2024年11月1日
労務・人事ニュース
11月は「しわ寄せ」防止キャンペーン月間!大企業から中小企業への不当な取引慣行を一掃へ
11月は「『しわ寄せ』防止キャンペーン月間」です(厚労省)
厚生労働省は、11月を「『しわ寄せ』防止キャンペーン月間」とし、全国で中小企業や下請け事業者への不当な取引慣行を是正するための活動を集中的に行います。この取り組みは、働き方改革における取り組みの一環であり、大企業と下請け企業や中小企業の間で取引の公正性が確保されることを目指したものです。大企業が労働時間の上限規制などの改革を進める一方で、下請けや中小企業にはコスト負担を伴わない短納期の発注や急な仕様変更など、現場に負担を強いる「しわ寄せ」が見られるという声が上がっています。こうした不公平な慣行を防ぐため、厚生労働省は中小企業庁や公正取引委員会と協力し、企業の自主的な取り組みだけでなく、行政が積極的に介入し、適正な取引環境を推進する意向です。
この「しわ寄せ」問題は特定の業界だけに限られたものではありません。例えば、建設業界では民間発注者による短期的な工期の設定が工事現場に過度な負担をかけることがあり、運輸業界においては荷主側による長時間の荷待ちが発生するなど、さまざまな業界で取引慣行が働き方改革の障壁となっているケースが指摘されています。こうした状況では、特に中小企業が働き方改革を進めるための障害が大きく、持続的な事業活動のためにも、労働環境の改善や取引の公平性確保が急務とされています。
今回の「『しわ寄せ』防止キャンペーン月間」における主な取り組み内容として、まず、ポスターやリーフレットを全国の企業や事業所に配布し、従業員や経営者に対して「しわ寄せ」防止の重要性を伝えるとともに、インターネット広告も活用してさらなる周知を図ります。専用ウェブサイトもリニューアルされ、働き方改革や「しわ寄せ」防止に関する情報を簡単にアクセスできるようにしています。これにより、企業だけでなく、一般の方々にも「しわ寄せ」問題についての理解を深めてもらい、公正な取引慣行の重要性を周知する狙いがあります。
また、厚生労働省は各業界を所管する省庁や地方自治体、労働組合および経済団体などに協力を依頼し、関係機関が一体となって「しわ寄せ」を防止する体制を整えます。特に、大企業が取引相手の下請け企業に対して負担をかけることが懸念される場合には、都道府県の労働局が企業を訪問し、直接的な要請活動や取引慣行の見直しを求めるといった働きかけも行います。このように、厚生労働省は行政主導で不当な取引環境の改善を図り、下請け企業や中小企業が適正な環境で事業を継続できるようサポートしています。
このキャンペーンを通じて、厚生労働省は単に問題を指摘するだけでなく、具体的な対策を講じて「しわ寄せ」を防止する意識を社会全体に広め、日本全体での働き方改革の深化を目指しています。政府は、これをきっかけに中小企業が健全で持続可能な経営を実現できるようにし、大企業も含めて労働環境の改善と業界全体の成長を両立させたいと考えています。
特設ウェブサイトではキャンペーンに関する詳しい情報が公開されており、「しわ寄せ」防止に関心のある企業や労働者が必要な情報を得やすい構成となっています。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ