2025年5月17日
労務・人事ニュース
調剤医療費が令和6年12月に7,766億円、技術料と薬剤料の増加が企業保険料に直結する実態
- クリニックの看護師/常勤・夜勤有り
最終更新: 2025年5月16日 23:00
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最終更新: 2025年5月16日 22:32
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最終更新: 2025年5月16日 22:32
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最終更新: 2025年5月16日 22:32
最近の調剤医療費(電算処理分)の動向 令和6年度12月号(厚労省)
令和6年12月の調剤医療費に関する最新データが厚生労働省より発表され、企業の採用担当者や人事部門にとって無視できないトピックとなっています。この月の調剤医療費は7,766億円に達し、前年同月比で4.3%の増加が記録されました。特に注目されるのは、処方箋1枚当たりの医療費が9,387円と、前年同月から0.5%の微減となった点で、これは調剤全体の費用が増加する一方で、個々の処方ごとの単価調整が行われていることを示唆しています。企業においては、従業員の医療費補助制度や健康保険料の設計において、こうしたトレンドを的確に把握しておく必要があります。
調剤医療費の内訳を見ると、技術料が2,165億円で前年より7.1%の増加、薬剤料が5,587億円で3.3%の増加でした。この中でも後発医薬品の薬剤料は1,121億円と、5.9%の伸びを見せており、後発医薬品へのシフトが引き続き進行していることが明らかとなっています。これは医療費全体の抑制策として国が後押しする方向性とも一致しており、企業が保険料を軽減しつつ従業員の健康を守るための一助になるといえます。
内服薬に限定してみると、薬剤料は4,308億円となり、主な薬効分類では「その他の代謝性医薬品」が807億円、「循環器官用薬」が588億円、「中枢神経系用薬」が564億円と上位を占めています。年齢層ごとの構成では、15歳から65歳未満の層が1,662億円、75歳以上の高齢者層が1,639億円という非常に高い割合を示しており、働き盛りの世代と高齢世代の医療費が拮抗していることがわかります。特に高齢者における医療費負担が増加している点は、企業が定年延長やシニア人材活用を進める中で、健康支援体制の見直しが求められることを示しています。
処方箋1枚当たりの薬剤料に着目すると、平均で9,387円となっており、都道府県別では最も高いのが福井県の11,282円、最も低いのが佐賀県の8,208円となりました。また、伸び率で見ると、福井県が4.7%と最も高く、大分県がマイナス2.0%と最も低下しました。このような地域差は、企業の拠点展開に伴う医療費支出のばらつきを生む可能性があり、採用計画においても考慮すべき要素です。
後発医薬品の使用状況については、数量ベースの新指標による割合が90.8%に達し、前年から5.6ポイントの増加でした。薬剤料ベースでは20.1%とやや低い水準にとどまっているものの、後発品調剤率も84.1%と順調に推移しています。これは企業にとっては、後発医薬品を前提とした医療支援プランの導入や、従業員への啓発活動の強化により、医療コストの削減につながる余地があることを意味します。
さらに年齢階級別で見ても、10歳以上15歳未満では後発医薬品の薬剤料が前年比で34.6%増と最も高い伸びを示し、逆に70歳以上75歳未満の層ではマイナス4.3%と減少しました。この結果からは、若年層の医療費における後発品活用が顕著であることが伺えます。これを企業の福利厚生に反映させるならば、家族扶養手当や子育て支援制度における医療補助の対象設計を柔軟に調整することで、従業員のライフステージに応じた支援が可能となるでしょう。
薬効分類別に見ると、内服薬における後発医薬品の薬剤料は「循環器官用薬」が277億円、「中枢神経系用薬」が165億円、「消化器官用薬」が108億円と続いており、主要な疾患領域で後発医薬品が広く活用されていることが分かります。これは、特定の慢性疾患に対して安定した薬剤供給が続いているという証左でもあり、企業としては慢性疾患に対する継続的な支援体制を築くことが、従業員の長期的な定着と健康維持につながると考えられます。
このように、調剤医療費の構造や後発医薬品の使用実態は、単なる医療政策の話題にとどまらず、企業活動に直結する実務的な情報です。人事部門が採用計画や健康経営の方針を策定する際には、最新の医療費動向を的確に把握し、制度設計に反映することが求められます。特に企業規模の大小にかかわらず、福利厚生制度の充実度は求職者の評価ポイントのひとつであり、医療費の上昇傾向を踏まえた柔軟かつ効果的な対応が、今後の採用戦略における差別化要素となることは間違いありません。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ