2025年4月15日
労務・人事ニュース
社会保険加入率が95%!建設業界の労務環境改革が進行中
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公共事業労務費調査における社会保険加入状況調査結果を公表します ~加入割合は企業単位で99.0%、労働者単位で95%~(国交省)
令和6年10月に実施された公共事業労務費調査において、建設業界に従事する企業および労働者の社会保険加入状況が取りまとめられました。今回の調査結果は、建設業界が持続可能で健全な成長を遂げるための基盤整備において、確かな前進を示すものです。特に企業単位での社会保険の加入率が雇用保険・健康保険・厚生年金すべてにおいて99%台に達していることは、業界全体の意識改革と実務改善の成果といえるでしょう。
この取り組みは、平成24年度から国土交通省と農林水産省が連携して進めてきたもので、建設業界における社会保険未加入問題を是正し、適正な労務環境を整えることを目的としてきました。平成23年当時、企業単位での3保険同時加入率は84%、労働者単位では57%という水準でしたが、それから10年以上を経て、令和6年の最新調査では企業単位で99.0%、労働者単位で95%にまで改善されました。これは、業界全体での働きかけと官民の連携が、具体的な成果を上げていることを明確に示しています。
今回のデータによれば、都道府県別に見ても全国的に高い水準で加入が進んでおり、特に愛知県、東京都、兵庫県などの都市部では、雇用保険や厚生年金保険の加入率が100%近くに達しています。一方、比較的加入率の低い県も存在しており、鹿児島県や沖縄県などでは一部の指標で加入率が90%前後に留まるケースも確認されました。こうした地域差は、今後の政策の重点施策を検討するうえでの重要な指標となります。
また、元請・下請構造別の分析においても、興味深い傾向が明らかになりました。元請企業ではほぼ100%に近い加入率を維持している一方で、3次下請けになるとやや低下が見られ、企業単位では約98%、労働者単位では約95%という結果となっています。これはサプライチェーンの末端にいくほど加入管理が難しくなることを示しており、今後は下請構造全体における一層の指導と支援が求められます。
さらに、事業所の規模別でも違いが見られます。従業員1~4人の小規模事業所においては、社会保険の3保険同時加入率が83%に留まりましたが、従業員100人以上の大規模事業所ではほぼ100%に近い水準に達していました。これはリソースの差異や制度対応のノウハウ不足が要因とされており、小規模事業所への支援拡充の必要性が改めて浮き彫りとなっています。
また、職種別のデータでは、電工や鉄筋工、塗装工といった技能職種では加入率が非常に高い一方で、交通誘導警備員Bや軽作業員、はつり工など一部の職種ではやや低下傾向が見られます。とくに交通誘導警備員Bでは、3保険加入率が依然として85%前後に留まり、職種による雇用形態や雇用契約の特性が社会保険加入率に影響を及ぼしていることがわかります。
年齢別の加入状況をみると、20~50代の労働者層では安定的に95%以上の加入率を記録しているものの、60代以上になるとやや低下する傾向が見られました。特に70歳以上の高齢労働者では、加入率が80%前後まで落ち込む場合もあり、年齢による雇用の継続性や契約形態が影響していると考えられます。
給与形態の違いによる加入率の差も興味深い結果を示しています。月給制で欠勤差引のない従業員では、3保険すべての加入率がほぼ100%に達している一方で、日給制の労働者ではやや低くなる傾向があります。これは日雇いや臨時契約の多さが制度上のハードルとなっていることを示唆しており、より柔軟な制度設計が今後求められる分野といえるでしょう。
これらの結果を受けて、政府としては引き続き建設業における社会保険未加入対策を強化していく方針を示しており、特に低加入率が見られる地域や職種、規模の事業所に対しては集中的な支援・指導を展開する予定です。また、雇用契約書の適正化や、業務請負契約における保険加入確認の義務化といった仕組みの整備も進められる見込みです。
今回の調査結果は、建設産業がより持続可能で公正な産業へと移行していくための大きな一歩となるものであり、企業の採用活動やコンプライアンス体制の強化においても、重要な指標となります。人手不足が深刻化する中で、社会保険加入を含めた労務環境の整備は、優秀な人材の確保と定着にも直結する要素であり、企業としてもこの動きを積極的に活用すべきでしょう。
最後に、今後の労務政策においても、こうしたエビデンスベースのデータがより重視されることが期待されます。業界の健全な成長を後押しするためにも、行政と企業、そして労働者がそれぞれの立場で責任を果たしていく必要があります。
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ