2025年4月6日
労務・人事ニュース
1人1泊200円の定額課税で公平性と運用効率を両立する網走市の新制度が令和8年4月施行予定
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最終更新: 2025年5月1日 22:32
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最終更新: 2025年5月2日 08:31
北海道網走市「宿泊税」の新設(総務省)
令和8年4月1日より、北海道網走市において新たに宿泊税が導入される予定です。この制度は法定外目的税としての性質を持ち、観光施策を支えるための安定した財源確保を目的として設けられたものであり、特に観光都市としての基盤強化と地域経済の発展を同時に推進するための重要な施策と位置づけられています。網走市は、知床やオホーツク海、流氷観光などの自然資源に恵まれ、年間を通じて多くの旅行者が訪れる地域として知られています。観光客の増加に伴って、観光地の受け入れ環境の整備や情報発信の強化が急務となっており、宿泊税によって得られる新たな財源はこうした施策に活用される予定です。
このたび新設される網走市の宿泊税の課税対象は、旅館業法に基づいて営業許可を得ている旅館、ホテル、簡易宿所のほか、住宅宿泊事業法に基づいて届出を行っている民泊施設に宿泊するすべての宿泊者です。納税義務者は宿泊者本人であり、税額は1人1泊あたり200円と定められています。宿泊料金に関係なく定額での課税が行われるため、制度の運用において煩雑さが軽減され、利用者にとっても分かりやすく公平な仕組みが整備されています。徴収は宿泊施設が代理して行う特別徴収方式が採用され、宿泊者からチェックインやチェックアウトの際に徴収した税額を施設がまとめて市に納付する流れとなります。
宿泊税の導入により、網走市が平年度ベースで見込んでいる年間税収は約70百万円、すなわち7,000万円に上ります。この税収は主に、観光資源の磨き上げや観光インフラの整備、多言語対応やプロモーションの強化、そして観光客の受け入れ体制の充実といった施策に充てられる予定です。たとえば、地域の自然景観や歴史文化の保存、観光案内所のサービス向上、交通アクセスの改善、イベント開催による誘客などが検討されており、観光による地域の魅力向上と来訪者の満足度向上が目指されています。また、将来的には宿泊税を活用したデジタル観光の推進、エコツーリズムやサステナブルツーリズムへの転換も視野に入れており、持続可能な観光地づくりに向けた中長期的な方針が背景にあります。
網走市では、宿泊税の徴税に伴うコストも予算化されており、年間で約3.2百万円の徴税費用が見込まれています。これは制度運用に必要な職員配置、広報活動、システム整備等の費用であり、税収全体の一部に過ぎない額であるため、制度の収支バランスは良好です。このように、限られた予算内で効率的かつ透明性の高い運用が見込まれており、市としても財政運営に無理なく制度を継続していける見通しが立っています。
宿泊税には一定の免除対象も設けられており、修学旅行に参加する児童・生徒およびその引率者、認定こども園や保育所などの行事に参加する宿泊者も課税の対象外となっています。これは、教育的・公共的目的の活動に対して配慮を示すものであり、観光政策と地域社会とのバランスを意識した設計といえます。観光振興は観光客のためだけでなく、地域住民の理解と協力の上に成り立つものであり、こうした免除規定は地域内外の関係性を保つための重要な配慮でもあります。
この制度は、令和6年12月12日に網走市議会にて条例案が可決され、その後12月23日に総務大臣との協議が行われました。そして令和7年3月21日には正式に同意が得られたことで、令和8年4月1日からの施行が決定しました。今後は市内の宿泊事業者への制度説明会や運用ガイドの配布、市民への丁寧な周知が段階的に行われる予定です。これにより、混乱を最小限に抑えたスムーズな導入が目指されています。
企業の採用担当者や経営層にとっても、この宿泊税制度は無関係ではありません。観光業、宿泊業、交通業、小売業、飲食業など、観光と関連のある業種では、制度によって生じる変化に柔軟に対応することが求められます。たとえば、税額に関する問い合わせ対応や、宿泊税が加算されることでの価格表示の見直し、スタッフ教育などの業務調整が必要となるでしょう。また、観光施策の拡充によって地域に訪れる人の流れが増加すれば、サービス提供側の人員も増強が求められ、採用活動の強化や職場環境の整備も課題となります。このような波及効果を見越し、早期に対策を講じることが、人材獲得競争を勝ち抜く上で重要になると考えられます。
宿泊税制度の意義は、単なる財源確保にとどまりません。観光をきっかけに地域の魅力を再発見し、来訪者の満足度を高め、地域経済全体を活性化させる循環を生み出すことが期待されています。特に網走市のように、自然資源や歴史的背景に恵まれた地域では、その価値を持続可能な形で伝えていくことが、次世代への責任でもあります。宿泊税の導入は、そうしたビジョンの実現に向けた一歩であり、企業にとっても地域とともに成長するための新たな関わり方が問われるタイミングでもあります。
⇒ 詳しくは総務省のWEBサイトへ