2024年11月10日
労務・人事ニュース
2023年データで見る!全国の理容所・美容所数、増加率1.5%の成長をリードするのはどこか?
令和5年度衛生行政報告例の概況 生活衛生関係(厚労省)
2023年の生活衛生関係施設に関するデータからわかるのは、施設数が全体的に微増または微減していることです。たとえば、常設の興行場の数は4,823施設となり、前年と比べて26施設(0.5%)増加しました。一方、旅館業も93,475施設となり、前年に比べて2,770施設(3.1%)増加しています。これは観光産業や国内移動の需要が徐々に回復していることを示唆しています。
公衆浴場に関しては減少傾向が続いており、2023年の時点で23,673施設で、前年と比較して21施設(0.1%)の減少が見られます。これは都市部を中心とした生活様式の変化や家庭での入浴設備の普及が影響している可能性があります。また、伝統的な文化としての公衆浴場が若い世代にあまり受け入れられていない点も関係しているでしょう。
さらに、理容所と美容所の動向を見ると、理容所は110,297施設で、前年から2,171施設(1.9%)減少している一方、美容所は274,070施設で、前年に比べて4,181施設(1.5%)増加しています。これは、ヘアカットやカラーリング、ネイルケアなど、美容関連サービスへの需要が依然として高まっていることを示しています。とりわけ、美容所は若者や女性を中心に多様なサービスを提供し、利用者のニーズに応じて柔軟に進化しています。
一方、クリーニング業は減少傾向が続いており、72,936施設と前年に比べて3,364施設(4.4%)の減少が見られました。特に取次所の数が顕著に減少しており、これは宅配クリーニングや家庭用洗濯機の進化による影響が考えられます。クリーニング業界全体が縮小している中でも、一部の高付加価値サービスを提供する店舗は堅調に運営されています。
これらのデータから見えてくるのは、サービス業における顧客ニーズの変化と、それに対応する各業界の取り組みです。とくに美容業界においては、トレンドに敏感な顧客に向けた新しいサービスの提供が求められ、理容所やクリーニング業界では、少子高齢化や新しい生活様式への対応が必要不可欠となっています。また、これらの施設数の変動は、地域経済や雇用にも影響を与えるため、各業界における変革が今後の持続可能な成長に不可欠です。
さらに、施設ごとの地域差も考慮すべきです。都市部では新しいトレンドに即したサービス業が増加している一方、地方では施設数の減少が目立ちます。例えば、都市部の美容所は特に増加している一方、地方の公衆浴場やクリーニング業の減少が顕著です。これらの地域差は、地方創生や観光業との連携が今後重要な課題となるでしょう。観光業の再活性化を通じて、地域特有の生活衛生関係施設の維持・増加が期待されます。
2023年のデータでは、さらに詳細な施設数の推移も確認できます。常設の興行場では18施設(1.2%)増加した一方、スポーツ施設の数はわずかに2施設(0.5%)増加しています。興行場やスポーツ施設は、エンターテインメント業界全体の回復基調を反映しており、今後も増加傾向が続くと見込まれます。また、旅館業の中でも特に簡易宿所営業が前年比2,098施設(5.3%)増加しており、これは短期滞在や観光需要の増加が影響していると考えられます。一方で、下宿営業の施設数は45施設減少し、これは学生数や働き方の変化に伴うものと考えられます。
また、理容所や美容所の増減に関しては、特に美容所の増加が目立ちます。理容所と美容所が併設された施設は前年比76施設(28.5%)増加しており、顧客の多様なニーズに対応するための複合型サービスが人気を集めています。これは、顧客が一つの場所で複数のサービスを受けられる利便性を重視する傾向があるためです。
最後に、クリーニング業に関しては、無店舗型の取次店がわずかに49施設(2.2%)増加しており、オンライン注文や宅配サービスの普及が影響しています。このように、生活衛生関係施設は社会の変化や技術の進歩に対応しながら、その形態を変えつつあります。これからの課題として、これらの施設が持続可能な形で地域社会や顧客に貢献し続けるためには、サービスの質を高めるだけでなく、デジタル技術を駆使した新しいビジネスモデルの構築が求められます。
これらのデータをもとに、企業や業界全体がどのようにして顧客ニーズに対応し、施設数を維持・増加させるかが今後の重要なテーマとなるでしょう。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ