成長戦略としてのM&Aの位置づけ、買収側企業における事業シナジーの創出、さらに支援者の役割としての法務・財務・技術面での関与のあり方など、具体的かつ実務的な観点から網羅的に論じられています。日本国内におけるスタートアップのM&A件数は、年間2,000件程度とされており、米国や欧州の主要国に比べて明らかに少ない状況が続いています。このギャップを埋めるためにも、契約整備や共通理解の促進といった土壌作りは喫緊の課題といえます。

企業の採用担当者にとっても、このような制度整備は重要な意味を持ちます。特に、M&Aを通じて新たな技術や人材を獲得する企業にとっては、スタートアップの知財や人材力が将来の競争優位の鍵を握る可能性が高く、採用戦略においても「技術系人材の流動性」や「組織統合における人材マネジメント」がより重要視される時代となります。さらに、M&A実施企業は一定の成長フェーズにあり、研究開発費比率や知財出願件数といった数値指標も強化される傾向にあります。こうした企業においては、技術と経営の両面に精通した人材の採用が不可欠であり、採用部門にとっては従来型の採用枠に加えて、スタートアップ文化を理解しつつ中核人材として活躍できる人材像を描くことが求められます。

今回のモデル契約書の改訂とパンフレットの発行は、日本のスタートアップ育成とイノベーション政策における大きな一歩といえます。技術が成長のドライバーとなる今の時代において、研究成果をいかに社会実装に結びつけるかが企業の成否を分ける鍵となっており、そのためには知財、法務、財務、人材といった各要素の有機的な連携が欠かせません。こうした観点から、本資料は企業経営者のみならず、採用・人事担当者にとっても実務上の示唆に富んだ内容となっています。

⇒ 詳しくは経済産業省のWEBサイトへ

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