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2025年7月3日

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耐震化率80.5%に到達、全国6,552病院が地震対策を完了

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病院の耐震改修状況調査の結果(厚労省)

令和7年6月20日、厚生労働省医政局地域医療計画課は、令和5年時点における全国の病院の耐震改修状況に関する調査結果を公表しました。これは全国の医療機関の安全性向上を図るため、毎年実施されている重要な調査であり、特に大規模災害時に医療提供の中心となる施設の耐震性が焦点となります。

今回の調査は、令和5年10月に実施され、医療法に定められた全国8,148の病院を対象としました。そのうち回答が得られたのは8,143病院で、全体の回答率は99.9%に達しました。また、災害時の拠点となる災害拠点病院および救命救急センターについては778施設すべてから回答が得られ、100%の回答率となりました。

注目すべきは、全国の病院全体における耐震化率が80.5%に達したことです。これは6,552施設がすべての建物に耐震性を有しているという結果であり、前年の79.5%から1ポイント上昇しました。耐震性を持つ病院が全体の8割を超えたことは、地域医療の継続性と災害対応力の向上を示す好材料といえます。

さらに、災害発生時に最前線で対応することが求められる災害拠点病院や救命救急センターの耐震化率は96.0%となりました。これは778施設中747施設が全ての建物に耐震性を持つという結果で、前年の95.4%から0.6ポイントの改善となりました。全く耐震性のない施設はなく、耐震診断も未実施の施設は1か所にとどまりました。

耐震改修の必要性が高い建物として、昭和56年以前に建築され、耐震診断においてIs値が0.6未満と判定された建物があります。これは震度6強程度の地震で倒壊の危険があるとされるもので、今回の調査ではこのような建物を有する病院は全国で106施設でした。また、建物の耐震性が不明である、すなわち耐震診断が行われていない施設も942施設存在し、今後の改修や診断の実施が喫緊の課題とされています。

平成30年に閣議決定された「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」では、令和2年度末までに病院全体の耐震化率を80.0%にするという目標が掲げられていました。今回の調査により、この目標は令和5年度にようやく達成されたことが確認されました。実に平成17年の調査では、耐震化率はわずか36.4%であったことを考えると、長年にわたる取り組みの成果が実を結びつつあることが明白です。

一方で、未だに耐震性を持たない建物や耐震診断が未実施の施設が一定数残っている現状から、引き続き国・地方自治体・医療機関が連携して改修促進に取り組む必要があります。特に、従業員や患者の安全確保、災害時の医療継続性確保の観点から、早急な対応が求められます。

このように、病院施設の耐震化状況は年々改善しているものの、全国一律の安全性を確保するにはまだ課題が残っています。今後の災害リスクに備え、医療機関の耐震化対策は更なる推進が不可欠です。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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