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2025年3月3日

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150兆円規模のGX投資が始動!脱炭素成長型経済を実現する「GX2040ビジョン」閣議決定

「GX2040ビジョン 脱炭素成長型経済構造移行推進戦略 改訂」が閣議決定されました(経産省)

2025年2月18日、「GX2040ビジョン 脱炭素成長型経済構造移行推進戦略 改訂」を閣議決定した。この新たなビジョンは、エネルギーの安定供給、経済成長、脱炭素の3つを同時に実現するGX(グリーントランスフォーメーション)を加速させるために策定された。特に、今後10年間で150兆円規模の官民投資を呼び込む成長志向型カーボンプライシング構想を軸に、GXに向けた中長期的な政策方針を明確にすることを目的としている。

この背景には、近年の国際情勢の緊迫化、GX・DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展、さらには電力需要の増加など、エネルギー政策を取り巻く環境の不確実性が高まっている現状がある。2023年には「GX推進法」および「GX脱炭素電源法」が成立し、「脱炭素成長型経済構造移行推進戦略」(GX推進戦略)が閣議決定された。それに基づき、成長志向型カーボンプライシング構想をはじめとする新たな政策が具体化された。しかし、世界のエネルギー事情や技術革新の進展により、GXの取り組みに対する投資の予見可能性を高める必要が生じたため、政府はGX推進戦略を改訂し、新たな「GX2040ビジョン」を策定した。

このビジョンは、GXの推進に向けた政策の基本的な方向性を示すものであり、大きく8つのテーマに基づいて構成されている。まず、「GX産業構造」では、日本経済の競争力を維持しながら脱炭素を進めるための産業戦略が明示されている。脱炭素技術の開発と導入を加速させ、GX関連産業を成長分野として育成することで、雇用の創出や国際市場での競争力強化を目指す。さらに、「GX産業立地」においては、GX関連の新技術や製造拠点の整備を促進し、地域経済の発展と産業の高度化を進める方針が示されている。特に、脱炭素技術を活用した新たな産業クラスターの形成を支援することで、日本全体の産業基盤を強化することが狙いだ。

また、「現実的なトランジションの重要性と世界の脱炭素化への貢献」では、化石燃料から再生可能エネルギーへの移行を段階的に進めることの必要性が強調されている。再生可能エネルギーの導入拡大と並行して、既存の火力発電設備の高効率化や水素・アンモニアの活用を推進し、現実的な移行プロセスを確立する。これにより、経済成長と脱炭素の両立を図るだけでなく、世界市場におけるGX技術のリーダーシップを確立することも目指している。

さらに、「GXを加速させるためのエネルギーをはじめとする個別分野の取り組み」では、電力・熱供給・輸送など各分野でのGXの進め方が示されている。例えば、次世代型蓄電技術の開発や送電網の強化、再生可能エネルギーの導入促進、産業界の電化・水素化の推進などが具体的な施策として挙げられている。特に、日本のエネルギー供給の安定性を確保しながら、2030年および2040年に向けた脱炭素目標を達成するために、長期的な視点でのエネルギー政策が重要視されている。

「成長志向型カーボンプライシング構想」では、GXに向けた投資を加速させるための仕組みが示されている。企業のGX投資を促すために、排出量取引制度の強化やカーボンプライシングの導入を進める方針だ。これにより、企業が積極的に脱炭素化投資を行うインセンティブを提供し、日本全体のGXを加速させることを目指す。

また、「公正な移行」についても重要な要素とされている。GXを進める上で、雇用や地域経済への影響を最小限に抑えつつ、すべての産業・地域が公平に恩恵を受ける形での移行を進めることが求められている。特に、化石燃料依存度の高い地域や産業への支援策を講じることで、経済全体のバランスを保ちながらGXを推進することが意識されている。

「GXに関する政策の実行状況の進捗と見直し」では、GX政策の効果を継続的に評価し、必要に応じて見直しを行う仕組みが示されている。これにより、社会や経済の変化に対応しながら、最適な政策を柔軟に展開できる体制を整備する。

政府は、この「GX2040ビジョン」を通じて、今後10年間で150兆円規模の官民投資を呼び込み、日本の経済成長と脱炭素化の両立を目指している。エネルギー政策の安定性を確保しながら、GX関連産業の育成やカーボンプライシングの導入を進めることで、日本経済の国際競争力を強化するとともに、脱炭素社会への移行を着実に進めていく方針だ。企業にとっても、GXの推進は新たなビジネス機会を生むだけでなく、環境規制への対応や国際競争力の向上につながる重要な戦略となる。今後の動向を注視しながら、自社の事業戦略にどのように取り入れるかが、企業の成長にとって鍵となるだろう。

⇒ 詳しくは経済産業省のWEBサイトへ

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