2025年5月3日
労務・人事ニュース
電動建機普及に向けて2030年から認定制度導入、環境技術人材の争奪戦加速
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最終更新: 2025年5月2日 22:31
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国土交通省土木工事の脱炭素アクションプランを公表しました! ~建設現場のカーボンニュートラルに向けて~(国交省)
国土交通省が令和7年4月に発表した「土木工事の脱炭素アクションプラン」は、日本の建設業界にとって大きな転換点を示す政策です。このプランは、2050年までのカーボンニュートラル達成に向けて、直轄工事を起点とした具体的な脱炭素施策を体系的に推進するものであり、企業の採用戦略や人材育成の方向性にも多大な影響を及ぼす可能性があります。
このアクションプランは、建設現場で排出されるCO2を「建設機械による直接排出」と「資材製造などの間接排出」に分類し、それぞれの削減方針と対応技術を明確に定めています。特に、Scope1およびScope2に該当する建設機械については、燃費性能の優れた機械の導入を進めるとともに、2030年を目安に油圧ショベルなどの主要建設機械に対して燃費基準達成型の使用を原則化する方針を打ち出しています。また、電動建設機械(GX建設機械)の導入拡大を進め、2030年からの認定制度を軸に電費性能の基準を設定し、普及促進を図る取り組みも進められています。
この取り組みの背景には、地球温暖化対策計画において設定された「2030年度までに2013年度比で温室効果ガスを46%削減する」という国家目標、さらには2040年における57~61%削減、2050年のネット・ゼロ実現という長期目標があります。こうした目標に呼応し、建設機械の使用基準や燃料の選定、さらには施工技術そのものの見直しが求められており、これらを実現するためには、建設業界における技術革新とともに、専門的な知識とスキルを持つ人材の確保が急務となります。
加えて、Scope3に該当する資材や製品についても、低炭素型コンクリートやグリーンスチールといったグリーン建材の活用が求められています。これらの資材は、CO2排出の少ない原料の使用や、製造過程における炭素吸収技術の導入により、環境負荷の低減に貢献するものです。特に、2030年代にはCO2を固定・吸収するコンクリート技術の現場導入が本格化する見通しで、2050年には標準仕様として広く適用されることが見込まれています。
これに伴い、企業における資材調達方針や施工管理体制の見直しが不可欠であり、それに対応できるエンジニアや調達担当者の採用・育成が求められています。特に、総合評価落札方式における加点項目として、脱炭素に資する取り組みや資材の使用が評価対象となるため、技術提案力や環境配慮に関する知見を持つ人材の重要性は今後ますます高まっていくでしょう。
さらに、ICT施工やチルトローテータといった新技術の活用を通じた施工の効率化も脱炭素化の柱のひとつとされており、これに対応するデジタルスキルを持つ技術者の需要が急増しています。2030年にはICT施工の原則化が完了し、対象工種の拡大が進むことが予定されていることから、現場でのデジタル技術活用に精通した人材の確保と育成が、企業の競争力を左右する重要な要素となります。
また、今後は脱炭素に貢献する技術や資材の使用が社会的評価にも直結することが予想されており、企業にとってはESG経営の一環としても無視できない取り組みとなっています。アクションプランでは、総合評価インセンティブ制度や表彰制度、工事成績評定における加点制度の活用が示されており、環境への取り組みが企業の受注機会を左右する時代が到来しつつあります。
こうした背景を踏まえれば、企業の採用担当者にとっては、従来の技術職に加えて、環境技術やICT、エネルギー分野に関する専門性を持つ人材の確保が、今後の戦略的課題となることは明白です。とりわけ、再生可能エネルギーに関する知識や、カーボンフットプリントの評価に携われる人材は、建設業界の未来を担う存在として重宝されることが予測されます。
このアクションプランは、単なる環境対策にとどまらず、公共工事の発注における基本的な考え方を大きく変えるものでもあります。すなわち、価格だけでなく、環境性能や生産性、安全性などを総合的に勘案した「価値の高い資材・技術の選定」が求められるようになるということです。この変化は、建設業界におけるサプライチェーン全体に影響を及ぼすとともに、発注者と受注者の関係性の在り方をも見直す契機となるでしょう。
国の方針としては、2025年には脱炭素対応を加味したモデル工事を開始し、2027年以降にはこれを標準化していく計画が示されています。さらに、電動建設機械の導入を促進するための補助制度や認定制度も整備されつつあり、企業の取り組み次第で大きなビジネスチャンスにつながる可能性もあります。
このように、建設分野における脱炭素アクションプランは、技術革新と人材戦略の両面から大きな変革を促す政策であり、企業が未来に向けた持続可能な成長を実現する上で、採用と育成の方針を見直す絶好の機会といえます。今後の動向に注目しつつ、積極的な対応を図ることが、業界の中での競争優位性を確保するカギとなるでしょう。
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ