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2025年5月3日

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等級6・7の住宅設計に求められる専門性、設計者とエネルギーコンサルタントの同時採用が鍵

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断熱性の高い住宅の設計のポイント、紹介します! ~省エネ性能に優れた断熱性の高い住宅の設計ガイドの公開~(国交省)

国土交通省が令和7年4月17日に公開した「省エネ性能に優れた断熱性の高い住宅の設計ガイド」は、断熱等性能等級6および等級7に対応する住宅の設計に関わる者にとって極めて重要な資料として位置づけられています。このガイドの背景には、2050年のカーボンニュートラル実現に向けた住宅分野の脱炭素化推進があり、住宅の高断熱化とその正しい設計・運用を通じて、省エネ性と快適性を高次元で両立させることを目的としています。特に、UA値0.46の等級6やUA値0.26の等級7を実現することで、住宅全体の暖房エネルギーを最大75%削減する可能性が示されており、これは従来の省エネ基準と比べて飛躍的な性能向上を意味しています。

このガイドでは、住宅設計の視点として三つの柱が示されています。第一に、季節・方位・時間に応じた日射の調整設計です。これは冬期の日射を取り込み、夏期には遮蔽するという考え方を軸に、南面には大開口を設け、軒や庇、外付けブラインドなどを組み合わせて日射調整を図る設計が推奨されています。さらに、建物形状や緑化によっても日射のコントロールを実現する工夫が紹介されており、こうした設計を通じて冷暖房負荷の最小化と居住快適性の両立が目指されています。

次に、適切な暖冷房設備と換気設備の導入です。高断熱住宅においては、一般的な住宅に比べて熱損失が少ないため、少ない能力で家全体を暖冷房できるとされており、過大なエアコン選定は避けるべきとされています。また、除湿性能に優れた機器の選定や、第一種換気システムの導入による室内空気環境の最適化も、設計上重要なポイントとして強調されています。中間期における排熱のためには、地窓や天窓の配置による通風効果の活用が効果的であり、断熱性能を活かした空間構成が求められています。さらに、住宅全体のエネルギー管理にはHEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)の活用が推奨されており、エネルギーの可視化と最適制御によってさらなる省エネ効果を実現します。

そして第三に、レジリエンス性の向上が挙げられます。高断熱住宅は、電力やガスが途絶した非常時でも一定の室温を維持しやすく、在宅避難に適した住宅とされています。ここに、太陽光発電システムや蓄電池、エネファームなどの高効率設備を組み合わせることで、災害時のエネルギー自立性を高める設計が可能となります。実際にガイドでは、こうした設備の導入によって、室温の安定化と非常時対応の両面で住宅の機能性を強化できると明記されています。

さらに、住宅性能表示制度において新たに創設された断熱等性能等級6および等級7に関しても詳細な情報が提供されています。これまでの等級4(平成28年省エネ基準)を基準とした住宅では、冬季に最低室温が概ね8℃を下回らないとされていましたが、等級6では13℃、等級7では15℃を下回らないという高いレベルの温熱環境を実現することができるとされています。これは高齢者や小さな子どもを持つ家庭にとって、健康面でのメリットが非常に大きいといえるでしょう。また、UA値とエネルギー消費効率の相関に基づいた具体的な数値指標が示されているため、設計者や供給者がより精緻な計画を立てることが可能となっています。

これらのガイドラインは、単に設計のマニュアルという枠にとどまらず、住宅供給者と住まい手との間で「住まい方」についての共通理解を築くための対話のツールとしても活用されるべきものです。とくに、住まい手が断熱性の特性を理解した上で、日射遮蔽のタイミングや換気システムの活用方法、エネルギーマネジメント機器の使い方を実践することが、住宅の性能を最大限に引き出す鍵となります。これにより、住環境の質が高まり、快適かつ持続可能な生活が可能となります。

このような設計方針の変化と高断熱住宅の普及は、企業の人材戦略にも大きな影響を与えると考えられます。まず、住宅・建築業界においては、断熱・気密設計に精通した専門技術者の採用ニーズが急激に高まることが予想されます。また、HEMSやAI制御型エネルギー機器の導入が進む中で、ITやIoTの知識を持つ人材の確保も重要な課題となってくるでしょう。さらに、これらの新技術を顧客に説明し、運用方法をガイドする「住宅エネルギーコンサルタント」のような新たな職種の創出も見込まれ、採用担当者にとっては職種設計の再考が求められます。

また、カーボンニュートラル住宅への対応は、ESG経営やサステナビリティを重視する企業にとって、採用ブランドを高める絶好の機会でもあります。こうした社会的意義のある分野で活躍できることは、求職者にとって大きな魅力となり得るため、人材獲得の競争においても有利に働く可能性があります。

⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ

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