2024年6月2日
労務・人事ニュース
2023年度の外国人留学生数が279,274人に達し前年比20.8%増、コロナ禍後初の回復傾向
「外国人留学生在籍状況調査」及び「日本人の海外留学者数」等について(文科省)
独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)は、毎年、外国人留学生の在籍状況や日本人学生の海外留学状況について調査を行っています。この度、最新の調査結果が取りまとめられましたのでご報告します。また、文部科学省はOECDなどの統計を基に、日本人の海外留学者数を集計し、最新の状況を公表しました。
まず、外国人留学生数についてですが、JASSOが実施する「外国人留学生在籍状況調査」によると、2023年5月1日時点での外国人留学生数は279,274人となり、前年より48,128人(20.8%)増加しました。留学生数が多い国や地域は、中国が115,493人(前年比11.2%増)、ネパールが37,878人(前年比56.2%増)、ベトナムが36,339人(前年比2.8%減)となっています。
2022年に入り、3月以降の水際対策の緩和や10月からの入国者数上限撤廃により、新規留学生の入国が進み、コロナ禍以降初めて留学生総数が増加しました。学種別に見ると、高等教育機関では、大学学部や専門学校(専門課程)の在籍者数が依然として減少傾向にあるものの、それ以外の学種では増加に転じています。また、日本語教育機関の在籍者数は、2011年度の調査開始以来、過去最多を記録しました。
地域別に見ると、ほぼ全ての地域で大幅な増加が見られます。特に、ネパール、ミャンマー、バングラデシュ、アメリカ合衆国からの留学生数は、コロナ禍前の2019年を上回る結果となりました。
次に、日本人の海外留学者数について説明します。JASSOが実施する「日本人学生留学状況調査」によると、2022年度の日本人学生の海外留学者数は58,162人となり、前年より47,163人(428.8%)増加しました。ただし、コロナ禍前の半数程度に留まっています。中長期の留学者数(3か月以上の留学)は、2019年度の約90%に回復しています。留学先として多い国や地域は、アメリカ合衆国が11,880人(前年比229.7%増)、カナダが6,735人(前年比466.4%増)、オーストラリアが6,187人(前年比1839.5%増)となりました。欧米諸国への留学は2021年度夏以降に回復し、2022年度はアジア諸国でも入国制限の緩和が進み、留学生数が増加しました。
また、海外の機関が把握する日本人留学者数についても報告します。OECD、ユネスコ、米国国際教育研究所(IIE)などの2021年統計によると、海外の機関が把握する日本人の海外留学者数は41,612人で、前年比1,097人(2.6%)減少しました。留学先として多い国や地域は、アメリカ合衆国が13,449人、中国が5,722人、台湾が5,586人でした。減少の原因として、新型コロナウイルス感染症の影響が続いていることが考えられます。
この調査に関していくつかの注意点があります。まず、OECD加盟国については「Education at a Glance」、その他の国・地域についてはユネスコ統計局やIIE「Open Doors」などの各国が発表している統計を基にしています。調査時点や対象は国や地域によって異なるため、一概に比較することは難しいです。また、受入れ国の特定の時点や期間の在学者情報から収集したものであり、1年未満の留学や交換留学プログラムの参加者は含まれていない場合があります。
さらに、2012年までの統計では受入れ国の国籍を持たない学生が対象でしたが、2013年からは高等教育機関に在籍する外国人留学生が対象となり、比較ができなくなっています。今後も、継続的な調査とデータの蓄積により、留学生動向の詳細な把握と分析を進めていくことが重要です。
⇒ 詳しくは文部科学省のWEBサイトへ