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2025年4月12日

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船員の労働環境改善へ、内航海運ガイドライン第2版で改善事例を多数追加

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「内航海運業者と荷主との連携強化のためのガイドライン」(第2版)を取りまとめました ~内航海運における「船員の働き方改革」、「取引環境改善」、「生産性向上」に向けた取組を推進します~(国交省)

令和7年3月27日、国土交通省海事局内航課は、「内航海運業者と荷主との連携強化のためのガイドライン(第2版)」を取りまとめ、公表しました。これは、内航海運分野における船員の働き方改革や取引環境の改善、さらには生産性向上に向けた施策を実効的に進めるための実践的な指針として位置付けられており、業界の健全な発展と安定輸送の確保に向けた具体的な取組を網羅した内容となっています。

このガイドラインは、令和3年に制定された「海事産業強化法」を背景に、令和4年3月に初版が策定され、内航海運業者と荷主が互いに遵守すべき行動原則や協議の在り方などが示されてきました。今回の第2版では、本年度に実施された「内航海運業における商慣習の実態調査」の結果に基づき、実態に即した見直しが加えられています。また、安定・効率輸送協議会での議論や業界団体からの意見も反映されており、実務者にとって現場で活用しやすい内容となっている点が特徴です。

主な改定内容の一つとして、「望ましい取引のあり方」に関する記述がより具体的になったことが挙げられます。従来のガイドラインでは、協議を行うことの重要性が示されていましたが、第2版では、原価計算に基づいた価格協議の必要性や、契約内容の明確化を図るための具体的なポイントが盛り込まれました。たとえば、価格交渉においてはタイムリーな協議の実施や、船主と荷主の役割分担の明確化など、日常業務における実践的な取り組みが推奨されています。

さらに、業界で課題となっていた労働環境や運航管理の実態を踏まえた改善事例も多数紹介されています。第4章に新たに追加された事例には、「取引内容」「労働環境」「運航管理」「事務作業」「空荷運航」などの視点から、現場での改善策が具体的に示されており、これにより内航海運業者は他社の成功事例を参考にしながら、自社の課題解決に活かすことが可能となります。実際、取引条件の明確化によって運航の安定化を実現した事例や、空荷の回避に向けて荷主間の情報共有を進めたケースなどが紹介されており、特に中小規模の事業者にとっては貴重な参考資料となっています。

加えて、関係法令や各種支援制度、相談窓口などの参考情報も充実しており、初めて取り組む企業でもスムーズに活用できるよう設計されています。このような包括的な支援体制の整備は、現場の負担を軽減するとともに、制度の実効性を高めるための重要な要素です。

今回のガイドラインの改定は、単なる形式的な見直しにとどまらず、内航海運業界全体の持続可能な成長に向けた戦略的な取り組みとして評価されています。特に、船員の労働環境改善は、若年層の人材確保や定着率の向上にも直結する課題であり、企業の人材戦略にも大きく影響を与えます。船員の労働時間の適正化や、休暇取得の推進など、ガイドラインに基づいた改善策を実施することで、企業は職場環境の魅力を高め、結果的に優秀な人材の採用と育成につなげることができます。

さらに、海運業においては他業種との連携やサプライチェーン全体での最適化も重要なテーマとなっており、今回のガイドラインは内航海運業者と荷主とのパートナーシップを強化する上でも有効なツールとなります。荷主側においても、安定した物流体制を確保するためには、運送側との協議や共通理解が不可欠であり、ガイドラインの内容を理解し、積極的に取り組むことが求められます。

また、国土交通省ではガイドラインに加えて、「内航海運における船員の働き方改革・取引環境改善・生産性向上に向けた改善事例集」もあわせて公開しており、現場での取り組みを具体的な事例として学ぶことができるようになっています。これにより、企業は自社の状況に合わせたカスタマイズが可能となり、より効果的な改革が期待されます。

企業の採用担当者にとっては、今後このような政策動向が人材確保や業務設計、社内教育に直結することを理解し、ガイドラインをベースにした職場づくりや人事戦略を検討することが不可欠となります。たとえば、法令順守の強化、長時間労働の是正、安全衛生の充実といった点を明文化した募集要項や社内マニュアルの作成は、求職者に対するアピール材料となると同時に、企業の信頼性向上にも寄与します。

このように、「内航海運業者と荷主との連携強化のためのガイドライン(第2版)」は、単なる業界向けのガイドではなく、サステナブルな物流体制の構築と、人材育成の観点を兼ね備えた実践的なツールとして、今後ますます注目されることが予想されます。

⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ

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