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2025年4月10日

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空き家再生を軸に下呂温泉街が再始動、民間事業に最大限の支援を行うファンド制度始動

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岐阜県下呂市の下呂温泉中心市街地地区における寄付金を活用した空き家・空き店舗のリノベーションなどを支援します! ~「下呂温泉街賑わいづくりファンド」を設立!~(国交省)

令和7年3月25日、国土交通省は岐阜県下呂市の下呂温泉街を対象に、「下呂温泉街賑わいづくりファンド」の設立を発表しました。このファンドは、一般財団法人民間都市開発推進機構(通称MINTO機構)と下呂市が連携して立ち上げたものであり、地域の空き家や空き店舗といった遊休不動産を活用した民間まちづくり事業に対して資金支援を行うものです。観光地として名高い下呂温泉を擁するこの地域では、かつて賑わいを見せた中心市街地で空き店舗が増加するなどの課題が顕在化しており、本ファンドはその解決策の一端を担う取り組みとして注目されています。

下呂市は日本三名泉の一つである下呂温泉を有し、年間を通じて多くの観光客が訪れるエリアですが、地方都市共通の課題である人口減少や高齢化の影響を受け、中心部の空洞化が進行しています。観光客の滞在時間や市内消費の減少、生活サービスの衰退などが連鎖的に発生し、まちの魅力が損なわれつつある中で、既存の空き家・空き店舗を再生し、地域のにぎわいを再構築することが急務となっていました。そうした背景を受け、国の財政支援を活用しつつ、市民や企業などからの寄付金(ふるさと納税を含む)を原資とした「志ある資金」を活用する新たなモデルが構築されたことは、地域活性化における官民連携の新たな方向性を示すものです。

今回設立された下呂温泉街賑わいづくりファンドは、いわゆる「共助推進型まちづくりファンド支援事業」に該当します。この制度は、国土交通省の補助を受けたMINTO機構が地方公共団体と連携し、まちづくりに対する共感や賛同を得た寄付者の資金を活用して、一定のルールに基づいて民間事業者を支援する仕組みです。支援対象となる事業は、都市利便増進協定や低未利用土地利用促進協定など、法的根拠のある協定に基づいて実施されるものに限定されており、透明性と信頼性の高い支援制度として整備されています。

下呂市ではこのファンドを通じて、温泉情緒を活かした宿泊施設や飲食店、交流施設など、来訪者と地域住民が交わる空間づくりを推進する方針です。例えば、かつて商業施設だった建物をリノベーションし、若手起業家が出店することで新たな商業の流れを生み出したり、アートや文化を取り入れた施設に変えることで、滞在型観光の拠点として機能させたりするなど、柔軟な発想と地域資源の融合が期待されています。

このような地域再生型プロジェクトは、企業にとっても大きな意味を持ちます。特にESG(環境・社会・ガバナンス)やSDGs(持続可能な開発目標)に関心の高い企業にとっては、地域社会への貢献活動として本ファンドに参画・支援することが、自社の社会的価値を高める機会となります。ふるさと納税を通じた寄付や、CSR活動の一環として協賛することで、地域のまちづくりと企業のブランディングを同時に実現することも可能です。

また、企業の採用活動においても、このような社会貢献活動は若年層や新卒採用における大きなアピールポイントとなります。地方創生や地域活性化といった社会課題に自ら関わっていきたいと考える若者が増える中、企業がこうした取り組みに主体的に関わっていることは、志の高い人材を惹きつけ、組織の活力を高めるきっかけにもなります。特に建築、不動産、観光、デザイン、商業企画などの分野では、地域に根ざしたプロジェクトへの関与が、社員のスキルアップやモチベーション向上にもつながります。

今回の事例は、行政・民間・市民がそれぞれの役割を担いながら、共にまちを育てていくという「共助」の概念を具現化した好例です。企業が単なる支援者としてではなく、地域と共に課題解決に取り組むパートナーとしての立場を築くことは、これからの時代の企業経営において不可欠な視点といえるでしょう。今後は、同様のファンド制度が全国各地に広がっていくと見込まれ、どの地域でどのような参画機会があるかを積極的に把握し、自社にとって最適な関与の形を探ることが求められています。

このように、下呂温泉街におけるファンドの設立は、単なる地域の支援制度の創設ではなく、地域の価値を再定義し、社会全体でその価値を育んでいく取り組みの一環として極めて重要な意味を持っています。企業がこの流れにどう関わるかは、今後の地域社会とビジネスの共存において大きな鍵を握ることになるでしょう。

⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ

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