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2025年5月5日

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運輸業のパート比率27%、高離職率で働き方改革が急務に(毎月勤労統計調査 令和7年2月分結果確報)

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毎月勤労統計調査 令和7年2月分結果確報 第3表 常用雇用及び労働異動率(厚労省)

令和7年2月に公表された毎月勤労統計調査(確報)によると、全国の常用雇用および労働異動に関する状況に明確な変化が見られました。事業所規模5人以上を対象とした今回の調査では、産業別に労働者総数、パートタイム比率、入職率および離職率が報告されており、企業の採用や人事戦略に大きく影響を与える要素が多く含まれています。これらの数値は、労働市場の需給動向や雇用の安定性、業界別の人材流動性を評価するうえで極めて重要です。

まず調査産業全体で見ると、常用雇用者総数は5,105万3千人で、前年同月比1.6%の増加となりました。このうち、パートタイム労働者が占める割合は31.65%と高い水準に達しており、前年から0.73ポイントの上昇を記録しています。つまり、全体の労働者のうちおよそ3人に1人がパートタイムで働いていることになり、日本の労働市場がますます柔軟化している実態が浮き彫りとなりました。入職率は1.51%で、前年より0.09ポイント上昇、離職率も1.68%と、前月より0.08ポイントの増加が見られ、人材の流動性がわずかに上昇傾向にあることがわかります。

産業別に掘り下げて見ると、「鉱業、採石業等」の常用雇用者数は1万2千人で、前年同月比では-4.6%と減少傾向にあります。パート比率は6.54%と極めて低く、労働の多くがフルタイムであることが特徴です。入職率は5.98%と非常に高く、前年比でも0.30ポイント上昇しており、新規採用が活発である反面、離職率も6.22%と高水準で、人材の定着に課題があることが示唆されます。

「建設業」では、常用雇用者数は254万6千人で前年比2.3%の増加、パート比率は5.63%と低水準を維持しています。入職率は1.08%で、前年比0.12ポイントの上昇が見られましたが、離職率は2.05%と比較的高く、建設現場の過酷さや繁閑差による人材の出入りが影響していると考えられます。

「製造業」では常用雇用者数が762万5千人、前年比ではわずかに0.1%の減少となり、ほぼ横ばい状態です。パート比率は13.20%でやや高め、入職率は0.82%で、前年から0.09ポイントの上昇が確認されました。離職率は1.79%と、製造業においても人材の流動性は依然として一定の範囲に収まっているといえます。

「電気・ガス業」の雇用動向を見ると、雇用者数は25万5千人で、前年比1.0%の増加。パート比率は6.94%と比較的低めで、入職率は0.66%、離職率は0.70%と低水準です。この業界では安定的な雇用が維持されており、離職が少ないことが特徴です。

「情報通信業」では雇用者数が174万1千人となり、前年比2.6%の増加と好調な雇用拡大が確認されています。パート比率は12.73%、入職率は1.70%で前年比0.25ポイントの増加、離職率は1.69%とほぼ均衡しており、業界内での人材移動は活発であるものの、大きな流出超過は発生していません。

「運輸業・郵便業」は328万2千人の雇用者を抱え、前年比1.3%の増加。パート比率は26.99%と高めで、入職率は1.62%、離職率は1.93%となっており、人材の流動性が高い業界のひとつです。現場の業務負担が重いことや待遇面の課題が、離職率に影響を与えていると見られます。

「卸売業・小売業」は586万6千人で前年比0.6%増加、パート比率は50.80%と最も高く、雇用の柔軟性が際立っています。入職率は2.27%と非常に高い一方で、離職率も2.45%と高く、常に人材の入れ替わりが発生している業界です。これは、短期就労や学生アルバイトの多さなどが背景にあると考えられます。

「金融業・保険業」では常用雇用者数は107万6千人で前年比2.6%の増加、パート比率は23.58%、入職率は0.88%、離職率は1.11%と比較的安定した動きを示しています。職種による専門性の高さや、待遇面の安定が人材の定着を促していると分析されます。

「不動産・物品賃貸業」では雇用者数が108万9千人、前年比3.2%の増加と成長が目立ちます。パート比率は29.08%、入職率は1.73%、離職率は1.77%で、動きは活発ながらも均衡が保たれている点が特徴的です。

「教育・学習支援業」は254万7千人の雇用者数で前年比1.6%の増加、パート比率は47.55%と高水準です。入職率は1.30%、離職率は1.50%であり、短期雇用や非常勤講師の増加が全体の流動性を押し上げていると見られます。

「医療・福祉業」は雇用者数が898万8千人と全体でも最大規模を誇り、前年比では2.5%の増加となりました。パート比率は40.06%、入職率は1.66%、離職率は1.52%と、需要の高さに支えられた活発な雇用市場が形成されています。

このように、産業別に見た常用雇用および労働異動率のデータは、人材確保の方針を検討する企業にとって、非常に参考となる情報です。特に入職率と離職率のバランスは、業界の魅力度や労働環境の良否を判断する有力な指標となります。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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