2025年3月23日
労務・人事ニュース
選択的夫婦別姓制度の認知度51.6%「銀行口座変更が面倒」69.0% 結婚後の名字変更が業務に与える影響
- 「夜勤なし」/准看護師・正看護師/介護施設/車で通えます
最終更新: 2025年4月30日 22:32
- 「夜勤なし」/准看護師・正看護師/介護施設/車で通えます
最終更新: 2025年4月30日 22:32
- 「駅チカ」/正看護師/介護施設/夜勤なし
最終更新: 2025年4月30日 22:32
- 「夜勤なし」/正看護師/介護施設/ブランクのある方も歓迎
最終更新: 2025年4月30日 22:32
夫婦別姓に関する調査2025[2025年3月6日掲載](連合)
日本労働組合総連合会(連合)が実施した「夫婦別姓に関する調査2025」では、夫婦の姓のあり方に関する日本社会の意識の変化が明らかになった。調査は2025年2月7日から2月10日の4日間にわたり、全国の20歳から59歳の男女1,000名を対象に行われた。調査結果からは、夫婦別姓への賛否、選択的夫婦別姓制度の認知度、婚姻時の名字変更に伴う影響など、多くの重要なデータが得られた。
調査の結果、夫婦の姓のあり方について「夫婦は同じ姓でも別の姓でも構わない。選択できる方がよい」と答えた人は46.8%で、最も多い割合を占めた。一方、「夫婦は同じ姓がよい」と回答した人は26.6%にとどまり、選択的夫婦別姓制度を支持する傾向が強まっていることがうかがえる。特に既婚女性では「夫婦は同じ姓でも別の姓でも構わない」と考える人が55.3%と、他の層よりも高い割合となった。これは、結婚による名字変更の影響を実際に経験した女性が多いためと考えられる。
婚姻届を提出した際に名字を変えた人の割合を見ると、女性では85.5%が名字を変更したのに対し、男性ではわずか8.1%だった。これは、日本の法律が婚姻時にどちらか一方が名字を変えることを義務付けていることに起因するが、実際には圧倒的に女性側が名字を変更するケースが多いことがわかる。この状況に対して、「名字を変えるのは不便だ」と感じる人も多く、婚姻時に名字を変えた女性の69.0%が「銀行口座やクレジットカードの名義変更が面倒だった」と回答している。また、「自分が違う人になったように感じた」と答えた人が14.8%、「できれば名字を変えたくなかったが仕方なかった」と答えた人が14.3%に上った。
婚姻時に名字を改めなければならないことが結婚の妨げになるかどうかについては、「どちらともいえない」との回答が36.7%と最も多く、「妨げになる」と考える人は11.4%だった。しかし、20代男性に限ると「妨げになる」と答えた割合は20.8%と高くなり、若年層ほど名字変更に対して慎重な姿勢を示していることがわかった。
一方、選択的夫婦別姓制度の認知率は51.6%で、まだ社会全体で十分に浸透しているとは言い難い。特に20代・30代の若年層では「全く知らなかった」と答えた人が20.5%に上り、情報不足が課題となっている。しかし、既婚女性では認知率が57.5%と高く、関心の高さがうかがえる。また、選択的夫婦別姓制度が導入された場合、「夫婦別姓にしたい」と回答した人は全体の9.5%にとどまったものの、「どちらでもよい」と答えた人は37.9%に上り、一定の柔軟性を持つ人が多いことが示された。
子どもの名字に関する考え方も調査され、選択的夫婦別姓制度が導入された場合、「子はいずれも同じ名字に統一した方がよい」と考える人は43.1%と最も多かった。特に既婚女性ではこの割合が53.1%と高く、家族の名字が統一されている方が望ましいと考える人が多いことが明らかになった。一方で、「子の名字は同じでも違ってもどちらでもよい」と答えた人は24.6%おり、名字の統一にこだわらない考えも一定数存在している。
旧姓の通称使用に関する調査では、「職場で旧姓の通称使用が認められている」と答えた人は37.9%であったが、業種によって大きな差が見られた。例えば、金融業や保険業では48.6%が旧姓使用を認められていると回答したのに対し、サービス業では20.2%と低い結果となった。また、婚姻時に名字を変えた人のうち、旧姓を通称として使用している人は16.2%と少数派だったが、20代・30代の女性就業者では34.0%が旧姓を使用していると答え、若い世代ほど旧姓の利用に積極的であることが示された。
選択的夫婦別姓制度の導入に関しては、日本国内だけでなく国際的な動きも影響を与えている。1996年に法務大臣の諮問機関である法制審議会が選択的夫婦別姓制度の法案要綱を答申して以来、日本では制度の導入が進んでいない。しかし、2024年10月には国連・女性差別撤廃委員会が日本政府に対して4度目の制度導入勧告を行い、これを受けて日本国内での議論が活発化している。
調査結果を総合すると、日本における夫婦別姓の意識は確実に変化しているが、制度の認知度や導入に対する意見には依然としてバラつきがあることがわかる。特に、名字の変更が婚姻の障壁になり得ると感じている若年層や、結婚後も旧姓を使用したいと考える女性の増加が、今後の議論に影響を与える可能性が高い。今後、政府や関係機関が制度の在り方を再検討し、より多様な価値観に対応できる法整備を進めることが求められるだろう。
⇒ 詳しくは日本労働組合総連合会のWEBサイトへ