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2025年8月1日

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航空・海運の空きスペース活用で物流革新、補助率最大1/2の制度が人材需要に与える影響

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持続可能な物流体系の構築にむけて ~「多様な輸送モードの更なる活用に向けた実証等事業」の二次公募開始~(国交省)

2025年7月17日、国土交通省は物流分野における新たな政策として、「多様な輸送モードの更なる活用に向けた実証等事業」の二次公募を開始しました。この事業は、航空機・内航海運といった既存の輸送手段をより柔軟かつ効率的に活用し、陸・海・空の輸送モードを総動員する「新モーダルシフト」の実現を目的としたものです。近年、物流業界は人手不足や環境負荷の増大、災害時の物流網の脆弱性といった複数の課題に直面しており、それらを解決するために多様な輸送手段の活用が強く求められています。

特にトラック輸送に依存してきた日本の物流体系において、ドライバー不足の深刻化は避けて通れない課題となっており、2024年問題と呼ばれる働き方改革関連の制約が輸送力に与える影響は、業界全体に波及しています。こうした背景から、航空機の空きスペースの有効活用や、内航海運を活用した新規航路の開設、混載輸送の拡充、さらには空荷運行の抑制などが、物流の効率化と持続可能性を実現する鍵として注目を集めています。

この度の公募では、民間の航空運送事業者、海上運送事業者、貨物利用運送事業者などが補助対象となり、具体的な補助内容も明確に示されています。たとえば、航空貨物輸送の活用においては、定期便の空きスペースを利用した新たな航空輸送サービスの実証運航や、その需要調査にかかる費用が定額で補助されます。また、モーダルシフトを推進するために空港へ導入される検査機器(計量器など)にかかる費用については、2分の1の補助が適用されます。これにより、航空機の活用が難しいとされてきた中小物流事業者にとっても、導入へのハードルが大きく下がることになります。

一方、内航海運における補助対象は、寄港地の変更や追加を含む新たな航路の開設、混載輸送の仕組み導入、さらには空荷防止に向けた施策に関する実証運航などが含まれており、こちらも2分の1の補助率で支援されます。これは、これまで採算面で実現が難しかった新規航路開設や複雑な輸送形態への挑戦を後押しする制度となっており、内航海運の活性化にもつながる重要な取り組みです。

公募期間は令和7年7月17日から8月18日17時必着であり、事業期間は交付決定日から令和8年2月27日までが予定されています。この限られた期間内に、対象となる事業者は実証計画を策定し、申請書類を準備する必要があります。採択された場合には、交付決定日からすぐに事業を開始できるよう、事前準備の徹底が求められます。

企業の採用担当者にとって、この実証事業の展開は新たな人材ニーズの発生を意味します。たとえば、航空機を利用した物流サービスの企画・運営には、航空法や輸送法令に精通した法務・運航管理系の人材が必要です。また、内航海運においても、海上輸送の知識や航路設計、荷役調整といった専門性が求められる場面が増えるでしょう。さらに、新規航路開設や混載輸送といった複雑な物流設計には、ITやデータ分析のスキルを持った人材が必要とされるため、採用計画においてもこれまでにない職種への対応が不可欠です。

また、この事業は単に輸送手段の多様化を推進するものではなく、環境面への配慮、災害時の物流確保という観点からも重要な意味を持ちます。とくに、脱炭素社会への移行を目指す中で、環境負荷の低い輸送モードの導入は企業のESG(環境・社会・ガバナンス)戦略とも連動しやすく、こうした社会的要請に応えることが、企業価値の向上にもつながります。採用活動においても、環境意識の高い若年層に向けたアピール材料となることから、サステナビリティ志向の企業文化を体現する人材の確保が今後の鍵を握ることになります。

このように、多様な輸送モードの活用を柱とする今回の実証事業は、物流業界のみならず、関係するすべての産業にとって成長のチャンスをもたらす政策であり、企業の成長戦略や人材戦略と直結する重要な取り組みです。新たな挑戦を後押しする国の支援制度を活かし、より柔軟で強靭な物流インフラを構築することが、今後の経済成長と地域社会の持続的発展に貢献する道筋となるでしょう。

⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ

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