2025年4月14日
労務・人事ニュース
高付加価値分野の比率を2040年までに3割から5割へ、素形材産業の新市場戦略が始動
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最終更新: 2025年5月1日 11:34
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最終更新: 2025年5月1日 01:10
2025年版「素形材産業ビジョン」を策定しました(経産省)
2025年3月28日、経済産業省は日本の製造業の競争力を維持し、さらなる成長を促すための新たな戦略として「2025年版 素形材産業ビジョン」を策定したと発表しました。このビジョンは、鋳造や鍛造などの伝統的な素形材技術に支えられた産業分野が、国内外の厳しい環境変化にどう適応し、将来のものづくりの中核として進化していくべきかを中長期の視点から明示するものです。国内製造業が抱える人手不足やグローバル競争の激化、新技術の急速な台頭といった課題に対応するために、素形材産業の稼ぐ力をいかに強化するかが焦点となっています。
今回のビジョン策定の背景には、日本が伝統的に強みとしてきた精密で高品質なものづくりの基盤をいかに維持しつつ、次なる成長分野へと飛躍していくかという命題があります。特に、製造業全体が再び国内回帰の動きを見せつつある中で、素形材産業はサプライチェーンの安定化や高度加工技術の維持にとって不可欠な存在です。これまで以上に経営資源としての人材やデジタル技術の活用が求められ、従来型の産業構造からの脱却と変革が急務となっています。
2025年版のビジョンでは、2040年を一つのマイルストーンとし、三つの具体的な目標が掲げられました。第一に、自動車需要の維持と同時に、航空宇宙、産業機械、建設機械、ロボット、半導体製造装置、医療機器、エネルギーなどの高付加価値分野における素形材の需要先比率を現状の3割から5割へと拡大すること。第二に、海外展開比率を現在の3割から5割へと引き上げ、グローバル市場での競争力を強化すること。第三に、金属積層造形といった新技術の活用により、現在数%にとどまっている世界シェアを2040年にはトップレベルの2割まで引き上げるという野心的な内容が示されています。これらの目標は、単なる数量的な拡大を目指すものではなく、産業の質的転換と付加価値創出を意図した変革の道筋を示すものです。
この実現に向けて、ビジョンでは7つの重点的な論点が提示されています。第一にGX(グリーントランスフォーメーション)と資源循環、すなわち環境負荷低減と持続可能な生産体制の構築です。省エネ技術やリサイクル可能な素材の導入、カーボンニュートラルへの対応などがここに含まれます。第二に経済安全保障の確保が挙げられており、地政学リスクに対応するサプライチェーンの強靭化や、特定原材料の自給体制の強化が急務とされています。第三は取引の適正化です。中小企業が多くを占める素形材産業においては、大企業との取引の公正性や契約の透明性が経営の安定化に直結します。
また、DX(デジタルトランスフォーメーション)と標準化の推進も柱の一つです。AIやIoT、3Dシミュレーションなどの導入によって、生産性や精度の飛躍的向上が期待されるとともに、業界全体でのデジタル人材の育成が求められています。情報発信力と人材育成の強化も重要な課題です。国内外において日本のものづくりの魅力を効果的に発信し、若手や海外人材を呼び込む仕組みの構築が必要不可欠です。
さらに、経営力と海外展開の促進が戦略的に位置づけられています。これには、中堅・中小企業における経営改革支援や、海外でのパートナーシップ構築、現地市場のニーズに応じた製品開発といった取組が想定されています。最後に技術力の維持・強化も見逃せません。次世代合金の開発や、精密鋳造技術の高度化、加工精度の向上といった課題に対応することで、世界のものづくり現場で選ばれる日本の素形材産業としての地位を確立していく必要があります。
このビジョンは、ものづくりを支える人材の確保や企業の組織力強化にも深く関わっています。とりわけ、採用活動においては、企業の将来ビジョンが明確であること、成長性と社会的意義が高いことが優秀な人材の確保において重要視されています。素形材産業が今後、高付加価値分野や海外市場への展開を本格化させるには、これらの戦略が現場レベルで確実に実行されることが求められます。従って、企業はこのビジョンをもとに、自社の経営戦略や人材育成計画を見直し、新たな成長の軌道に乗せる準備を始める必要があります。
⇒ 詳しくは経済産業省のWEBサイトへ