労務・人事ニュース

  • TOP
  • お知らせ
  • 労務・人事ニュース
  • 2023年度の日本企業、設備投資が33年ぶりに104兆円を突破

2024年9月21日

労務・人事ニュース

2023年度の日本企業、設備投資が33年ぶりに104兆円を突破

令和6年度経済財政白書 第1章 マクロ経済の動向と課題 第1節 実体経済の動向(内閣府)

日本経済は2023年、新型コロナウイルス感染症が5類へと分類変更されたことで、経済活動が緩やかな回復基調を見せています。企業の収益は過去最高を更新し、特に設備投資は33年ぶりに104兆円を超えるなど、企業部門全体としては堅調に推移しています。また、深刻な人手不足が継続する中、完全失業率は低位で安定しており、2024年の春季労使交渉では賃上げ率が33年ぶりの高水準となっています。こうした好調な経済環境により、企業の投資意欲も高まっていますが、同時に日本経済はさまざまな逆風にも直面しています。

第一に、個人消費の動向です。賃金や所得の伸びが物価上昇に追いついておらず、消費者マインドが抑制されています。さらに、急速な円安進行に伴う輸入物価の上昇が、コストプッシュ型のインフレを引き起こし、消費に対する不安感を助長しています。個人消費の低迷は、企業収益の成長を阻む要因となっており、経済の持続的な成長には大きな課題となっています。

第二に、予測不可能な外的ショックが日本経済に悪影響を与えています。2024年初頭に発生した能登半島地震や、特定の自動車メーカーによる認証不正問題などが、生産や消費活動に悪影響を及ぼしました。これらの外的要因により、個人消費や設備投資が抑制され、経済成長率の低下に繋がっています。

2023年度のGDP成長率は、名目で5.0%、実質で1.0%にとどまりました。名目成長率は1991年度以来の高い水準ですが、実質成長率は賃金の上昇が物価に追いつかないことや、個人消費の持ち直しの遅れから、依然として弱含んでいます。特に2023年後半から2024年前半にかけての内需の低迷が、全体の成長を下押ししています。

一方で、物価動向にも注目が集まっています。2023年後半から2024年前半にかけて、物価上昇の幅は広がりを見せ、消費者の節約志向が高まりました。特に非耐久財、例えば食品や光熱費など、必需品の価格が上昇し、個人消費における抑制が続いています。サービス消費については、外食や旅行など、コロナ禍からの回復が見られていますが、全体としては消費の力強さに欠ける状況が続いています。

また、GDPギャップに関しても、コロナ禍以降は緩やかに改善傾向が見られ、2023年にはプラス圏に戻りましたが、依然として景気の不安定な状況は続いています。特に労働や資本投入、生産性の向上が課題となっており、潜在成長率の低さは日本経済の構造的な問題として浮かび上がっています。主要先進国と比較しても、労働生産性や資本の効率が低く、これが成長率の足を引っ張っています。

今後の課題として、企業部門の投資活動のさらなる強化が求められます。特に設備投資においては、既に過去最高水準に達しているものの、今後の経済成長を見据えた投資の持続が必要です。技術革新やデジタル化、さらにはグリーン投資が、企業の競争力を高める要素となり得ます。加えて、労働市場の改革も急務です。高齢化が進む中で、労働力の確保と生産性向上の両立が求められています。

特に女性や高齢者の労働参加を促進し、国内の人材不足を解消するための政策が重要です。政府は、こうした課題に対応するため、労働市場改革や企業の投資促進策を強化する必要があります。さらに、インフレ対策として、物価上昇を抑えつつも、賃金の伸びが追いつく環境作りが重要です。これは、企業のコスト削減や価格転嫁を円滑に行うための支援策とも連動するべきです。

輸出入の動向にも注意が必要です。2024年の前半には、インバウンド需要の回復や半導体関連の輸出が経済を下支えしていますが、中国経済の減速や欧米の金利上昇など、世界経済の不安定な要素も日本経済に影響を与えています。特に中国向けの輸出が鈍化しており、これが輸出全体の足を引っ張る可能性があります。また、アメリカ向けの自動車輸出も、国内生産の停滞により減少しており、輸出産業のさらなる支援が求められます。

総括すると、日本経済は外部環境の影響を強く受けつつも、企業の好調さを維持し、回復基調を維持するための政策が重要です。個人消費の低迷を克服するため、賃金上昇と物価上昇のバランスを取り、持続可能な経済成長を実現することが求められています。特に企業部門の投資活動の拡大と、労働市場改革を進めることで、日本経済は今後も成長を続けることが期待されます。

⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ

パコラ通販ライフ